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2023年4月11日 弁理士試験 代々木塾 特許法184条の9

2023-04-11 02:16:29 | Weblog
2023年4月11日 弁理士試験 代々木塾 特許法184条の9

(国内公表等)第百八十四条の九
1 特許庁長官は、第百八十四条の四第一項又は第四項の規定により翻訳文が提出された外国語特許出願について、特許掲載公報の発行をしたものを除き、国内書面提出期間(同条第一項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間。以下この項において同じ。)の経過後(国内書面提出期間内に出願人から出願審査の請求があつた国際特許出願であつて条約第二十一条に規定する国際公開(以下「国際公開」という。)がされているものについては出願審査の請求の後、第百八十四条の四第四項の規定により明細書等翻訳文が提出された外国語特許出願については当該明細書等翻訳文の提出の後)、遅滞なく、国内公表をしなければならない。
2 国内公表は、次に掲げる事項を特許公報に掲載することにより行う。
一 出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 特許出願の番号
三 国際出願日
四 発明者の氏名及び住所又は居所
五 第百八十四条の四第一項に規定する明細書及び図面の中の説明の翻訳文に記載した事項、同項に規定する請求の範囲の翻訳文(同条第二項に規定する翻訳文が提出された場合にあつては、当該翻訳文)及び同条第六項に規定する翻訳文に記載した事項、図面(図面の中の説明を除く。)の内容並びに要約の翻訳文に記載した事項(特許公報に掲載することが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると特許庁長官が認めるものを除く。)
六 国内公表の番号及び年月日
七 前各号に掲げるもののほか、必要な事項
3 第六十四条第三項の規定は、前項の規定により同項第五号の要約の翻訳文に記載した事項を特許公報に掲載する場合に準用する。
4 第六十四条の規定は、国際特許出願には、適用しない。
5 国際特許出願については、第四十八条の五第一項、第四十八条の六、第六十六条第三項ただし書、第百二十八条、第百八十六条第一項第一号及び第三号並びに第百九十三条第二項第一号、第二号、第七号及び第十号中「出願公開」とあるのは、日本語特許出願にあつては「第百八十四条の九第一項の国際公開」と、外国語特許出願にあつては「第百八十四条の九第一項の国内公表」とする。
6 外国語特許出願に係る証明等の請求については、第百八十六条第一項第一号中「又は第六十七条の五第二項の資料」とあるのは「又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第三条(2)に規定する国際出願の願書、明細書、請求の範囲、図面若しくは要約(特許権の設定の登録がされた国際特許出願に係るもの又は国際公開がされたものを除く。)」とする。
7 国際特許出願に関し特許公報に掲載すべき事項については、第百九十三条第二項第三号中「出願公開後における」とあるのは、「国際公開がされた国際特許出願に係る」とする。

〔解説〕

 184条の9は、外国語特許出願の翻訳文の国内公表の時期及びその方法、国際特許出願についての出願公開の不適用等について規定している。
 国際出願は、国際出願の指定国の全てがPCT64条(3)(a)の宣言を行っている場合(出願人から公開の請求があった場合を除く)を除き、優先日から18月を経過した後(出願人から早期公開の請求があったときはその請求の後)速やかにジュネーブで国際公開されることとなっている(PCT21条)。
 国際公開は、日本語、英語、フランス語、ドイツ語、中国語、スペイン語、ロシア語、アラビア語、韓国語又はポルトガル語で作成された国際出願についてはこれらの言語で、これらの言語以外の言語で作成された国際出願については、国際事務局の責任で作成された英語の翻訳文を公開することとなっている(PCT規則48.3)。
 したがって、日本語以外の言語で国際公開された国際出願については、その内容について日本語で日本国民に広く知らしめる必要がある。
 このため外国語特許出願について提出された翻訳文を、特許掲載公報の発行をした外国語特許出願に係るものを除き、国内公表することとしたものである。

・184条の9第1項(国内公表)

<国内公表の対象>
 外国語特許出願については、PCT21条(2)(a)により、優先日から18月を経過した時に国際公開が行われるが、国際公開の言語は日本語以外の外国語であるため、日本国民には分かりにくい。
 そこで、外国語特許出願については、国際公開を補完する目的で、日本語により国内公表をすることとしたものである。

 日本語特許出願については、日本語により国際公開が行われるので、国内公表の対象となっていない。

<国際出願の国際公開>
 PCT21条 国際公開
(1)国際事務局は、国際出願の国際公開を行う。
(2)(a)国際出願の国際公開は、(b)及び第六十四条(3)に定める場合を除くほか、国際出願の優先日から十八箇月を経過した後速やかに行う。
(b)出願人は、(a)に定める期間の満了前のいずれの時においても国際出願の国際公開を行うことを国際事務局に請求することができるものとし、国際事務局は、規則の定めるところにより手続をとる。(以下略)

<国内手続の繰延べ>
 PCT23条 国内手続の繰延べ
(1)指定官庁は、前条に規定する当該期間の満了前に、国際出願の処理又は審査を行つてはならない。
(2)(1)の規定にかかわらず、指定官庁は、出願人の明示の請求により、国際出願の処理又は審査をいつでも行うことができる。

<国内公表をする時期>
 PCT23条により、指定官庁は、出願人の明示の請求がない限り、優先日から30月を経過するまでは、国際出願の処理又は審査を行うことができない。
 PCT30条により、国際出願については国際公開がされるまでは秘密保持義務がある。
 そこで、原則として、優先日から2年6月の国内書面提出期間又は翻訳文提出特例期間を経過した後に国内公表を行うこととした。

 例外として、PCT21条(2)(b)により、出願人が国際事務局に対し国際公開の請求をし、優先日から18月経過前に国際公開がされた場合において、国内書面提出期間内又は翻訳文提出特例期間内に出願人が出願審査の請求をしたときは(PCT23条(2))、国内書面提出期間又は翻訳文提出特例期間が経過する前であっても、出願審査の請求後、遅滞なく、国内公表をすることとしている。

 184条の4第4項の救済規定により翻訳文を提出したときは、すでに国内書面提出期間又は翻訳文提出特例期間は経過しているので、翻訳文の提出後、遅滞なく、国内公表を行うこととしている。

<出願人の手続>
 出願人が所定の翻訳文を提出した後でなければ、国内公表がされないのは、実務上、翻訳文が提出されなければ、明細書等とみなされるものが存在せず、明細書等の内容を公報に掲載することができないからである。

 国内書面の提出、国内手数料の納付について、特に言及していないのは、国内書面提出期間又は翻訳文提出特例期間の経過後において外国語特許出願が特許庁に係属するためには、国内書面が提出され、国内手数料が納付されていることが必要とされるからである。
 所定の翻訳文を提出したが、国内書面を提出せず、国内手数料を納付しないときは、特許庁長官による補正命令の対象となり、補正をしないときは、外国語特許出願は却下されるので、この場合は、国内公表の対象とはならない。

 国内書面提出期間内又は翻訳文提出特例期間内に出願審査の請求をするためには、184条の17により、その前に、所定の翻訳文を提出し、国内書面を提出し、国内手数料を納付することが必要となる。

・184条の9第2項(特許公報の掲載事項)
 184条の9第2項は、国内公表に係る特許公報の掲載事項について規定している。
 国内公表は、外国語特許出願についての国際公開を補完するものであり、国内出願についての出願公開と同様の性格を有している。
 そこで、国内公表の掲載事項は、出願公開の掲載事項と原則として同様とすることとした。

 64条の出願公開の場合は、補正があったときは、補正後の内容を公報に掲載することとしているが、国内公表の場合は、原則として、国際出願日において提出された国際出願の明細書等の翻訳文の内容を掲載することとしている。
 ただし、外国語特許出願についてPCT19条補正がされ、PCT19条補正後の請求の範囲の翻訳文が所定の期間内に提出されたときは、PCT19条補正後の請求の範囲の翻訳文の内容も公報に掲載することとしている(184条の9第2項5号)。国際出願日における請求の範囲の翻訳文が提出されない場合があるからである。

・184条の9第3項(64条3項の準用)
 184条の9第3項は、64条3項の規定を準用する旨を規定している。

(出願公開)第六十四条
2 出願公開は、次に掲げる事項を特許公報に掲載することにより行う。ただし、第四号から第六号までに掲げる事項については、当該事項を特許公報に掲載することが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると特許庁長官が認めるときは、この限りでない。
一 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 特許出願の番号及び年月日
三 発明者の氏名及び住所又は居所
四 願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容
五 願書に添付した要約書に記載した事項
六 外国語書面出願にあつては、外国語書面及び外国語要約書面に記載した事項
七 出願公開の番号及び年月日
八 前各号に掲げるもののほか、必要な事項
3 特許庁長官は、願書に添付した要約書の記載が第三十六条第七項の規定に適合しないときその他必要があると認めるときは、前項第五号の要約書に記載した事項に代えて、自ら作成した事項を特許公報に掲載することができる。

 外国語特許出願の出願人が提出した要約の翻訳文が不適切であるときは、特許庁長官が作成した事項を特許法公報に掲載することができることとした。

・184条の9第4項(64条の適用除外)
 184条の9第4項は、国際特許出願には、64条を適用しない旨を規定している。

 日本語特許出願については日本語で国際公開(PCT21条)が行われる。外国語特許出願については日本語の翻訳文で国内公表(184条の9第1項)が行われる。
 そこで、国際特許出願については、64条1項の出願公開は、行わないこととした。

 なお、184条の13における29条の2の適用における読み替えにおいては、国際特許出願についても出願公開がされるかのような誤解を生じやすいが、この読み替えは、かつては、29条の2第2項に規定されていたものを、その当時の読み替えをそのまま184条の13に移動したことに起因している。

 国際特許出願については、いかなる場合も、出願公開はされない。

・184条の9第5項(所定の規定の読み替え)
 国際特許出願については、所定の規定の適用において、「出願公開」とあるのは、日本語特許出願については「国際公開」と読み替え、外国語特許出願については「国内公表」と読み替えることとした。

・184条の9第6項(186条の読み替え)
 186条1項1号については、外国語特許出願については、国際公開がされるまでは、国際出願の明細書等については証明等の請求ができないこととした。

(証明等の請求)第百八十六条
1 何人も、特許庁長官に対し、特許に関し、証明、書類の謄本若しくは抄本の交付、書類の閲覧若しくは謄写又は特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている事項を記載した書類の交付を請求することができる。ただし、次に掲げる書類については、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるときは、この限りでない。
一 願書、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、図面若しくは要約書若しくは外国語書面若しくは外国語要約書面若しくは特許出願の審査に係る書類(特許権の設定の登録又は出願公開がされたものを除く。)又は第六十七条の二第二項の資料

・184条の9第7項(193条の読み替え)
 193条2項3号の適用においては、国際特許出願については、国際公開後にされた補正について特許公報に掲載することとした。

(特許公報)第百九十三条
2 特許公報には、この法律に規定するもののほか、次に掲げる事項を掲載しなければならない。
三 出願公開後における第十七条の二第一項の規定による願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正(同項ただし書各号の規定によりしたものにあつては、誤訳訂正書の提出によるものに限る。)



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