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特許法184条の13(18.5.3)

2006-05-03 19:25:25 | Weblog
(特許要件の特例)
第184条の13
 本条は、第29条の2に規定する他の特許出願又は実用新案登録出願が国際特許出願又は実用新案法第48条の3第2項の国際実用新案登録出願である場合における第29条の2の規定の適用についての特例を規定しています。読み替えは次のとおりです。
 同条(29条の2)中「他の特許出願又は実用新案登録出願であって」とあるのは「他の特許出願又は実用新案登録出願(第184条の4第3項又は実用新案法第48条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされた第184条の4第1項の外国語特許出願又は同法第48条の4第1項の外国語実用新案登録出願を除く。)であって」と、読み替えます。このかっこ書により、先願に係る外国語特許出願又は外国語実用新案登録出願であって国際公開されたものであっても、翻訳文を提出せずにみなし取下げとなったものは、29条の2の引用例から除くことになります。その理由は、逐条解説p467に記載されているとおりです。
 「出願公開又は」とあるのは「出願公開、」と、読み替えます。これは形式的な読み替えです。なお、「出願公開」が残ることになりますが、国際特許出願について出願公開することはありませんので(184条の9第4項)、注意が必要です。
 「発行が」とあるのは「発行又は1970年6月19日にワシントンで作成された特許協力条約第21条に規定する国際公開が」と、読み替えます。国際特許出願及び国際実用新案登録出願については、出願公開がされませんので(184条の9第4項)、国際公開がされていれば、29条の2の引用例となり得ることを規定しています。
 「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは「第184条の4第1項又は実用新案法第48条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」と、読み替えます。国際特許出願及び国際実用新案登録出願については、願書に最初に添付した明細書等が存在しませんので、国際出願日における明細書等に記載されている発明や考案が引用例となることを規定しています。
 なお、読み替えた後の29条の2を完全な文章にした場合には、通常の国内の特許出願と国際特許出願とが混合した状態となり、不自然な条文となりますが、その原因は、もともとは29条の2第2項に規定していたものをそのまま184条の13に並行移動したことによります。したがって、読み替えは、国際出願についてのみ合目的的に行うこととなります。