新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ハリグワ:針桑(済州島で出会った花々:追加)

2009-06-16 07:04:46 | 植物観察1日1題

済州島東部、海に張り出した城山日出峰の登山道で見かけた変わった花をつけた木です。
“なんという木なのかいろいろ調べてみましたが皆目見当がつきません。日本にもあるのでしょうか。どなたかご存知の方はお知らせください。”との記事に対し、ある方からハリグワ:針桑(クワ科ハリグワ属)ではないかとのご教示を頂きました。
中国原産で、日本ではカイコの餌用に栽培されたものが野生化しているといいます。
落葉小高木で、葉腋に枝の変形した鋭い棘があります。
雌雄別株で、花期は6月、日本では雄株は見かけるが雌株はほとんど見かけないそうです。
よく似た近縁種に同科同属のカカツガユ:和活が油(ヤマミカン)があり、沿海地の林縁に生えるというのが気になりますが、葉の形などから本種はハリグワと見ました。

ハマウド:浜独活(済州島で出会った花々:終) 

2009-06-15 07:03:16 | 植物観察1日1題

荒々しい溶岩塊が連なる済州島の海岸にハマウド:浜独活(セリ科シシウド属)が咲いていました。暖かい地方の海岸にはえる多年草で、高さは1m以上にもなる大形で、オニウド(鬼独活)とも呼ばれます。
茎は太く、暗紫色の縦筋が目立ちます。葉は1~2回3出複葉で、葉柄の基部は袋状に膨らみます。
小葉は卵状楕円形で厚くて光沢があり、縁は切れ込みます。4~6月、枝先の複散形花序に白い小さい花を多数つけます。
済州島の浜辺の植生は山以上に日本の海辺とよく似ていました。

ボタンボウフウ:牡丹防風 (済州島で出会った花々⑪)

2009-06-14 07:06:05 | 植物観察1日1題

済州島の東南部にある、韓流ドラマ「オールイン」のロケ地で知られる海岸に、日本でもよく見られる海浜の草花がいくつも見られました。
青白い葉の感じがボタンの葉に似ているというのでこの名があるボタンボウフウ:牡丹防風(セリ科カワラボウフウ属)です。ハマボウフウ(05年6月17日記事)が砂地に生えるのに対してボタンボウフウは海沿いの草地や崖、岩場などに生えます。
高さは60~100cm、葉は1~2回3出複葉で厚くて軟らかく、小葉は倒卵形で先端に浅い切れ込みがあります。若い葉を食用にし、昔は根を薬用ニンジンの代用としたそうです。
7~9月、白い小さい花が多数集まって複散形花序をつくり、花火が開いたような形になります。

ヒロハヘビノボラズ:広葉蛇上らず(済州島で出会った花々⑨)

2009-06-13 06:22:06 | 植物観察1日1題




御理牧トレッキングコースの1500m以上の地点に黄色い小花を沢山つけた木がありました。
花の形、枝の節についている鋭い棘などからヒロハヘビノボラズ:広葉蛇上らず(メギ科メギ属)と見立てました。
山地に生える落葉低木で、高さは3mほど、よく枝分かれして全体として平たい球形の樹形となります。枝には稜や浅いたて溝があり、各節に長さ8~20mmの棘が3~4個つきます。
互生する葉は主に短枝に集まってつき、縁には棘状の細かい鋸歯があり、基部は細くなって葉柄状になります。
5~6月短枝の先に総状花序を出し黄色の花が垂れ下がってつきます。
近くに花軸や花柄が赤褐色になるアカジクヘビノボラズ:赤軸蛇上らずと思われる木もあって同じように花をつけていました、

チョウセンシラベ:朝鮮白檜(済州島で出会った花々⑧)

2009-06-12 06:55:03 | 植物観察1日1題
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漢拏山西山腹の1100m地点に生えていたのがチョウセンシラベ:朝鮮白檜(マツ科モミ属)です。朝鮮半島南部や済州島にかけて分布し、高さ15mくらい、円錐形樹形で、針葉は濃緑色でやや内側に湾曲し、裏は白色を帯びて、独特の雰囲気を見せます。
ここでも温暖化の影響で、温帯性の松林が進出し、世界で唯一の寒帯性のチョウセンシラベの純粋林の面積が減少しつつあると伝えられています。
整った樹形や青みのある球果が美しい木として、欧米にも移入され、公園樹やクリスマスツリーなどに用いられています。サイシュウシラベ(済州白檜)の別名があります。

ゲンカイツツジ:玄海躑躅(済州島で出会った花々⑥)

2009-06-11 07:03:14 | 植物観察1日1題

御理牧トレッキングコースの長い階段の樹林帯を登り、標高1500mを過ぎるころに急に眼前が開け、タンナザサのなかに荒々しい溶岩塊が点在する高原に出ます。
ちょうど今、その原っぱを一面に紫紅色に染めているのがゲンカイツツジ:玄海躑躅(ツツジ科ツツジ属)です。
本州岡山県以西、四国、九州、朝鮮半島、対馬の丘陵~山地に生える落葉または半落葉低木で高さ1.5~2mになります。
春、葉の展開前に紅紫色~淡紅色の花が咲き、花冠は直径3~4cmの広い漏斗形で深く5裂します。
玄海は玄界灘から来た名と思われますが、韓国ではどう呼ばれているのかは聞き漏らしました。

シロヒメリンドウ:白姫竜胆(済州島で出会った花々⑤)

2009-06-10 06:25:27 | 植物観察1日1題

御乗生岳自然学習探訪路の遊歩道脇のあちこちに白い小さいリンドウ(リンドウ科)が咲いていました。
日本でいえばフデリンドウやハルリンドウくらいの大きさで、葉のつき方はハルリンドウ的です。
ガイドはシロヒメリンドウ:白姫竜胆と教えてくれましたが、帰国して手持ちの図鑑であたってみても、シロヒメリンドウもヒメリンドウの名でも載ってはいませんでした。どうやら日本にはなさそうです。
済州島の植生は、緯度的にもよく似た日本とよく似ていて、この島または朝鮮の固有種といったものはほとんどお目にかかれなかった中で、シロヒメリンドウは記憶に残る花となりました。

サンリンソウ:三輪草(済州島で出会った花々④)

2009-06-09 06:20:03 | 植物観察1日1題

御乗生岳自然学習探訪路の遊歩道脇の岩陰にサンリンソウ:三輪草(キンポウゲ科イチリンソウ属)が咲いていました。ここの花は1~2個しかなく、一見花が1~3個つくニリンソウかと思いましたが、ガイドの話ではサンリンソウとのことでした。
現地ではよく確認できませんでしたが、図鑑では3個輪生する茎葉が、ニリンソウでは無柄なのに対し、サンリンソウは有柄となっています。
花つきがよくなかったのは、溶岩地で貧栄養のためかもしれません。

ユキワリソウ:雪割り草(済州島で出会った花々③)

2009-06-08 05:52:22 | 植物観察1日1題

御乗岳自然学習探訪路が1500mを超えると笹原になり、多くはありませんが高山性の植物が目につくようになります。
岩の間にユキワリソウ:雪割り草(サクラソウ科サクラソウ属)が咲いていました。雪が解けるとすぐに花が咲くのでこの名があります。韓国最南部の済州島ですがこの辺一帯は結構雪が多く5月初めまで残っているといいます。
山地~高山の岩場や湿地の近くに生える小形の多年草で、長さ3~7cm、幅1~2cmの細長い倒卵形の葉の縁には不ぞろいの鋸歯があります。
花茎は高さ5~15cmで、先端に直径cmくらいの淡い紅色の花を3~15個つけます。
変種、地方種が多くていろいろの名で呼ばれており、ユキワリソウでは載っていない図鑑もあります。これも現地ガイドの説明どおりユキワリソウとしました。

オオサクラソウ:大桜草(済州島で出会った花々②)

2009-06-07 07:32:11 | 植物観察1日1題

ハルラサン山系の東部分標高970mから1700mまでの御理牧(イオリモック)トレッキングコースは、御乗岳自然学習探訪路にもなっています。
1500mくらいまではアカシデ、ミズナラを中心とする落葉樹林、それ以上は玄海つつじの咲き乱れる笹原高原となっています。
新緑の樹下に1株だけオオサクラソウ:大桜草(サクラソウ科サクラソウ属)咲いていました。
亜高山地帯の林縁や渓流沿いの湿り気のあるところに生える多年草で、長い葉柄がある葉は直径5~12cmの円形掌状でやや深く7~9裂します。
花茎に直径1.5~40cm、4~8個の花を1~2段輪状につけます。
花冠は紅紫色で、花喉部は黄色です。
花と葉が離れていたので合成写真にしました。葉の切れ込みが少し浅い気がしますが現地ガイドの説明通りオオサクラソウとしました。

サワフタギ:沢蓋木(済州島で出会った花々①)

2009-06-06 10:39:31 | 植物観察1日1題

済州島へ行ってきました。
済州島の古名は耽羅国または耽那国、そこで最初に発見されたことからその地名がついたタンナサワフタギ:耽那沢蓋木が一面に生えているかと期待して行ったのですが、出会ったそれらしい木は、葉の形と、ガイドが実は青いというので、(07年11月11日記事)タンナサワフタギではなく、仲間のサワフタギ:沢蓋木(ハイノキ科ハイノキ属)と見ました。
日本、朝鮮、中国に分布し、山野の谷川などに生える落葉低木で高さ2~3m、よく分枝し、葉が多くついて茂るので、沢を覆いかくすとうことからこの名があります。
初夏、若葉とともに新枝の先に長さ3~6cmの花序を出し白い小花を多数つけます。
別名ニシゴリは錦織木で、この材の灰汁は紫を染めるのに用いたことによります。

ミズドクサ:水木賊(敦賀池河内湿原の花々 終)

2009-06-01 06:50:23 | 植物観察1日1題

池河内湿原に生えているスギナのような緑の草はミズドクサ:水木賊(トクサ科トクサ属)です。
本州中部以北から北海道にかけて湿地や池沼の水中に生える多年草で草丈は80~100cmになります。
6月ころ茎の頂にツクシの頭に似た胞子嚢を出します。
茎は中空で枝はほとんどないか、あっても短いものです。
池河内湿原では場所により一面緑をなして群生していましたが、遊歩木道からは遠く、足元のまばらな株を撮りました。
 (明日から5日ほど休載します)