Straphangers’ Room2022

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公共インフラの責務を忘れるとこうなる

2019-11-05 23:42:00 | 交通
JR西日本が京阪神地区での最終電車繰り上げ検討しているそうですが、いわゆる「計画運休」もそうですが、社会インフラとしての責任をないがしろにしているとしか思えません。

「働き方改革」を錦の御旗にする向きもいるようですが、そもそも「フレックス」でいいはずのところを、遅出を否定して早出だけが対応のように誘導して、結局残業の余裕代を増やしているまやかしに加え、それこそ交通事業者が輸送力増強を怠っているから、早朝にこれまでのピーク時よりもひどい混雑になっており、従業員の負担増は目に余るものがあります。

そもそも大都市圏での24時間化こそが社会インフラであるという話になっていたはずなのに、どこでこうなったのか。コンビニの24時間営業とはわけが違うんですよ。ドミナントの飽和した店舗網が全部24時間営業だから問題なのであって、1店たりとも深夜は開いていなかったらそれはそれで問題でしょう。
交通事業者の場合は、サービス終了が即「1店も開けない」になるという性格を踏まえた議論が必要です。

深夜帯の運行は酔客と残業しかないから、飲み会を切り上げる流れは歓迎といった、昔の「矯風」的な潔癖症や、残業が無くなるといった「働き方改革」系の意見が大手を振っています。しかし、深夜帯の運行で恩恵を受けるのはそれだけじゃないのです。長距離交通の二次アクセスとしての近郊電車が早仕舞いになると、新幹線の最終が使えなくなりますよね。航空機もそう。早朝の「6時の新幹線」に間に合う始発電車は「朝帰り」もいますが、これから出張や旅行といった人が多いのが見えていないのか。最終近くもそうですよ。

京阪神地区で言えば、新幹線最終の連絡であれば、定時で順調に乗り継げれば大阪0時の発車になるわけで、0時ちょうどの姫路行き新快速は三ノ宮が0時24分発。
三ノ宮同発の普通西明石も当然削れません。実際には冬場を中心とした遅延もあるので、毎回最終が発車待ちというわけにもいきませんから、遅れ次第では大久保以遠の接続は諦めて西明石までの接続を確保する。そうなると今の最終西明石行きの新快速と最終1本前の普通西明石行きも必要で、せいぜい最終の普通西明石行きを神戸止まりにする(元町まではこの電車がカバーすることになる)くらいです。

そんな中途半端な対応ではないでしょうから、最終の新幹線からは神戸方面には帰れない、という可能性も高いわけで、だったら神戸空港の運用時間を拡大して、という話になります。関空最終便だと結局リムジンで三宮に出ても削減対象の電車に接続というオチですから。日常利用でも大阪基準で23時台が最終なんて悪い冗談ですね。首都圏に置き換えてみれば、横浜への最終が23時45分頃、という話です。

お遊び列車やイベント対応なんて不要なんですよ。交通事業者に必要なのは唯一無二、公共インフラとしての責務の遂行。真面目に遂行して、それでどうしてもコストが、というのであれば公共の出番ですし、そもそも民営化をしなければ公共が判断するだけの話でした。諸外国の公共交通が公営、もしくは公社による運営というのは、何にプライオリティを置くかを弁えている証左であり、我が国のそれは「民営化ブーム」「官から民へ」という、民間が美味しいところをつまみ食いするためのお題目に蝕まれたなれの果てといえます。


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1 コメント

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Unknown (day0145)
2019-11-06 13:21:28
そもそも保線要員の労働環境改善というお題目が嘘八百であると指摘しないメディアも、そこを読み取れないリテラシーの低さも如何ともし難いですね。
保線要員の減少に対し補充ではなく作業時間の延長で対応するという事は、一晩当たりの労働時間と作業量の増加を招き、要員が減少している以上休日が増える訳でもないですので労働強化に他ならないのですが。
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