Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

翔んで埼玉

2019-03-03 | 映画(た行)
◾️「翔んで埼玉」(2018年・日本)

監督=武内英樹

主演=二階堂ふみ GACKT 伊勢谷友介 ブラザートム

最初に言う。これは埼玉をディスるどころか、完全な愛の映画だ。地元や出身地への愛着、好きと言う気持ちを呼び覚ましてくれる。いやむしろ、エンドクレジットまでさんざん笑わせてくれた後、ここまでネタにされた埼玉を羨ましくさえ思う。

埼玉を徹底的におちょくったコミックとして話題となり、復刻版が出版された「翔んで埼玉」。たった3話しかない未完の作品である原作「翔んで埼玉」が映画化されると聞いて、魔夜峰央作品の大ファンである僕は、最初不安でしかなかった。今の日本。誰かをおとしめて笑いをとる芸人が名MCだなどとチヤホヤされて、暴言悪口が芸風のようなタレントが毎日テレビに現れ、誰かを悪く言うことで責任を逃れる政治家がいて、何かにつけて誰かが傷ついている。そんな世の風潮の中、この埼玉をディスる話が変な方向に発展してはいかないか。それが最大の不安だった。

しっかし、そこは「テルマエ・ロマエ」の映画化を成功させた武内英樹監督とスタッフたち。埼玉解放というドラマを軸に、原作にはない千葉や群馬を巻き込み、さらにデフォルメされた展開で見事なエンターテイメントに仕上げている。例えば、埼玉県人を試す為に"踏み絵"が使われるのだが、知事の写真から草加せんべいに変えられているのは誰にも分かりやすい改変で笑いを誘う。

原作の濃いキャラクターを再現する為に芸達者な二階堂ふみとGACKTをキャスティング。さらに、原作は学業とスポーツで転校生を叩きのめそうとするのに対し、東京の空気をテイスティングする対決という改変。GACKTが「芸能人格付けチェック」で連勝中というイメージを僕らが持っているだけに、ここには爆笑。さらに大河ドラマで上杉謙信を演じたことのあるGACKTが、「者共、出陣じゃ!」と叫ぶのには、テレビっ子の心をくすぐるあざとい仕掛けだとわかっているのに、嬉しくなってる自分がいるww

映画に付け加えられた現代(?)のエピソードが、地元愛の仕掛けとして見事。何もないけど、ほどほどに幸せ。埼玉をネタに笑っていたつもりが、映画を最後まで見終えて、「なんかいいやん、埼玉」と思えてしまうから不思議。ご当地映画としては最強かも。

コメント (2)
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