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堤卓の弁理士試験情報

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部分意匠の補正 (18.5.25)

2006-05-25 09:27:21 | Weblog
部分意匠の補正に関する論点です。

71.10.1 部分意匠の意匠の要旨

 部分意匠の意匠の要旨とは、その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて願書の記載及び願書に添付した図面等に表された部分意匠を認定するための各要素(①部分意匠の意匠に係る物品、②「意匠登録を受けようとする部分」の用途及び機能、③「意匠登録を受けようとする部分」の位置、大きさ、範囲、④「意匠登録を受けようとする部分」の形態)から直接的に導き出される具体的な意匠の内容をいう。

71.10.2 要旨を変更するものとなる補正の類型

 願書の記載又は願書に添付した図面等にした補正が、以下のいずれかに該当する場合は、出願当初の願書の記載又は願書に添付した図面等の要旨を変更するものである。

(1)その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて当然に導き出すことができる同一の範囲を超えて変更するものと認められる場合
(2)出願当初不明であった意匠の要旨を明確なものとするものと認められる場合

71.10.3 願書の記載についてした補正の具体的な取扱い

(1)願書の「部分意匠」の欄を追加する補正
 出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面等を総合的に判断して、当該意匠登録出願が全体意匠の意匠登録出願であることを当然に導き出すことができるとき、又は総合的に判断しても、当該意匠登録出願が部分意匠の意匠登録出願であるか、全体意匠の意匠登録出願であるかが不明であって、どちらか一方を当然に導き出すことができないときに、願書の「部分意匠」の欄を追加することによって、当該意匠登録出願を部分意匠の意匠登録出願とする補正は、要旨を変更するものである。

 出願当初の願書に「部分意匠」の欄がない場合であっても、願書の記載及び願書に添付した図面等を総合的に判断して、当該意匠登録出願が部分意匠の意匠登録出願であることを当然に導き出すことができるときに、願書に「部分意匠」の欄を追加する補正は、要旨を変更するものではない。

(2)願書の「部分意匠」の欄を削除する補正
 出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面等を総合的に判断して、当該意匠登録出願が部分意匠の意匠登録出願であることを当然に導き出すことができるとき、又は総合的に判断しても、当該意匠登録出願が部分意匠の意匠登録出願であるか、全体意匠の意匠登録出願であるかが不明であって、どちらか一方を当然に導き出すことができないときに、願書の「部分意匠」の欄を削除して、当該意匠登録出願を全体意匠の意匠登録出願とする補正は、要旨を変更するものである。

 出願当初の願書に「部分意匠」の欄がある場合であっても、願書の記載及び願書に添付した図面等を総合的に判断して、当該意匠登録出願が全体意匠の意匠登録出願であることを当然に導き出すことができるときに、願書の「部分意匠」の欄を削除する補正は、要旨を変更するものではない。

(3)部分意匠の意匠登録出願について、「意匠登録を受けようとする部分」を特定する方法に関する記載を補充する補正
 出願当初の願書の「意匠の説明」の欄に「意匠登録を受けようとする部分」を特定する方法に関する記載がなく、願書の記載及び願書に添付した図面等を総合的に判断しても、「意匠登録を受けようとする部分」が不明であって、具体的な意匠を当然に導き出すことができないときに、「意匠登録を受けようとする部分」を特定する方法に関する記載を願書の「意匠の説明」の欄に補充する補正は、要旨を変更するものである。

 出願当初の願書の「意匠の説明」の欄に「意匠登録を受けようとする部分」を特定する方法に関する記載がない場合であっても、願書の記載及び願書に添付した図面等を総合的に判断して、部分意匠の意匠登録出願であることが明確であって、「意匠登録を受けようとする部分」を当然に導き出すことができるときに、「意匠登録を受けようとする部分」を特定する方法に関する記載を願書の「意匠の説明」の欄に補充する補正は、要旨を変更するものではない。

(4)部分意匠の意匠登録出願について、「意匠登録を受けようとする部分」を特定する方法に関する記載を削除する補正
 出願当初の願書に「部分意匠」の欄はないが、願書の記載及び願書に添付した図面等を総合的に判断して、当該意匠登録出願が部分意匠の意匠登録出願であることを当然に導き出すことができるときに、「意匠登録を受けようとする部分」を特定する方法に関する記載を願書の「意匠の説明」の欄から削除する補正は、要旨を変更するものである。

 出願当初の願書に「部分意匠」の欄がなく、願書の記載及び願書に添付した図面等を総合的に判断して、当該意匠登録出願が全体意匠の意匠登録出願であることを当然に導き出すことができるときに、「意匠登録を受けようとする部分」を特定する方法に関する記載を願書の「意匠の説明」の欄から削除する補正は、要旨を変更するものではない。

71.10.4 願書に添付した図面等についてした補正の具体的な取扱い

(1)物理的に分離した二以上の「意匠登録を受けようとする部分」を包含する意匠登録出願を一の部分意匠にする補正物理的に分離した二以上の「意匠登録を受けようとする部分」を包含して、一意匠と取り扱うことのできない部分意匠の意匠登録出願を分割する際に、分割した新たな部分意匠の意匠登録出願における「意匠登録を受けようとする部分」に相当する、もとの部分意匠の意匠登録出願の願書に添付した図面等に表されていた当該「意匠登録を受けようとする部分」を「その他の部分」に訂正する補正は、要旨を変更するものではない。

 この場合、分割を伴わずに、願書に添付した図面等に表されている一の「意匠登録を受けようとする部分」以外のすべての「意匠登録を受けようとする部分」を「その他の部分」に訂正する補正も、要旨を変更するものではない。

(2)「意匠登録を受けようとする部分」の形態等を変更する補正
 「意匠登録を受けようとする部分」の形態を、その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて当然に導き出すことができる同一の範囲を超えて変更する補正あるいは当該部分の形態自体は変更されていないが、「意匠登録を受けようとする部分」の当該物品全体の形態の中での位置、大きさ、範囲を同一の範囲を超えて変更する補正は、要旨を変更するものである。

 また、出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面等を総合的に判断しても、「意匠登録を受けようとする部分」の形態あるいは「意匠登録を受けようとする部分」の当該物品全体の形態の中での位置、大きさ、範囲が不明であるときに、それらを明確なものとする補正は、要旨を変更するものである。

(3)「その他の部分」の形態を変更する補正
 「その他の部分」の一部を実線に訂正することによって「意匠登録を受けようとする部分」の形態を、その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて当然に導き出すことができる同一の範囲を超えて変更するものとなる補正あるいは「その他の部分」の輪郭形状を変更することによって、「意匠登録を受けようとする部分」の当該物品全体の形態の中での位置、大きさ、範囲を、その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて当然に導き出すことができる同一の範囲を超えて変更するものとなる補正は、要旨を変更するものである。

 出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面等を総合的に判断して、当該意匠登録出願が部分意匠の意匠登録出願であることを当然に導き出すことができるときに、「その他の部分」を全て実線に訂正し、願書の記載についても必要な訂正をして当該部分意匠の意匠登録出願を全体意匠の意匠登録出願に変更する補正は、要旨を変更するものである。