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2023年6月12日 弁理士試験 代々木塾 意匠法5条

2023-06-12 06:59:40 | Weblog
2023年6月12日 弁理士試験 代々木塾 意匠法5条

(意匠登録を受けることができない意匠)第五条
 次に掲げる意匠については、第三条の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。
一 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある意匠
二 他人の業務に係る物品、建築物又は画像と混同を生ずるおそれがある意匠
三 物品の機能を確保するために不可欠な形状若しくは建築物の用途にとつて不可欠な形状のみからなる意匠又は画像の用途にとつて不可欠な表示のみからなる意匠

〔解説〕

・5条1号(公序良俗)

(1)公の秩序を害するおそれがある意匠に該当するもの(意匠審査基準)
(a)日本国又は外国の元首の像を表した意匠
(b)日本国又は外国の国旗を表した意匠
(c)日本国の皇室の菊花紋章や外国の王室の紋章(類似も含む)を表した意匠
 (a)~(c)の意匠は、国等の尊厳を害するため、公の秩序を害するおそれがある。
 ただし、模様として表された運動会風景中の万国旗は、国の尊厳を害することはないので、公の秩序を害するおそれがない。

(2)善良の風俗を害するおそれがある意匠に該当するもの(意匠審査基準)
 人の道徳感を不当に刺激し、羞恥、嫌悪の念を起こさせる意匠

・5条2号(物品の混同)

(1)令和元年改正により、物品と混同を生ずるおそれがある意匠のほかに、建築物と混同を生ずるおそれがある意匠と、画像と混同を生ずるおそれがある意匠も、意匠登録を受けることができないこととした。

(2)2号の混同とは、出所の混同を意味する。意匠の混同は、3条1項3号の類似に該当する。

(3)混同を生ずるおそれがあるかどうかは、需要者及び取引者を基準に判断すべきである。物品等の流通市場における出所の混同のおそれの有無が問題となるからである。

(4)2号に該当する具体例(意匠審査基準)
(a)他人の著名な標章が、物品、建築物又は画像の意匠として主体的に表されている場合
(b)他人の著名な標章が、物品、建築物又は画像の意匠の一部に商標的使用態様で表されている場合
(c)他人の著名な標章が意匠に融合しているが、なおそこに標章があると認められる場合

・5条3号(技術的機能の保護除外)

(1)5条3号の規定を設けた趣旨(平成10年改正の趣旨)
 物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠に意匠権が設定されると、第三者がその機能を有する物品を実施しようとする場合、この意匠権の侵害となってしまうため、経済活動を不当に制限し、かえって産業発展を阻害する要因になりかねない。そこで、平成10年改正において、5条3号に不登録事由として規定することとした。

(2)令和元年改正により、物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠のほかに、建築物の用途にとって不可欠な形状のみからなる意匠と、画像の用途にとって不可欠な表示のみからなる意匠についても、意匠登録を受けることができないこととした。

(3)物品の機能を確保するために不可欠な形状のみ(意匠審査基準)
(a)その形状が専ら物品の技術的機能を確保するために必然的に定まる形状
(b)その形状が物品の互換性確保等のために標準化された規格により定まる形状だけで構成されているもの(JIS規格、ISO規格等)
 ただし、(b)については形状に基づく機能の発揮が主たる使用の目的となる物品である場合に限られており、例えば乾電池のように、標準化された形状であっても、その形状に基づく機能の発揮が主たる使用の目的ではない意匠については、機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠に該当しない。

(4)建築物の用途にとって不可欠な形状のみ(意匠審査基準)
 その形状が建築物の用途を確保するための必然的な形状だけで構成されているものをいう。
 建築物の用途により必然的に定まる形状のみからなる「ガスタンク」の球形状の本体部分のみについて意匠登録を受けようとする意匠であるときは、5条3号に該当する。

(5)形状のみ(青本)
 物品の技術的機能及び建築物の用途は専ら形状によって体現されることから、意匠の構成要素である模様、色彩の有無を問わず、その意匠の形状にのみ着目するという意味である。
 したがって、形状に模様や色彩が付加されていても、その形状が物品の機能を確保するために不可欠な形状若しくは建築物の用途にとって不可欠な形状であるときは、5条3号に該当することとなる。

(6)画像の用途にとって不可欠な表示のみ(意匠審査基準)
 その表示が画像の用途を確保するための必然的な表示だけで構成されているものをいう。
 道路標識表示部分について意匠登録を受けようとする「道路標識用画像」の意匠であるときは、5条3号に該当する。



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