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方式審査便覧15.20(却下-1) その3 (18.7.20)

2006-07-20 10:08:04 | Weblog
 方式審査便覧15.20(却下-1) その3

 不適法な出願書類等に係る手続の却下の取扱い

(特許出願)

(8)明細書及び特許請求の範囲を添付しないで特許出願をしたとき。
〔特36条2項、36条の2第1項〕
※コメント
 明細書のみを添付しなかった場合や、特許請求の範囲のみを添付しなかった場合は、方式補正命令の対象になるものと考えられます。
 特許請求の範囲は添付したけれども明細書を添付しなかった場合には、補正命令を受けても、補正によって明細書を追加すると、新規事項の追加に該当することは明らかです。したがって、特許権の取得はできないといえます。
 一方、明細書は添付したけれども、特許請求の範囲は添付しなかったという場合は、補正命令を受けたときは、明細書に記載された事項に基づいて特許請求の範囲を作成することは可能ですので、新規事項の追加にならない特許請求の範囲を補正によって提出することができます。

(9)英語以外の外国語で記載された外国語書面を添付して外国語書面出願をしたとき。〔特36条の2第1項、特施規25条の4〕
※コメント
 外国語書面は、経済産業省令によって英語で作成することになっています。
 したがって、英語以外で作成された外国語書面を添付して外国語書面出願をしたときは、外国語書面出願を却下することとしています。

(実用新案登録に基づく特許出願)

(10)実用新案権の設定の登録がなされていない実用新案登録出願又は実用新案権が消滅した実用新案登録を基礎として実用新案登録に基づく特許出願をしたとき。
〔特46条の2第1項〕
※コメント
 実用新案登録出願が特許庁に係属しているときは、実用新案登録に基づく特許出願をすることはできませんが、かりに実用新案登録に基づく特許出願をしたときは、特許出願を却下することになります。
 実用新案権が消滅した後に、実用新案登録に基づく特許出願をすることはできませんが、かりに実用新案登録に基づく特許出願をした場合には、特許出願を却下することとしています。

(11)実用新案登録に基づく特許出願の基礎とされた実用新案権に、実用新案権の放棄による登録の抹消の申請がなされていないとき又は却下になったとき。
 ただし、この場合において、却下の処分を行おうとする際に、特許法46条の2第1項各号に規定する期間内に実用新案権の放棄による登録の抹消の申請がなされているときは、却下の処分は行わない。
〔特46条の2第1項〕
※コメント
 実用新案登録に基づく特許出願をする際に、実用新案権を放棄することが必要とされますが、実用新案権の抹消登録の申請をしていない場合には、特許出願を却下することとしています。
 実用新案権の抹消登録の申請が却下された場合も、特許出願を却下することとしています。

(12)特許審査の迅速化等のための特許法等の一部を改正する法律(平成16年法律第79号)附則第1条の規定による施行日以前の実用新案登録出願に係る実用新案登録に基づいて実用新案登録に基づく特許出願をしたとき〔特許審査の迅速化等のための特許法等の一部を改正する法律附則2条2項〕
※コメント
 経過措置は実務では重要ですが、弁理士試験では出題されません。

(特許権の存続期間の延長登録出願)

(13)特許番号が記載されていない書面をもって特許権の存続期間の延長登録出願をしたとき(願書に添付された書面全体から特定できるときを除く。)。
〔特67条の2第1項2号〕
※コメント
 特許番号の不記載は、延長登録出願の却下の理由となります。

(14)特許法67条2項の政令で定める処分の内容が記載されていない書面(延長の理由を記載した資料が添付されているときを除く。)をもって特許権の存続期間の延長登録出願をしたとき。
〔特67条の2第1項4号〕
※コメント
 政令で定める処分の内容が記載されていない場合は、延長登録出願の却下の理由となります。

(実用新案登録出願)
(15)明細書及び実用新案登録請求の範囲を添付しないで実用新案登録出願をしたとき。〔実5条2項〕
※コメント
 特許出願の場合と同様に、明細書のみ添付した場合や、実用新案登録請求の範囲のみを添付した場合には、補正命令の対象になるものと解されます。この場合の補正命令の条文としては、実6条の2第4号を適用するようです。

(意匠登録出願)

(16)図面を添付しないで意匠登録出願をしたとき。(意匠法第6条第2項により図面に代えて写真、ひな形又は見本を提出するときを除く。)
〔意6条1項、2項〕
※コメント
 図面を添付しないことは、特許出願でいえば、明細書及び特許請求の範囲を添付しないことに相当します。

(17)意匠に係る物品を記載しない書面をもって意匠登録出願をしたとき(願書に添付された書面全体から特定できるときを除く。)。
〔意6条1項3号〕
※コメント
 意匠に係る物品の欄の記載は、審査対象及び権利対象を特定するために必要な事項です。これが記載されていなければ審査対象を特定することができません。したがって、意匠登録出願を却下することとなります。

(防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録出願)
(18)防護標章登録の登録番号を記載しないで防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録出願をしたとき(願書に添付された書面全体から当該登録番号が特定できるときを除く。)。
〔商65条の3第1項2号〕
※コメント
 防護標章登録の登録番号も、延長登録出願の登録番号と同様の取扱いとなります。

(重複登録商標に係る商標権の存続期間の更新登録出願)
(19)商標登録番号を記載しないで重複登録商標に係る商標権の存続期間の更新登録出願をしたとき(願書に添付された書面全体から当該登録番号が特定できるときを除く。)。〔商標法等の一部を改正する法律(平成8年法律第68号)附則第11条、商標法施行規則等の一部を改正する省令(平成8年通商産業省令第79号)第4条〕
※コメント
 経過措置ですので無視してよいと思います。