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21/1/20 特許法41条3項の解釈 

2009-01-20 08:23:10 | Weblog
特許法41条3項の解釈

「第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願」

★国内優先権の主張を伴う後の出願を意味します。

「の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」

★後の出願の出願当初の明細書等を意味します。
 補正がされた後の明細書や、特許後に訂正がされた後の明細書等は含まれません。したがって、補正により削除した発明であっても、優先権の利益が認められることになります。

「(外国語書面出願にあつては、外国語書面)」

★後の出願が外国語書面出願のときは、願書に最初に添付した明細書が存在しませんので、外国語書面に置き換えています。外国語書面は補正をすることができませんので、外国語書面の内容は確定したものとなります。

「に記載された発明のうち、」

★後の出願当初又は外国語書面に記載した発明について優先権の利益を認めることになります。

「当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」

★先の出願の出願当初の明細書等に記載された発明について優先権の利益を認めることになります。

「(当該先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)」

★先の出願が外国語書面出願の場合は、外国語書面に記載した発明について優先権の利益を認めることになります。

「に記載された発明」

★先の出願の当初明細書に記載された発明と同一の発明であることを意味します。

「(当該先の出願が同項若しくは実用新案法第八条第一項の規定による優先権の主張又は第四十三条第一項若しくは第四十三条の二第一項若しくは第二項(同法第十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、」

★先の出願がすでに優先権(パリ条約の優先権、パリ条約の例による優先権、国内優先権)の主張を伴っている場合について適用します。例えば、特許出願Aに基づく優先権の主張を伴う後の特許出願Bをし、その後、特許出願Bに基づく優先権の主張を伴う後の特許出願Cをしたような場合です。

「当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類(明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面に相当するものに限る。)に記載された発明を除く。)」

★先の出願がすでに優先権の主張を伴う場合において、先の出願のより先の出願の当初明細書にも記載されている発明については、優先権の利益を認めないとするものです。
 例えば、特許出願Aに基づく優先権の主張を伴う後の特許出願Bをし、その後、特許出願Bに基づく優先権の主張を伴う後の特許出願Cをしたような場合において、特許出願Aの出願当初の明細書等には発明イが記載され、特許出願Bの出願当初の明細書等には発明イと発明ロが記載され、特許出願Cの出願当初の明細書等には発明イと発明ロと発明ハが記載されていたとします。
 特許出願Cに係る発明のうち、発明イについては、このかっこ書が適用されますので、優先権の利益が否定されることになります。
 特許出願Cに係る発明のうち、優先権の利益が認められるのは、発明ロのみとなります。

「については、当該特許出願について特許掲載公報の発行又は出願公開がされた時に当該先の出願について出願公開又は実用新案掲載公報の発行がされたものとみなして、第二十九条の二本文又は同法第三条の二本文の規定を適用する。」

★先の出願は、特許法42条1項本文の規定により、その日から1年3月を経過した時にみなし取下げとなります。
 そこで、後の出願について出願公開等されたときに、先の出願について出願公開等されたものとみなして、先の出願を特許法29条の2の「他の特許出願」として引用することができる旨を規定しています。
 この規定は、先の出願を特許法29条の2の引用例とするものです。
 後の出願を特許法29条の2の引用例とするときは、後の出願の出願日を基準として、それよりも後願についてのみ、後願を排除することができます。後の出願の日前の出願に対しては、後の出願を引用して特許法29条の2で拒絶することができません。
 だからこそ、この規定を設けて、先の出願が出願公開されたものとみなして、先の出願を特許法29条の2の引用例とすることが必要となるわけです。

 以上です。