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他山の石

2007-07-10 15:41:02 | 交通
ウチのサイトのリンク先でもある交通総合フォーラムにちょっと濃い話題を書きました。

賃金、雇用の問題という、交通論において、事業者を考える時に本来避けては通れない論点に突っ込んでみました。
話のマクラが公務員の高給批判なんですが、それはそれで一面の真実であり、実際に何じゃこりゃと言うようなケースが多々あることも事実なんですが、だからといって「安いほうにあわせろ」となった時、その「安いほう」が果たして妥当な水準なのか。そこの検証をした批判と言うのは実はほとんどないでしょう。

ワーキングプアの問題、さらには「マックジョブ」に代表される単純労働の問題。今の社会が成立している陰の部分は、交通論にも密接に関係してきます。
例えばコミバスが「低需要」「低運賃」で成立している理由の一つが「低賃金」ではないかという疑念があるわけで、大半のコミバスが自治体主導で開設されているなか、自治体の支出を極力抑えることで「低賃金」を推進しているのでは、という「公のあり方」が問われます。

議論では触れませんでしたが、例えばある地域でLRTやバスといった交通機関を確保しようと言う時、労務費としてどの程度計上する必要があるのか、ということを理解して議論している人がどれだけいるのか。

昨今、各地でLRTの研究が盛んですが、人件費を従業員額面ベースで考えてるような論外のケースも見られるわけです。
人件費は、額面のほか、法定福利、つまり厚生年金や健康保険における事業者の負担分があるわけで、総支出を額面で考えていると、実際の額面は最低賃金を大きく割り込むような話になるわけです。
賃金や雇用の問題を避けているだけならまだしも、ありえない前提で語るケースに至っては害悪ともいえます。

さらに議論で書いた通り、メディアや専門家、趣味者は、それまで賞賛してきた第三セクター鉄道による再生や、バス会社などの地域分社の裏には、OB再雇用による人件費抑制(=代替わり時の雇用水準もそれに引きずられる)や、独自の雇用体系の採用による人件費抑制という「メリット」がありますが、それを適切に評価してきた気配がありません。

労働環境の問題を批判するのは簡単ですが、同時にその流れを大筋で許容してきた我々の過去もまた問われているのです。








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