Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

不機嫌な果実

2020-05-13 | 映画(は行)

◾️「不機嫌な果実」(1997年・日本)


監督=成瀬活雄

主演=南果歩 鈴木一真 根津甚八 美木良介 鷲尾いさ子


林真理子の原作が単行本化されたのが1996年。翌年に石田ゆり子主演、最近も栗山千明主演でテレビドラマが制作されている。日頃(民放の)ドラマを真剣に見ない僕だが、どちらも真剣に見ている。南果歩主演の松竹映画版は未見。やっと気が向いて挑んでみた。


思えば、テレビドラマはどちらも登場する男女みんなに説得力があった。音楽評論家役岡本健一のカッコよさ、石田ゆり子が男性の間をよろめくどうしようもない気持ち。目隠しプレイなんて今でも覚えてる。渡辺いっけいも内藤剛志も納得の仕事だった。栗山千明版も、高梨臨の裏切り、嫌な男っぷり全開の稲垣吾郎、脇役だけど存在感あった橋本マナミも、それぞれにいい仕事だった。


比べちゃいけないとは思うが、この劇場版は物足りないというか、これじゃない感が最後まで続く。2時間の尺では語りきれない話だとも思えるが、とにかく登場人物それぞれのキャラクターが薄い。麻也子の最初の不倫相手は根津甚八。申し訳ないんだけど、こんなカッコ悪い根津さん初めて見た。マザコン亭主は美木良介。いやこの旦那はいい人すぎ。特別悪いことしてないじゃん。そして麻也子が夢中になる相手が鈴木一真。これが最悪なキャラ。遠慮もなしに麻也子の自宅に電話してきて、いざ部屋に行ったら逆光に全裸でお出迎え。

「ハッピーバースデイ、麻也子♡」

うぎゃー!なんやこれ!そんなもん、いらん!それをにこやかに見つめる麻也子の気持ちがわからん。とにかく男どもに危険な魅力が感じられないのだ。


映画版独自の登場人物として登場するのが、鷲尾いさ子演ずるキリコ。何事にも束縛されない生き方の女性像を示してくれる。結局いろんなものに束縛されている麻也子に、違う生き方を示すキーパーソンだ。でもせっかくのキリコのキャラクターが、麻也子の生き方を揺るがすこともなく、最後まで合点がいかず。鈴木一真とのラブシーンは、二人ともニコニコして楽しそうな印象。でも、ドラマ版で岡本健一に溺れていく石田ゆり子を見た後では、同じお話とは思えない。南果歩がせっかく露出多めで頑張っているのに残念。道を外れて愛してしまう、どうしようもない、でも抑えられない感情を演じられない人ではないと思うのだけど。






コメント
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