忘却への扉

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鈴虫の家を

2008-09-02 | 追憶
 夜中に犬の散歩について行く。私と犬だけ、自動車も走っていない。夕方降った雨のせいか、コオロギよりも鈴虫の音色が高く聞こえる。
 近くになるとぴたっと鳴り止み、離れた所からのだけになる。犬も私も足音は発てないように気をつけているつもり。
 しばらくそおっとしていると再びいい音色を聞かせくれた。遠い過去を想い出させてくれる。フェリー乗り場と造船所のある河口近くの家でのこと。
 川沿いの道路を山側に曲がると、裏通りまで続く屋敷があった。長い塀の先に時代劇にありそうな木製の扉のある門と平屋、そこから広い庭になる。
 蔵に母屋に隠居と仕事に通った。門の横の家を借りていたおばさんとも親しくなった。その夫婦の趣味が鈴虫。
 可愛い鈴虫をと、見せてもらった。玄関の土間には幾つもの虫カゴが置かれていて、たくさんの鈴虫が飼われいた。
 私はコオロギは子供の頃から野山でいくらでも見、音色を聞き手でつかんでいた。だが鈴虫は自然の中で、音色だけを聞けばいい虫。
 鈴虫の生育が人気の趣味の一つとは、その家で初めて知った。時季の違いかその音色は小さかったと記憶している。