光山鉄道管理局・アーカイブス

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鉄道ミステリとNゲージ 番外編 「古畑任三郎」と小湊鉄道

2022-08-27 05:12:20 | 映画・テレビ
 久しぶりの「鉄道ミステリとNゲージ」ネタから
 今回は番外編です。

 主演の田村正和氏の物故以来、やたらとCSで掛かる様になっている「古畑任三郎」(1999 CX)

 まあ、それも宜なるかなで何度再放映されても見飽きる事がないだけの魅力のある作品と思います。
 一見「刑事コロンボ」のエピゴーネンの様に見えて、よく観るとたまにコロンボではやらなかった題材やシチュエーションに積極的だったりと意欲的な作りであることもその一因かもしれません。

 さて、その古畑任三郎ですが第1シーズンで「全編が走行中の新幹線の車内だけで構成された一幕もの」があったりするのですが、第3シーズンの最終話でも鉄道がメインに来る話が存在します。

組織の秘密を握るアイテムを持って逃亡を図った裏切り者を追う過激派組織の殺し屋。
やっとの思いで裏切り者を始末することには成功したが、彼が殺される直前に乗っていた列車の車内に組織の手がかりであるキーホルダーのついた鞄を放置していた。
だが、殺し屋がそれに気づいた時には既に遅く鞄は駅の遺失物扱い所に保管されてしまい、うかつに手を出すことが出来なくなっていた。
それを知った組織のリーダーは鞄の奪回の為にある策を思いつく。

問題の列車を管理する私鉄会社の集中制御室に謎の男から脅迫電話が届く。
それはなんと「現在走行中の最終電車を乗っ取った」という宣言だった。
続いて脅迫者は身代金としてその日の売上金の1000万円を要求してくる。

とある私用でその部屋に居合わせていた古畑任三郎は、列車ジャック自体の危険度が高い事や、小銭ばかりの売上金を要求して来た事などからその脅迫に不自然さを感じるのだが・・・


 というのが大まかなストーリー。

 シリーズとしての本作が刑事コロンボやエラリークイーンズミステリーなどのエピゴーネンである事は夙に知られていますが、今回は更に新幹線大爆破や劇場版の機動警察パトレイバー2を彷彿とさせるシチュエーションが加わり最終話にふさわしいゴージャスな一編となっています。

 さて、この話で舞台となるのは設定上架空の私鉄という事になっていますが、実際のロケに使われているのは小湊鉄道でした。始発駅である五井駅前の「サンプラザ市原」のビルも本社の社屋に見立てて撮影されていますが実際の社屋はそのビルを背景にした2階建ての事務所の写真がネットで検索できます(笑)

 (実は最初にこの話を観た時、ローカル風のホームの造りやクラシカルな車輛に比べてあまりにもアバンギャルドなデザインのビルとギャップの大きさに「ビルだけ別の場所でロケしたのでは?」と思ったほどなのですが、後に小湊鉄道の番組を観たら本当にそういうビルが駅前にあるのを知って驚きました汗)

 まあ、あの当時でも劇中のような仰々しいATCルームはあまりないのではないかという気もしますが、これはおそらく「新幹線大爆破」を彷彿とさせる意図があったのかもしれません(実際、明らかなパロディシーンもあります)

 実はこの列車ジャックは外部からATCにハッキングした犯人グループが演出した「幻の列車ジャック」です。
なので異常事態が進行しているのはあくまでATCの画面上だけで実際の最終列車は通常通りに走っているというのがストーリー上のミソです。
 この辺は上述したパトレイバー2の「幻の空爆」(レーダー上に架空の爆撃機を出し、自衛隊のスクランブル発進を仕組む)のシチュエーションそのまんまなのですが、スタッフがどれだけパトレイバーを意識していたかは謎です。

 さて、肝心の列車ですが小湊鉄道が舞台なだけに登場するのはキハ200。
 劇中ではこれが3両編成で深夜の鉄路を疾走します。一応車内描写もあり東北辺りの田舎の私鉄とは一味違う微妙に垢抜けた車内のイメージがわたしには妙に新鮮だったりします。

 そのキハ200、昨年の今頃プラムの16番キットを作っていました。これを作っている当時はまさかこんな主演作があるなどとは夢にも思わず(笑)
 前にも紹介したようにキハ200はNゲージでも鉄コレでリリースされています。ただし1種類しかないので劇中の3連を再現するのはそれなりに難しそうですが。

 列車ジャックの理由がかなり無理のある設定な事とか、最終列車の種別が「705E」なんて呼ばれているところ、五井で終点なのに「走ってきたのが都会から来る下り列車」という設定とか、冷静になればツッコミどころも多いのですがエンターテイメントとして見れば、これはこれで楽しめるのも確かで、シリーズ最終話という事もあってそれなりに盛り上がります。

 余談ですが、本編で途中から公安の刑事に化けて登場するテロリストのリーダー役は江口洋介、また20年前だったら犯人役が多かった佐々木功が生真面目で子煩悩な列車指令を好演し、大活躍します。
こうしたキャスティングの妙も本シリーズの魅力のひとつですね。