Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

イン・ザ・ベッドルーム

2013-01-08 | 映画(あ行)

■「イン・ザ・ベッドルーム/In The Bedroom」(2001年・アメリカ)

●2002年ゴールデングローブ賞 主演女優賞
●2002年ナショナル・ボード・オブ・レビュー 監督賞・脚本賞
●2002年NY映画批評家協会賞 主演男優賞・主演女優賞

監督=トッド・フィールド
主演=シシー・スペイセク トム・ウィルキンソン ニック・スタール

 ストーリーもシンプルで派手な場面もない地味な映画なれど、とても引き込まれる。それは登場人物の感情表現のすごさ故だと思うのだ。息子を失った悲しみに暮れる妻シシー・スペイセク、今まで通りに過ごそうと努める夫トム・ウィルキンソン。各賞を受賞しているシシー・スペイセクも無論よいけれど、「フル・モンティ」でも家族にものを言えぬ夫を演じていたトム・ウィルキンソン、ここでもいい演技。息子の死後、心の底で自分を責め続けた夫、悲しみが他者への怒りや憎しみに変わる妻。二人が口論となる場面はこの映画のクライマックスだけど、実にリアルだ。夫婦の口論って、今までのお互いを知っているだけに「いつもそうだ」とか「あの時もそうだった」と続き際限なく続いていくもの。このあたり配偶者を持つ身が観ると、妙に納得させられてしまう(どういう意味だ?)。

 自力救済は禁じられていることだけど、それを敢えて破った夫の行動は、心情的には理解できる。自分が同じ立場なら、せめて”いなくなって欲しい”と思うだろうし、同じことを考えるかもしれない。正しい事ではないのだけれど。世間的には良識と信頼感がある医師や教師という職業の夫婦だけに、夫の最後の行動には人間の二面性をも感じさせる。

 3人でいることは誰かを傷つけることになる。漁船での”ロブスターを捕らえる仕掛けに3匹入れない”というエピソードは息子をめぐる三角関係の危うさを象徴していると同時に、それは家族のことでもある。夫婦の寝室には二人しか入れない。そこで交わされる会話は大事なコミュニケーションでもある。しかしその夫婦でさえぎくしゃくするのに、寝室を別にする者の心情を理解するためには、より多くの努力とコミュニケーションが必要。家族の交流、話し合うことの大切さがこの映画の教訓かな。人間関係は家族であっても実に難しい。いや、他人でない故に家族ほど難しい・・・・。



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