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お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

フォードvsフェラーリ

2020-01-27 | 映画(は行)


◾️「フォードvsフェラーリ/Ford v. Ferrari」(2019年・アメリカ)

監督=ジェームズ・マンゴールド
主演=マット・デイモン クリスチャン・ベイル トレイシー・レッツ カトリーナ・バルフ

若い頃なら疾走する車を純粋に楽しんだだろう。でも社会人経験を積み重ねた今だからか、エンドロールを見ながら浮かんだ感想はこうだ。会社の方針で右往左往するのは世の東西を問わず現場なのよねww

フォードがルマン24時間耐久レースで王者フェラーリに勝利すると方針を決める。これはそもそもフォードがフェラーリ買収に失敗したのが原因で、フェラーリが重きを置くレースで打ち負かしてやろうという仕返し。そこに元レーサーのシェルビーとイギリス人ドライバーであるケン・マイルズが加わることとなる。独自の方法論とこだわりがある二人は、フォード経営陣からの様々な横槍と時に対立しながらも、ルマンに向けて障害を乗り越えていく。

夢を追ってレースに参戦するマイルズを、妻と息子が理解して本気で応援する様子がなんとも素敵だ。また、マイルズの気難しさを理解できるシェルビーが、経営陣から守ろうとする姿も心に残る。信頼と友情で結ばれていた二人の関係が素晴らしい。何事を為すにも理解者って一番必要なんだよな。あ、これも年齢重ねた今の自分だからこその感想かも。

でも、何より素敵だと感じたのはマイルズが、心底嬉しそうにハンドルを握ってる姿。スピードに魅せられた狂気のレーサーや、ひたすら寡黙に戦う男、花形レーサーとしてチャラいキャラクターという描かれ方がこれまでのカーレース映画では普通だった。しかし、クリスチャン・ベイル演ずるマイルズには"走る喜び"が感じられるのだ。7000回転の世界にいる感覚がナレーションで観ている僕らに伝えられる。風になるってこういうことなのか。さらにピットの中にいる人々の人間模様がきちんと描かれていることも、今までの映画では少なかったポイントだ。

本当に難しい題材だと思う。フルフェイスのヘルメット被ったら誰だかわからないし(この映画ではフルフェイスじゃないのが幸い)、撮影にも危険が伴う。順位を表現するのも抜けばいいだけじゃない。特にルマン24時間レースなら、何周しているかでは順位が決まる訳だから、単に追い抜いた場面があるだけでは表現できない。ジェームズ・マンゴールド監督は、そこを追いつ追われつのデッドヒートを映すだけでなく、ピット内のドラマを絡めることでうまく表現している。

いかにも4DX向きな題材の映画だけに、どうせ体験型アトラクション映画だと思って、最初は期待してなかった。なかなかどうして見事な人間ドラマだ。オスカーノミネートは納得です。マンゴールド監督の西部劇「3時10分、決断のとき」も男の美学を感じさせる佳作だったが、それはここでも然り。

映画『フォードvsフェラーリ』予告編



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