光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
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カメラの進化とテツドウモケイのはなし・その2

2022-08-16 05:05:01 | 思いつくままに・考察
 カメラの進化が鉄道模型の趣味に与えている影響について。

 前回はわたし自身の体験に照らし合わせて主にそのメリットについて書き殴りました(笑)
 今回はその続きです。

 前回書いた様にカメラのデジタル化とそれに伴うノウハウ要らずのイージーさは鉄道模型の趣味にまで大きな影響を与えたと思います。
 かつてのわたしの様にカメラの扱いに恐れを抱くことなくモデルや実車の写真を手元に置けるというのは、そのままカメラのみならず鉄道模型についてもすそ野の拡大に寄与していると思います。

 残り枚数を気にせず撮りまくれるというメリットはそのままロケハンやモデル化に必要な実車の資料写真が大量に撮れる、保存できるという意味でもモデルの質の底上げにつながっていると思いますし、それは専門誌で見かける自作、改造モデルがここ20年くらいの間に急速に実車準拠の細密さを向上させている事からもうかがい知れます。

 また、前回のコメントで頂いた様に模型そのものの撮影についても、レンタルレイアウトでの撮影会を手軽に楽しむ層の登場や、模型撮影にも適した撮影機材が続々登場した事で写真の質的な底上げが計られているのも大きな変化と思います。

 また、インターネットの普及とそれに伴う作例写真のアップロードの容易さは「工作が上手くてもカメラ音痴で写真を送れなかった様な人でも作例を残す、送信できる」という新たな方向性も示しました。
 それゆえに従来専門誌でしか見られなかった他人の作例がネットで容易に見られるメリットも得られていると思います.


 何しろついこの間まで専門誌以外でモデラーの作例を見るなんて事は田舎のユーザーにはまずできませんでしたから。

 だが、そのイージーさに問題は無いか?

 例えば実車の写真の場合はビギナー層の急激な広がりとマニア層の先鋭化という形でいわゆる「撮り鉄のマナー問題」という形で表れ始め、かつてのSLブームの時以上に深刻化している面は見逃せません。

 AV(オーディオビジュアル)やスマホ、或いはスポーツカーやバイクなどでもそうだったと思いますが、趣味の世界で底辺層が急速に拡大すると往々にしてこうした社会的な軋轢が生じやすくなるのはよくある事です。
 中でも写真撮影のイージーさはそのどれよりも普及と拡大が急だったためにデメリットも余計目立ちやすいというのはあるかもしれません。

 それを別にしても「容易に撮れる、大量に保存できる、容易に加工できる」というイージーさは同時に「1枚1枚の写真に対する思い入れを急速に低下させる」一面も併せ持っていると思います。
 かつての銀塩カメラの頃は「フィルムの量が限定されるがゆえに失敗が許されない」だけにそれこそ一期一会、一発入魂的な気構えで撮られる事が多かったように思います(たとえそれが「写ルンです」での記念写真レベルだったとしても)
 それだけにそうした苦労(と言うか気構え)で撮られた写真には撮り手の思い入れが反映されたものも多かった様な気もするのです。
 まあ、今ではそんな考え自体がそろそろ古くなってきているのかもしれませんが。

 誰もが簡単に写真を撮れるというメリットは大きなものがあるのは否定できませんが、一方で単純にその利便性を喜ぶだけでなく自分が思い入れを持てるような写真を残す事も心のどこかに持っていたい。
 最近はそんな事も考えてみたりしています。

 (今回の写真はわたしが初めてデジカメを買った直後から2年くらいのあいだに撮影したものの中から「下手だけど思い入れのある写真」をセレクトしたものです。まあ、今でも技術的にはたいして変わっていないのですが汗)