◾️「みんなのいえ」(2001年・日本)
監督=三谷幸喜
主演=唐沢寿明 田中邦衛 田中直樹 八木亜希子
三谷幸喜監督第2作目。今回はマイホーム建築をめぐるヒューマンコメディ。「ラヂオの時間」ほどのスピーディーな息もつかせぬ展開とは異なるけれど、じっくりと人間が描けていて実に好感がもてる。最新作「THE有頂天ホテル」では細かいエピソードの積み重ねで、多くの登場人物を操っていたが、この「みんなのいえ」は人物が絞り込まれている分だけ、人間がより見えてくる。主人公は施主である夫婦なんだけど、実は職人気質の大工田中邦衛と、こだわりのインテリアデザイナー唐沢寿明。最初は「インチで家は建てられねえ」とか「オレはニッポンの大工だ」、「ドアの内開きは譲れない」とお互いを全く認めなかった二人が、実は似たもの同士だった?と認め合う姿は実に爽快。
家を建てるにあたっては様々な問題が次々と発生する。この映画でも描かれるように設計する人と施工する人の考え方が食い違うこともその一つ。実際にトラブルの原因にもなりがちな部分だ。映画では扱われていないのだが、資金調達は大きな問題。この夫婦、資金的に余裕があるのかなぁ・・・総2階で、1階に20畳の和室を持つ家ですよ・・・、2階にリビングがあるみたいだけど、けっこう大きな家だとしか思えない。ご主人は物書きの自由業なので、ローン組むとなるとそれなりに審査もうるさかったはず。その辺が描かれていたら、すっごくリアルな話になったと思うのね。家建てるという苦労は、間取りやディティールばかりじゃないから。まっ、そこまで望んだら伊丹十三映画になってるか?。
脇役まで芸達者で揃えたキャスティング。前作の延長としか思えないキャラで戸田恵子が出てきたり、清水ミチコと山寺宏一が夫婦(しかも「犬神家の一族」に出てきそうな名前)だったりと実に楽しい。豪雨の中、建築現場に急ぐ運転場面は往年のサスペンス映画を思わせる。やっぱり施主夫婦がもうちょっと活躍して欲しかったなぁ・・・というところがちょいと心残り。