(秘密意匠)
第14条
本条は、秘密意匠について規定しています。
第1項
・請求人
秘密請求をすることができる者は、意匠登録出願人のみです。
2項に規定するとおり、秘密請求は出願と同時にしなければなりませんので、出願人のみが請求できることになります。出願人以外の利害関係人は一切関与することはできません。
共同出願の場合に秘密請求は全員でしなければならないのかという議論がありますが、出願と同時に秘密請求をするわけですので、共同出願である場合には、自動的に共同出願人の全員ですることになってしまいます。代表者の定めがあっても、出願は共同出願人の全員ですることになりますので、秘密請求の手続も自動的に共同出願人の全員ですることになります。したがって、疑義が生ずることはありません。
・請求期間
秘密にすることができる期間は、意匠権の設定の登録の日から3年以内です。
3年以内であれば、出願人の任意となります。
秘密にすることができる期間は、1日を単位として指定できると解されます。例えば、2年と3か月と5日間というような指定もすることができると解されます。
・手続
秘密請求をする場合には、願書に添付すべき図面等を密封し、かつ、「秘密意匠」と朱書しなければなりません(施行規則10条)。
・手数料の納付
秘密請求には手数料が必要となります(67条2項別表2)。
なお、秘密請求に係る意匠権の設定の登録料は、秘密請求をしていない意匠権の場合と同等です。登録料が増額されることはありません。
第2項
・書面の提出
秘密請求をする場合には、次の各号の事項を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出しなければなりません。
・第1号 意匠登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
・第2号 秘密にすることを請求する期間
なお、当該書面の提出は、意匠登録出願の願書に必要な事項を記載することにより、省略することができます(施行規則9条1項)。
この場合は、様式第2備考29により、【代理人】の欄の次に【秘密にすることを請求する期間】の欄を設け、秘密にすることを請求する期間を記載します。
第3項
秘密請求期間は、延長又は短縮することを請求することができます。
例えば、秘密期間を2年として請求したところ、実施開始時期がまだ先になる場合には、2年を3年に延長することができます。
ただし、延長するにしても、意匠権の設定の登録の日から3年を超えることはできません。
延長又は短縮を請求することができる者は、意匠登録出願が特許庁に係属している場合には意匠登録出願人であり、意匠権の設定の登録後の場合には意匠権者です。
延長又は短縮の請求は、秘密意匠期間変更請求書を提出して行います(施行規則11条、様式第10)。
なお、秘密請求期間が経過した後は、まだ意匠権の設定の登録の日から3年を経過していないとしても、秘密期間を延長することはできないものと解されます。なぜなら、秘密期間が満了した場合には、登録意匠等を掲載した意匠公報を発行することとなるからです(20条4項)。
秘密期間の延長又は短縮の請求には、手数料は必要とされません(67条2項別表)。
意匠登録出願が共同出願の場合に、延長又は短縮の請求を共有者の一部の者が単独ですることができるかどうかという問題があります。意匠法68条2項において特許法14を準用していますが、延長又は短縮の請求については、準用する特許法14条本文に列記された手続ではありませんので、代表者の定めがない場合には各共有者が単独で請求することができ、代表者の定めがある場合には代表者のみが請求できるということになります。
第4項
特許庁長官は、次の各号の一に該当するときは、1項の規定により秘密にすることを請求した意匠を意匠権者以外の者に示さなければなりません。
本項は強行規定ですので、各号に該当するときは、必ずその者に示すことが必要とされます。特許庁長官の裁量によって示さないとする選択はすることができません。この点で、特許庁長官の裁量が認められている63条1項とは異なります。
・第1号
意匠権者の承諾を得たときです。この場合は、秘密請求をした本人の了解がありますので、秘密を解除することにまったく問題はありません。
・第2号
その意匠又はその意匠と同一若しくは類似の意匠に関する審査、審判、再審又は訴訟の当事者又は参加人から請求があったときです。
その意匠とは、秘密意匠そのものを意味します。
その意匠と同一若しくは類似の意匠とは、秘密意匠とは別の意匠のことを意味します。
例えば、秘密請求に係る意匠の意匠権者が甲であり、この甲の出願を引用して乙の意匠登録出願について9条1項違反の拒絶理由通知がされた場合には、乙は、本号の適用を受けて、秘密意匠の閲覧を請求することができます。、
・第3号
裁判所から請求があったときです。
例えば、秘密意匠権に係る侵害訴訟が裁判所に提起されている場合において、原告が主張する登録意匠が実際に登録されている意匠であるかどうか裁判所が判断しようとする際に、裁判所は、本号の適用を受けて閲覧を請求することができます。
・第4号
利害関係人が意匠権者の氏名又は名称及び登録番号を記載した書面その他経済産業省令で定める書面を特許庁長官に提出して請求したときです。
経済産業省令で定める書面とは、利害関係人であることを証明する書面をいいます(施行規則12条)。
例えば、意匠権の侵害警告を受けた者が意匠権者が示した意匠が本当に登録意匠であるかどうかを確認したいという場合には、本号の適用を受けて閲覧を請求することができます。
第14条
本条は、秘密意匠について規定しています。
第1項
・請求人
秘密請求をすることができる者は、意匠登録出願人のみです。
2項に規定するとおり、秘密請求は出願と同時にしなければなりませんので、出願人のみが請求できることになります。出願人以外の利害関係人は一切関与することはできません。
共同出願の場合に秘密請求は全員でしなければならないのかという議論がありますが、出願と同時に秘密請求をするわけですので、共同出願である場合には、自動的に共同出願人の全員ですることになってしまいます。代表者の定めがあっても、出願は共同出願人の全員ですることになりますので、秘密請求の手続も自動的に共同出願人の全員ですることになります。したがって、疑義が生ずることはありません。
・請求期間
秘密にすることができる期間は、意匠権の設定の登録の日から3年以内です。
3年以内であれば、出願人の任意となります。
秘密にすることができる期間は、1日を単位として指定できると解されます。例えば、2年と3か月と5日間というような指定もすることができると解されます。
・手続
秘密請求をする場合には、願書に添付すべき図面等を密封し、かつ、「秘密意匠」と朱書しなければなりません(施行規則10条)。
・手数料の納付
秘密請求には手数料が必要となります(67条2項別表2)。
なお、秘密請求に係る意匠権の設定の登録料は、秘密請求をしていない意匠権の場合と同等です。登録料が増額されることはありません。
第2項
・書面の提出
秘密請求をする場合には、次の各号の事項を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出しなければなりません。
・第1号 意匠登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
・第2号 秘密にすることを請求する期間
なお、当該書面の提出は、意匠登録出願の願書に必要な事項を記載することにより、省略することができます(施行規則9条1項)。
この場合は、様式第2備考29により、【代理人】の欄の次に【秘密にすることを請求する期間】の欄を設け、秘密にすることを請求する期間を記載します。
第3項
秘密請求期間は、延長又は短縮することを請求することができます。
例えば、秘密期間を2年として請求したところ、実施開始時期がまだ先になる場合には、2年を3年に延長することができます。
ただし、延長するにしても、意匠権の設定の登録の日から3年を超えることはできません。
延長又は短縮を請求することができる者は、意匠登録出願が特許庁に係属している場合には意匠登録出願人であり、意匠権の設定の登録後の場合には意匠権者です。
延長又は短縮の請求は、秘密意匠期間変更請求書を提出して行います(施行規則11条、様式第10)。
なお、秘密請求期間が経過した後は、まだ意匠権の設定の登録の日から3年を経過していないとしても、秘密期間を延長することはできないものと解されます。なぜなら、秘密期間が満了した場合には、登録意匠等を掲載した意匠公報を発行することとなるからです(20条4項)。
秘密期間の延長又は短縮の請求には、手数料は必要とされません(67条2項別表)。
意匠登録出願が共同出願の場合に、延長又は短縮の請求を共有者の一部の者が単独ですることができるかどうかという問題があります。意匠法68条2項において特許法14を準用していますが、延長又は短縮の請求については、準用する特許法14条本文に列記された手続ではありませんので、代表者の定めがない場合には各共有者が単独で請求することができ、代表者の定めがある場合には代表者のみが請求できるということになります。
第4項
特許庁長官は、次の各号の一に該当するときは、1項の規定により秘密にすることを請求した意匠を意匠権者以外の者に示さなければなりません。
本項は強行規定ですので、各号に該当するときは、必ずその者に示すことが必要とされます。特許庁長官の裁量によって示さないとする選択はすることができません。この点で、特許庁長官の裁量が認められている63条1項とは異なります。
・第1号
意匠権者の承諾を得たときです。この場合は、秘密請求をした本人の了解がありますので、秘密を解除することにまったく問題はありません。
・第2号
その意匠又はその意匠と同一若しくは類似の意匠に関する審査、審判、再審又は訴訟の当事者又は参加人から請求があったときです。
その意匠とは、秘密意匠そのものを意味します。
その意匠と同一若しくは類似の意匠とは、秘密意匠とは別の意匠のことを意味します。
例えば、秘密請求に係る意匠の意匠権者が甲であり、この甲の出願を引用して乙の意匠登録出願について9条1項違反の拒絶理由通知がされた場合には、乙は、本号の適用を受けて、秘密意匠の閲覧を請求することができます。、
・第3号
裁判所から請求があったときです。
例えば、秘密意匠権に係る侵害訴訟が裁判所に提起されている場合において、原告が主張する登録意匠が実際に登録されている意匠であるかどうか裁判所が判断しようとする際に、裁判所は、本号の適用を受けて閲覧を請求することができます。
・第4号
利害関係人が意匠権者の氏名又は名称及び登録番号を記載した書面その他経済産業省令で定める書面を特許庁長官に提出して請求したときです。
経済産業省令で定める書面とは、利害関係人であることを証明する書面をいいます(施行規則12条)。
例えば、意匠権の侵害警告を受けた者が意匠権者が示した意匠が本当に登録意匠であるかどうかを確認したいという場合には、本号の適用を受けて閲覧を請求することができます。