Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

波の数だけ抱きしめて

2018-09-24 | 映画(な行)

■「波の数だけ抱きしめて」(1991年・日本)

監督=馬場康夫
主演=中山美穂 織田裕二 別所哲也 松下由樹 阪田マサノブ

バブル期のニッポン青春映画を代表する、「私をスキーに連れてって」から始まるホイチョイ三部作。
原田知世ファンだったのでもちろん最初の2作は観ているのだが、
「波の数だけ抱きしめて」だけは未見だった。
だってねー、主役がミポリンだもん(ファンの方すんません)。
ところが、後に80〜90年代のコンピ盤サントラを集めるのが大好きになった僕は、
1982年が舞台になっているこの映画のサントラに手を出した。
バーティ・ヒギンズ、J・D・サウザー、TOTO、カーラ・ボノフなどが収録されている。
映画の舞台となるミニFM局で流れる楽曲とのことで、やっと観る気になったのだ。
長い前置きですんません。

黄色いビートルを砂浜に乗り入れて脱出できずに困っていた吉岡を救ったのは、
浜辺のサーフショップでアルバイトしている真理子だった。
吉岡は彼女に一目惚れ。
彼女と仲良し3人の仲間はミニFM局をやっており、手作りの電波中継機でエリアを拡大させようとしていた。
湘南の海岸線を走ったらどこでも自分たちのラジオが聴けるように。
大手広告代理店に勤める吉岡は、資金力をチラつかせて彼らの仲間に入ろうとし、
仕事で手がけるJT(82年当時は日本専売公社ね)の新製品キャンペーンに、
真理子たちのFM局を結びつけようと思いつく。
そんな吉岡の態度を心良く思わないのが、メンバーの一人小杉。
高校時代から真理子が好きだが、なかなか告白できないでいた。
吉岡の支援で海岸線一帯にエリアは順調に拡大。
一方で小杉には、真理子と吉岡の関係が近づいているように見えて、苛立ちが募っていく。
そしてキャンペーンのイベントが迫ってくるのだが・・・。

ホイチョイ三部作の頃、映画で描かれた週末スキーだのビーチリゾートなんて、
地方都市でくすぶってた僕には全く縁遠い世界のお話だった。
特に「私をスキーに連れてって」は、かなり冷めた目で観てた気がする。
それでも「波の数だけ・・・」は、シンプルな恋のすれ違いが主軸だから今観ると意外と好感。
チャラくっていけ好かない役柄の別所哲也が、あの頃の象徴みたいな役柄。
アメリカンエキスプレスのカードチラつかせる、ピンク色のポロシャツをパンツにインして着てる。
車を運転するのに誰もシートベルトしてないし、六本木のリゾートディスコが出て来るし、
時代の空気感もいい具合に描かれている。

クライマックスの大イベントに見舞われるトラブル。
それは機材トラブルと恋模様が原因。
この場面、単に中継機器が直って放送開始が間に合うのか?というハラハラだけでなく、
ミポリンと織田裕二の恋の行方は?、
別所哲也の仕事は大失敗になるのか?、
そして決死の告白が届くのか?という二重三重のサスペンスが並走している。
単なる追いかけっこだった「彼女が水着に着替えたら」とは大違い。
なかなか巧い構成だと思ったら、「好きだあー!」と絶叫する織田裕二に唖然(笑)。

ネタバレになるけど、最後の告白はミポリンに届かない。
それはちょうど彼女の車がトンネルに入って、FMの電波が届かなかったから
マイク越しの「好きだぁー!」を聴くことができなかったという結末。
でも今じゃ電波が届くトンネルもあるし、
アプリでラジオ聴ける時代だから若い世代がこの場面観るとピンとこないかもしれないな。

あ、最後に。
若き日の松下由樹に惚れそうですっ、オレ。

波の数だけ抱きしめてcm







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