◼️「翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜」(2023年・日本)
監督=武内英樹
主演=GACKT 二階堂ふみ 杏 片岡愛之助 藤原紀香
2019年。マーチン・スコセッシ監督がアメコミ映画に対して「映画ではない」発言をして物議を醸した。その発言は「人間の感情、心理的な経験をまた別の人間に伝えようとする映画ではない。テーマパークだ。」と続く。しかしだ。エンターテイメントたる娯楽性と、経験や日常を踏まえた人間の感情を描くことが共存できる映画はある。
地域格差がもたらすコンプレックスと憧れ、偏見、ヒガミという感情で我々観客の共感を呼びながら、一方でまさにテーマパークのような楽しさと呆れるほどのくだらなさが共存する映画があるではないか。そう!他ならぬ「翔んで埼玉」だ。こんなこと言うと硬派な映画ファンのお叱りを受けそうだけど、僕は心底そう思った。あ、魔夜峰央の熱烈ファンでもありますけどねw。
その「翔んで埼玉」まさかの続編。原作者までもが「正気か?」とおっしゃったクレイジーな企画。今度は関西を舞台に埼玉解放戦線と滋賀、そして和歌山と奈良が絡んで、大阪府知事が企む日本大阪化計画に立ち向かう物語。映画冒頭から突飛なエピソードが続く。もちろんご当地ネタも満載なのだが、さんざん笑わせてくれながらも、前作同様そこにきちんと愛がある。交通安全啓発の"とびだしとび太"にこんなに笑わされて、クライマックスで感動させられるなんて、誰が想像しただろう。人気ハリウッド映画のパロディ、テレビでおなじみの人気者の出演。確かにあざとい笑いの誘い方。さすがテレビ局資本の愚作、と罵る方もあるだろう。でも、しっかりそれに釣られて笑顔になってる自分に気づく。
閑話休題。
僕らは日々の生活で"大阪化"を感じたことはないだろうか。方言において英語のveryにあたる言葉は、九州北部だけでも、はうごつ、まうごつ、だごんごつ、しんけん、てーげ、たいげなetc、と色とりどり。ところが関西のめっちゃは今や全国区。ツッコミやボケの言葉なんて、日々何気なく使われている。大嫌いだったかつての上司は博多弁でまくしたてた後で「知らんけど」を付けてイラッ💢とさせるし、商談のために怪しげな関西弁を駆使する上司もいた。いいんかのぉ、こげなんで。九州人ちプライドはねぇんか(素が出ている💧)。あ、私ごとでございましたw。
ジョーカーを思わせる衣装の大阪府知事が、人々を大阪化する白い粉を撒き散らそうとするクライマックス。通天閣に笑い転げたけれど、その笑いの根底には、世の大阪化をどこかで感じてる気持ちがある。田舎育ちのヒガミ根性があるから、この映画を面白いと感じちゃうのかなぁ。確かに関西の粉もん文化を大スケールで茶化してはいるけれど、ちゃんとそこには愛がある。原作にはないストーリーを見事にでっち上げてくれました。埼玉ポーズと滋賀県の県章が重なるのにグッときた。あー楽しかった。コロナ禍を経験して鬱憤溜まってるニッポンをちょこっと笑顔にしてくれる。
「煮るなり焼くなり抱くなりして♡」😆
映画観た日の夜、とび太が夢に出てきたって人絶対いるだろなww。もし続編があるなら次はどこをディスってくれるだろ?。でもディスられるのが羨ましいとすら思える。
それも愛。たぶん愛。きっと愛。