堤卓の弁理士試験情報

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2023年3月31日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の12の2

2023-03-31 04:34:47 | Weblog
2023年3月31日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の12の2

(意匠登録の査定の方式の特例)第六十条の十二の二
1 国際意匠登録出願についての第十九条において準用する特許法第五十二条第二項の規定の適用については、特許庁長官は、査定(第十八条の規定による意匠登録をすべき旨の査定に限る。)に記載されている事項を、経済産業省令で定めるところにより、国際事務局を経由して国際登録の名義人に通知することをもつて、第十九条において準用する同項の規定による当該査定の謄本の送達に代えることができる。
2 前項の場合において、同項の規定による通知が国際登録簿に記録された時に、同項に規定する送達があつたものとみなす。

〔解説〕

<令和3年改正の趣旨>
 意匠登録出願について意匠登録をすべき旨の査定(登録査定)がなされた場合、特許庁長官は、登録査定の謄本を出願人に送達しなければならない(意匠法19条で準用する特許法52条2項)。そして、出願人が在外者であって国内代理人(意匠管理人)がないときは、書類を航空扱いとした書留郵便等に付して発送することができ(意匠法68条5項で準用する特許法192条2項)、この場合、その発送の時に送達があったものとみなされる(同条第3項)。
 ジュネーブ改正協定に基づき行われた国際意匠登録出願において、登録査定がなされた場合、日本国の特許庁は、「登録査定の謄本」を出願人(国内代理人がいる場合には当該代理人)に送達し(意匠法18条、意匠法19条で準用する特許法52条2項及び意匠法68条5項で準用する特許法192条2項)、意匠権の設定登録をするとともに、国際事務局経由で出願人に「保護の付与の声明」を電子的に通知している(ジュネーブ改正協定第18規則の2)。
 しかし、令和2年初頭からの新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、一部の外国について国際郵便の引受けが停止され、日本国の特許庁から海外の出願人に対して、意匠権の設定の登録の前提として行う「登録査定の謄本」の送達が滞った。これにより、意匠登録の要件を満たしている国際意匠登録出願の意匠権の設定登録が遅れ、海外の出願人が不利益を受けるという事態が生じた。
 そこで、このような状況を踏まえ、令和3年改正において60条の12の2を新設し、登録査定に記載されている事項を、国際事務局を経由して「保護の付与の声明」とともに出願人に電子的に通知することをもって、国際意匠登録出願に係る「登録査定の謄本」の送達に代えることができるようにすることとした。

・60条の12の2第1項(登録査定の方式の特例)
 60条の12の2第1項は、日本国の特許庁から出願人に対する「登録査定の謄本」の送達を、国際事務局を経由して出願人宛てに行う「保護の付与の声明」と合わせて通知することができる旨を規定している。

・60条の12の2第1項(登録査定の効力)
 60条の12の2第2項は、1項により国際事務局を経由して登録査定に記載した事項を通知した場合に、意匠権の設定の登録の前提となる登録査定の効力発生の時点(すなわち、「登録査定の謄本」の送達時点)を明確にし、その後の意匠権の設定の登録を円滑に行う必要があることから規定することとした。
 「保護の付与の声明」を受理した国際事務局は、その内容を国際登録簿に記録する義務があり〈ジュネーブ改正協定第18規則の2(3)〉、出願人及び日本国の特許庁ともに国際事務局のウェブサイト上で公開される国際登録簿の記録に対してアクセスしてその内容を了知できることから、国際登録簿への記録をもって「登録査定の謄本」の送達があったものとみなすこととした。



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2023年3月31日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の12

2023-03-31 04:28:05 | Weblog
2023年3月31日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の12

(国際公表の効果等)第六十条の十二
1 国際意匠登録出願の出願人は、国際公表があつた後に国際意匠登録出願に係る意匠を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後意匠権の設定の登録前に業としてその国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施した者に対し、その国際意匠登録出願に係る意匠が登録意匠である場合にその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠であることを知つて意匠権の設定の登録前に業としてその国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施した者に対しては、同様とする。
2 特許法第六十五条第二項から第六項までの規定は、前項の規定により請求権を行使する場合に準用する。この場合において、同条第五項中「出願公開後」とあるのは「国際公表後」と、同条第六項中「第百一条、第百四条から第百四条の三まで、第百五条から第百五条の二の十二まで、第百五条の四から第百五条の七まで及び」とあるのは「意匠法第三十八条、同法第四十一条において準用する特許法第百四条の二から第百五条まで、第百五条の二の十二及び第百五条の四から第百五条の六まで並びに意匠法第五十二条において準用する特許法」と読み替えるものとする。

〔解説〕

・60条の12第1項(補償金請求権の創設)

<趣旨>
 改正協定10条により、国際登録は各指定締約国での権利化より前に国際事務局による国際公表がされる。
 国際公表は、現在(2022年9月)、原則として、国際登録の日から12月経過後に行われる(改正協定第17規則)。
 日本国の意匠法では、意匠権の設定の登録後に初めて意匠が公開されることとなっており(20条3項)、意匠権の設定の登録までの間に、第三者に自己の意匠を実施(模倣)される懸念は少ないが、国際意匠登録出願に係る意匠について国際公表がされてしまうと、第三者に自己の意匠を実施(模倣)されることによる被害を受ける懸念が大きく拡大することとなる。
 このような問題に対応するため、意匠権の設定の登録前の産業財産権を保護する措置として、特許法における補償金請求権(特65条及び184条の10)が存在する。補償金請求権は、公開された自己の発明を業として実施した第三者に対しあらかじめ警告することにより、その発明について特許権の設定の登録がされた後に実施料相当額の補償金の支払を請求することができる権利であり、公開による出願人の損失を補償する趣旨に立った制度である。
 そこで、国際意匠登録出願に関し、意匠権の設定の登録前の産業財産権を保護する措置として、特許法に倣い、補償金請求権に係る所要の規定の整備を行ったものである。

 改正協定 第十条 国際登録、国際登録の日、公表及び国際登録の秘密の写し
(3)[公表]
(a)国際登録は、国際事務局が公表する。その公表は、全ての締約国において十分なものとみなされるものとし、名義人が他の方法による公表を求められることはないものとする。
(b)国際事務局は、公表された国際登録の写しを指定官庁に送付する。

<補償金請求権の発生の要件>
 国際意匠登録出願について補償金請求権が発生するのは、以下の要件を満たした場合である。
(1)国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠であることを知らないで国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施している者に対しては、
(1-1)国際公表があった後に、国際意匠登録出願に係る意匠を記載した書面を提示して警告をしたこと
(1-2)警告を受けた者が、その警告後、意匠権の設定の登録前に、業として国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施したこと
(2)国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠であることを知って国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施している者に対しては、
 その者が、国際公表後、意匠権の設定の登録前に、業として国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施したこと
 この場合は、警告は不要である。

 補償金の額は、国際意匠登録出願に係る意匠が登録意匠である場合にその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額である。

・60条の12第2項(特許法65条2項~6項の準用)
 国際意匠登録出願に係る補償金請求権については、特許法65条2項~6項を準用することとした。

<特許法65条6項の読替え>
 令和元年改正により、特許法においては、査証の制度(特105条の2~105条の2の10)が導入され、補償金請求権(特65条)においても準用することとした。
 しかし、意匠法においては、査証の制度を導入しないこととしたので、意匠法における補償金請求権においても、同様に査証の制度を準用しないこととした。

 査証制度は、方法の特許やソフトウェア特許といった、高度に専門的な製造等工程やソフトウェアの作動状況を実見し、その詳細を理解したうえで初めて侵害を立証できる特許に係る侵害訴訟において必要となる制度であることから、実用新案法、意匠法及び商標法には同様の制度を設けないこととした。



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