■「トンマッコルへようこそ/Welcome To Dongmakgol」(2005年・韓国)
●2006年大鐘賞 助演女優賞
監督=パク・クァンヒョン
主演=チョン・ジェヨン シン・ハギュン カン・ヘギョン
朝鮮戦争のまっただ中。北の兵士3名、南の兵士2名、そして青い目のパイロット1名が山間部の村で偶然にも出会ってしまった。トンマッコルという村の平和な人々の姿に彼らは少しずつ打ち解けていく。そして敵味方の間を超えて友情が芽生え始めるのだった。しかし、米軍部隊がトンマッコル村へやって来て、平穏な村に爆撃の危機が迫ってくる。彼らは村を救うために立ち上がる・・・。
久石譲の音楽と予告編のファンタジックな雰囲気にほんわかしたムードを期待して行くと、きっと打ちのめされる。正直、久石譲の音楽がなかったら、かなり重いヘヴィーな映画になっていたことだろう。冒頭の銃撃戦の激しさは「シュリ」?と思うくらいだし、村を守るために戦うラストに漂う悲壮感はそれまでのムードと全く異なるのでちょっと面食らうかも。でもその分閃光に包まれながら友情を確認する男達の表情は何とも言えないいい場面だ。
とは言うものの、この映画の魅力はやっぱりトンマッコル村の人々。村長が争うことなく皆をまとめていく方法として「腹いっぱい食べさせること」と答える。満たされない気持ちは怒りにもつながる訳で、これは真理だよな、と納得。常に笑顔で人に接する。彼らを前にして争うことの無益さを思い知らされる。ちょっとオツムの弱い女の子役で「オールドボーイ」のカン・ヘギョンが好演。ファンタジーに徹底してもよい題材かとも思うけれど、厳しい現実も描かざるを得ないのが韓国映画。それだけに民族分断の歴史は重いのだ。
(2006年筆)
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