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2023年3月24日 弁理士試験 代々木塾 意匠法38条

2023-03-24 05:07:20 | Weblog
2023年3月24日 弁理士試験 代々木塾 意匠法38条

(侵害とみなす行為)第三十八条
 次に掲げる行為は、当該意匠権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
一 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造にのみ用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等について業として行う次のいずれかに該当する行為
イ 当該製造にのみ用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為
ロ 当該製造にのみ用いるプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為
二 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造に用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等(これらが日本国内において広く一般に流通しているものである場合を除く。)であつて当該登録意匠又はこれに類似する意匠の視覚を通じた美感の創出に不可欠なものにつき、その意匠が登録意匠又はこれに類似する意匠であること及びその物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等がその意匠の実施に用いられることを知りながら、業として行う次のいずれかに該当する行為
イ 当該製造に用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為
ロ 当該製造に用いるプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為
三 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品を業としての譲渡、貸渡し又は輸出のために所持する行為
四 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る建築物の建築にのみ用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等について業として行う次のいずれかに該当する行為
イ 当該建築にのみ用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為
ロ 当該建築にのみ用いるプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為
五 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る建築物の建築に用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等(これらが日本国内において広く一般に流通しているものである場合を除く。)であつて当該登録意匠又はこれに類似する意匠の視覚を通じた美感の創出に不可欠なものにつき、その意匠が登録意匠又はこれに類似する意匠であること及びその物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等がその意匠の実施に用いられることを知りながら、業として行う次のいずれかに該当する行為
イ 当該建築に用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為
ロ 当該建築に用いるプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為
六 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る建築物を業としての譲渡又は貸渡しのために所有する行為
七 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る画像の作成にのみ用いる物品若しくは画像若しくは一般画像記録媒体等又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等について業として行う次のいずれかに該当する行為
イ 当該作成にのみ用いる物品若しくは一般画像記録媒体等又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為
ロ 当該作成にのみ用いる画像又はプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為
八 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る画像の作成に用いる物品若しくは画像若しくは一般画像記録媒体等又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等(これらが日本国内において広く一般に流通しているものである場合を除く。)であつて当該登録意匠又はこれに類似する意匠の視覚を通じた美感の創出に不可欠なものにつき、その意匠が登録意匠又はこれに類似する意匠であること及びその物品若しくは画像若しくは一般画像記録媒体等又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等がその意匠の実施に用いられることを知りながら、業として行う次のいずれかに該当する行為
イ 当該作成に用いる物品若しくは一般画像記録媒体等又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為
ロ 当該作成に用いる画像又はプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為
九 登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る画像を業としての電気通信回線を通じた提供のために保有する行為又は登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る画像記録媒体等を業としての譲渡、貸渡し若しくは輸出のために所持する行為

〔解説〕

・令和元年改正の趣旨
 令和元年改正前の意匠法においては、特101条2号(多機能品型間接侵害)に相当する規定が存在しなかった。しかし、近年、意匠権を侵害する製品の完成品を構成部品(非専用品)に分割して輸入することにより、意匠権侵害を回避する等、輸入手口が巧妙になってきていた。また、特徴ある部分以外の部分をあえて模倣する事例が発生しており、必ずしも部分意匠制度によって対応できない事例が生じていた。そこで、令和元年改正により、意匠法においても、多機能品型間接侵害の規定を導入することとした。

・1号(専用品型間接侵害)
 物品、プログラム等、プログラム等記録媒体等が専用品である場合には、これを製造等する行為を間接侵害とするものである。プログラム等については、令和元年改正後は、侵害とみなす行為を具体的に規定している。
 間接侵害品の「輸出」は、1号の行為から除外されている。「輸出」する行為を1号の間接侵害行為に含めたときは、外国での実施行為をも差し止めることに等しく、意匠権の効力は日本国内にのみ及び、外国には及ばないとする属地主義に反することになるからである。
 同様に、2号、4号、5号、7号、8号においても、「輸出」は除外されている。

・2号(多機能品型間接侵害)
 令和元年改正により、特101条2号と同様に、多機能品型間接侵害の規定を導入することとした。基本的な考え方は、特101条2号と同様である。

・3号(令和元年改正前2号と同様)模倣品拡散防止型間接侵害

(1)専用品の所持については、間接侵害とならない。予備的行為のさらに予備的行為となるため、意匠権の効力の不当な拡張となるからである。

(2)所持とは、倉庫に保管する行為等をいう。
 38条3号に基づく差止請求(37条1項)は、「イ号製品を所持してはならない。」とするものである。同時に、「イ号製品を廃棄せよ。」という付帯請求(37条2項)もすることができる。

・4号(建築物の建築に関する専用品型間接侵害)
 令和元年改正により、意匠法の保護対象(2条1項)に建築物を追加することとなったことに伴い、建築物の建築にのみ用いる物品又はプログラム等又はプログラム等記録媒体等を製造等する行為を侵害とみなすこととした。

・5号(建築物の建築に関する多機能品型間接侵害)
 令和元年改正により、意匠法の保護対象(2条1項)に建築物を追加することとなったことに伴い、建築物の建築に用いる物品等について、特101条2号と同様の間接侵害規定を導入することとした。

・6号(建築物の所有)
 令和元年改正により、意匠法の保護対象(2条1項)に建築物を追加することとなったことに伴い、建築物を譲渡等の目的で所有する行為を侵害とみなすこととした。

・7号(画像に関する専用品型間接侵害)
 令和元年改正により、意匠法の保護対象(2条1項)となる画像の範囲を拡大したことに伴い、画像の作成にのみ用いる物品又は画像又は一般画像記録媒体等又はプログラム等又はプログラム等記録媒体等を製造等する行為を侵害とみなすこととした。

・8号(画像に関する多機能品型間接侵害)
 令和元年改正により、意匠法の保護対象(2条1項)となる画像の範囲を拡大したことに伴い、画像の作成に用いる物品等について、特101条2号と同様の間接侵害規定を導入することとした。

・9号(画像の保有)
 令和元年改正により、意匠法の保護対象(2条1項)となる画像の範囲を拡大したことに伴い、画像を電気通信回線を通じた提供の目的で保有する行為、画像記録媒体等を譲渡等の目的で所持する行為を侵害とみなすこととした。



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