2023年6月6日 弁理士試験 代々木塾 意匠法2条1項
(定義等)第二条
1 この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)、建築物(建築物の部分を含む。以下同じ。)の形状等又は画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。次条第二項、第三十七条第二項、第三十八条第七号及び第八号、第四十四条の三第二項第六号並びに第五十五条第二項第六号を除き、以下同じ。)であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。
〔解説〕
・1項(意匠の定義)
(1)物品(物品の部分を含む)の形状等
令和元年改正前と同様に物品の形状等は、意匠法の保護対象である。
(a)物品と認められること。
意匠法上の物品とは、有体物のうち、市場で流通する動産をいう。
(ア)不動産は、原則として物品とは認められない。ただし、使用時には不動産となるものであっても、販売時に動産として取り扱われるもの(門、組立てバンガロー)は、物品と認められる。
(イ)電気、光、熱は、無体物であるため、物品とは認められない。有体物であっても、気体、液体は、固有の形状等を有していないものであるため、物品とは認められない。
(ウ)粉状物及び粒状物は、集合体としては、特定の形状等を有さないものであるから、物品とは認められない。ただし、集合体であっても、固定した形状等を有するもの(固形砂糖)は、物品と認められる。
(エ)その物品を破壊しなければ分離できない物品の一部は、独立して取引の対象とならないため、物品とは認められない。完成品の一部を構成する部品は、互換性を有しており、独立して取引の対象となる場合は、物品と認められる。ただし、物品の部分であっても、部分意匠として保護される。
(b)物品自体の形状等であること。
物品自体の形状等とは、物品そのものが有する特徴又は性質から生ずる形状等をいう。物品がハンカチの場合、販売展示効果を目的としてハンカチを結んでできた花の形状等はハンカチという物品自体の形状等とは認められない。
(2)建築物(建築物の部分を含む)の形状等
令和元年改正前においては、土地に定着した建築物等の不動産は、意匠法上の物品とは認められず、保護対象から除外されていた。しかし、店舗デザイン、オフィイスデザインは、ブランド価値を創出するものとして、デザインの重要性が高まってきている。著作権法や不正競争防止法による保護では、十分とはいえない。そこで、令和元年改正により、建築物の形状等についても意匠法の保護対象に含めることとした。
建築物とは、土地の定着物であって、屋根、柱、壁、床等の構造物から構成されるもの及びそれら構造物とその付属物から構成されるものをいう。
建築物には、建築物の部分を含むので、建築物の壁、天井、床等(内装)は、建築物の部分の形状等として意匠法の保護対象となる。
(3)画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。)
令和元年改正前においては、物品に不可欠な画像や、物品の機能を発揮できる状態にするための操作画像については、意匠法の保護対象とされていたが、物品に記録されていないその他の画像については、保護対象とされていなかった。しかし、近年、ネットワークを通じて提供される画像のように物品に表示されない画像も種々のサービス提供の際に利用されるようになってきており、意匠法の保護対象とするニーズが高まってきている。そこで、令和元年改正により、操作画像や表示画像については、画像が物品に記録されているかどうか、画像が物品に表示されているかどうかを問わず、意匠法の保護対象に含めることとした。
ただし、画像は、機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、保護対象とすることとした(2条1項かっこ書)。したがって、令和元年改正後も、映画やゲーム等のコンテンツ画像は、保護対象から除外される。
(4)次条第二項、第三十七条第二項、第三十八条第七号及び第八号、第四十四条の三第二項第六号並びに第五十五条第二項第六号を除き
これらの規定の適用においては、画像のかっこ書を適用しないこととした。
これらの規定における「画像」には、2条1項の「操作画像」又は「表示画像」以外の画像が含まれるからである。
次条第2項→創作非容易性
37条2項→廃棄請求等
38条7号→画像に関する専用品型間接侵害
38条8号→画像に関する多機能品型間接侵害
44条の3第2項6号→画像に関する間接侵害行為
55条2項6号→画像に関する間接侵害行為
(5)視覚に訴えるものであること。
意匠とは、視覚を通じて美感を起こさせるものである(2条1項)。視覚に訴えないものは、意匠とは認められない。
視覚に訴えるものとは、意匠登録出願されたものの全体の形状等が肉眼によって認識することができるものをいう。粉状物又は粒状物の1単位が、微細であるため、肉眼によってはその形状等を認識することができない場合は、視覚に訴えるものとは認められない。
(6)視覚を通じて美感を起こさせるものであること。
意匠とは、視覚を通じて美感を起こさせるものである(2条1項)。美感を起こさせないものは、意匠とは認められない。例えば、(ア)機能、作用効果を主目的としたもので、美感をほとんど起こさせないもの、(イ)意匠としてまとまりがなく、煩雑な感じを与えるだけで美感をほとんど起こさせないものは、美感を起こさせるものに該当しない。
(7)部分意匠
(a)平成10年改正前は、物品とは、市場で流通する有体物であると解されていることから、独立して取引の対象とならない物品の部分は、意匠法上の物品ではなく、物品の部分に係る意匠は、保護対象とはなっていなかった。しかし、平成10年改正当時、独創的で特徴ある部分を取り入れつつ意匠全体で侵害を避ける巧妙な模倣が増加し、十分にその投資を回収することができない事態となっていた。そこで、平成10年改正により、物品の部分に係る意匠も保護することとした(2条1項かっこ書)。
(b)令和元年改正により、建築物を保護対象に含め、保護対象となる画像の範囲を拡大したので(2条1項)、建築物の部分と画像の部分も、部分意匠として保護されることとなった。
(c)令和元年改正により、2条1項の「物品(物品の部分を含む。第8条を除き、以下同じ。)」を「物品(物品の部分を含む。以下同じ。)」と改正したので、8条の組物の意匠登録出願をするときは、部分意匠とすることができることとなった。製品群に共通した特徴的な部分のみを模倣し、その他の形状等を大きく変更することにより、意匠権の権利行使を巧妙に回避する模倣品の出現を防止する必要があるところ、構成物品ごとに部分意匠として意匠権を取得しなければならないとすると、費用負担が増大する。そこで、令和元年改正により、組物の意匠登録出願においても部分意匠とすることができることとした。
(8)物品に表された文字、標識の取扱い
(a)専ら情報伝達のためだけに使用されている文字、標識は、模様と認められず、意匠を構成しない。例えば、(ア)新聞、書籍の文章部分、(イ)成分表示、使用説明などを普通の態様で表した文字等は、意匠を構成しない。
(b)情報伝達と物品の装飾のために使用されている文字、標識、又は専ら物品の装飾のために使用されている文字、標識は、模様と認められ、意匠を構成する。
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(定義等)第二条
1 この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)、建築物(建築物の部分を含む。以下同じ。)の形状等又は画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。次条第二項、第三十七条第二項、第三十八条第七号及び第八号、第四十四条の三第二項第六号並びに第五十五条第二項第六号を除き、以下同じ。)であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。
〔解説〕
・1項(意匠の定義)
(1)物品(物品の部分を含む)の形状等
令和元年改正前と同様に物品の形状等は、意匠法の保護対象である。
(a)物品と認められること。
意匠法上の物品とは、有体物のうち、市場で流通する動産をいう。
(ア)不動産は、原則として物品とは認められない。ただし、使用時には不動産となるものであっても、販売時に動産として取り扱われるもの(門、組立てバンガロー)は、物品と認められる。
(イ)電気、光、熱は、無体物であるため、物品とは認められない。有体物であっても、気体、液体は、固有の形状等を有していないものであるため、物品とは認められない。
(ウ)粉状物及び粒状物は、集合体としては、特定の形状等を有さないものであるから、物品とは認められない。ただし、集合体であっても、固定した形状等を有するもの(固形砂糖)は、物品と認められる。
(エ)その物品を破壊しなければ分離できない物品の一部は、独立して取引の対象とならないため、物品とは認められない。完成品の一部を構成する部品は、互換性を有しており、独立して取引の対象となる場合は、物品と認められる。ただし、物品の部分であっても、部分意匠として保護される。
(b)物品自体の形状等であること。
物品自体の形状等とは、物品そのものが有する特徴又は性質から生ずる形状等をいう。物品がハンカチの場合、販売展示効果を目的としてハンカチを結んでできた花の形状等はハンカチという物品自体の形状等とは認められない。
(2)建築物(建築物の部分を含む)の形状等
令和元年改正前においては、土地に定着した建築物等の不動産は、意匠法上の物品とは認められず、保護対象から除外されていた。しかし、店舗デザイン、オフィイスデザインは、ブランド価値を創出するものとして、デザインの重要性が高まってきている。著作権法や不正競争防止法による保護では、十分とはいえない。そこで、令和元年改正により、建築物の形状等についても意匠法の保護対象に含めることとした。
建築物とは、土地の定着物であって、屋根、柱、壁、床等の構造物から構成されるもの及びそれら構造物とその付属物から構成されるものをいう。
建築物には、建築物の部分を含むので、建築物の壁、天井、床等(内装)は、建築物の部分の形状等として意匠法の保護対象となる。
(3)画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。)
令和元年改正前においては、物品に不可欠な画像や、物品の機能を発揮できる状態にするための操作画像については、意匠法の保護対象とされていたが、物品に記録されていないその他の画像については、保護対象とされていなかった。しかし、近年、ネットワークを通じて提供される画像のように物品に表示されない画像も種々のサービス提供の際に利用されるようになってきており、意匠法の保護対象とするニーズが高まってきている。そこで、令和元年改正により、操作画像や表示画像については、画像が物品に記録されているかどうか、画像が物品に表示されているかどうかを問わず、意匠法の保護対象に含めることとした。
ただし、画像は、機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、保護対象とすることとした(2条1項かっこ書)。したがって、令和元年改正後も、映画やゲーム等のコンテンツ画像は、保護対象から除外される。
(4)次条第二項、第三十七条第二項、第三十八条第七号及び第八号、第四十四条の三第二項第六号並びに第五十五条第二項第六号を除き
これらの規定の適用においては、画像のかっこ書を適用しないこととした。
これらの規定における「画像」には、2条1項の「操作画像」又は「表示画像」以外の画像が含まれるからである。
次条第2項→創作非容易性
37条2項→廃棄請求等
38条7号→画像に関する専用品型間接侵害
38条8号→画像に関する多機能品型間接侵害
44条の3第2項6号→画像に関する間接侵害行為
55条2項6号→画像に関する間接侵害行為
(5)視覚に訴えるものであること。
意匠とは、視覚を通じて美感を起こさせるものである(2条1項)。視覚に訴えないものは、意匠とは認められない。
視覚に訴えるものとは、意匠登録出願されたものの全体の形状等が肉眼によって認識することができるものをいう。粉状物又は粒状物の1単位が、微細であるため、肉眼によってはその形状等を認識することができない場合は、視覚に訴えるものとは認められない。
(6)視覚を通じて美感を起こさせるものであること。
意匠とは、視覚を通じて美感を起こさせるものである(2条1項)。美感を起こさせないものは、意匠とは認められない。例えば、(ア)機能、作用効果を主目的としたもので、美感をほとんど起こさせないもの、(イ)意匠としてまとまりがなく、煩雑な感じを与えるだけで美感をほとんど起こさせないものは、美感を起こさせるものに該当しない。
(7)部分意匠
(a)平成10年改正前は、物品とは、市場で流通する有体物であると解されていることから、独立して取引の対象とならない物品の部分は、意匠法上の物品ではなく、物品の部分に係る意匠は、保護対象とはなっていなかった。しかし、平成10年改正当時、独創的で特徴ある部分を取り入れつつ意匠全体で侵害を避ける巧妙な模倣が増加し、十分にその投資を回収することができない事態となっていた。そこで、平成10年改正により、物品の部分に係る意匠も保護することとした(2条1項かっこ書)。
(b)令和元年改正により、建築物を保護対象に含め、保護対象となる画像の範囲を拡大したので(2条1項)、建築物の部分と画像の部分も、部分意匠として保護されることとなった。
(c)令和元年改正により、2条1項の「物品(物品の部分を含む。第8条を除き、以下同じ。)」を「物品(物品の部分を含む。以下同じ。)」と改正したので、8条の組物の意匠登録出願をするときは、部分意匠とすることができることとなった。製品群に共通した特徴的な部分のみを模倣し、その他の形状等を大きく変更することにより、意匠権の権利行使を巧妙に回避する模倣品の出現を防止する必要があるところ、構成物品ごとに部分意匠として意匠権を取得しなければならないとすると、費用負担が増大する。そこで、令和元年改正により、組物の意匠登録出願においても部分意匠とすることができることとした。
(8)物品に表された文字、標識の取扱い
(a)専ら情報伝達のためだけに使用されている文字、標識は、模様と認められず、意匠を構成しない。例えば、(ア)新聞、書籍の文章部分、(イ)成分表示、使用説明などを普通の態様で表した文字等は、意匠を構成しない。
(b)情報伝達と物品の装飾のために使用されている文字、標識、又は専ら物品の装飾のために使用されている文字、標識は、模様と認められ、意匠を構成する。
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