Eur-Asia

西洋と東洋の融合をテーマとした美術展「ユーラシア(Eur-Asia)」の開催を夢見る、キュレーター渡辺真也によるブログ。

サテライト展:「アトミックサンシャインの中へ in 佐喜眞」 4月15日(水)~5月6日(水)

2009-03-24 13:13:12 | Weblog
「アトミックサンシャインの中へ in 佐喜眞-日本国平和憲法第9条下における戦後美術」
キュレーター:渡辺真也

会期:2009年4月15日(水)~5月6日(水)
佐喜眞美術館 (さきまびじゅつかん)
沖縄県宜野湾市上原358 〒901-2204
TEL 098-893-5737 FAX 098-893-6948
開館時間 9:30~17:00 火曜休館

参加アーティスト:

アローラ&カルサディーラ:
「バイクのマフラーにトランペットをくくりつけて、米軍から取り戻した我らのビエケス島の森と海を、祝福しよう。」

山城知佳子:
「戦争を体験していない私たちのカラダは、沖縄の戦争体験を受け継ぐことができるのか?」

--

サテライト展:「アトミックサンシャインの中へ in 佐喜眞」に寄せて

沖縄県立美術館にて開かれる「アトミックサンシャインの中へ in 沖縄」展に合わせ、佐喜眞美術館にてサテライト展「アトミックサンシャインの中へ in 佐喜眞」を開催します。

沖縄初の私立美術館である佐喜眞美術館は、佐喜眞道夫館長が、『「原爆の図」で有名な丸木位里・丸木俊が描いた「沖縄戦の図」(4m×8.5m)を展示するために作った』美術館です。土地の所有者である佐喜眞道夫氏は、粘り強い交渉の末、米軍との契約期限が切れる1992年、別に所有する軍用地の再契約と引き替えに普天間基地の一部を返還させ、1994年に美術館をオープンしました。

丘の上に位置するこの美術館のデザインは、庭園にある270年の歴史を持つ佐喜眞家の亀甲墓と統一感を持たせたものであり、屋上へと続く階段からは、普天間基地を見降ろすことができます。

アーティストの山城知佳子は2004年、ビデオ3部作「オキナワTOURIST」の1つ、「墓庭エイサー」を、この佐喜眞美術館の亀甲墓の前で制作しました(他の2本はアトミックサンシャイン本展にて上映予定)。沖縄に生まれた作家として、何を表現すべきなのか、という問いの下、沖縄にて作品を制作、発表し続けてきた山城は、当展示にて、戦争を体験していない私たちは、本当にその体験を継承することが可能か、自らの身体表現を通じて結実させた写真作品「バーチャル継承」、さらに新作ビデオ作品を発表します。

また、アトミックサンシャイン展の出品作家である、プエルトリコ在住のアメリカ人とキューバ人アーティストのデュオであるアローラ&カルサディーラは、プエルトリコのビエケス島をテーマとしたビデオ作品を展示します。アローラ&カルサディーラは、1941年から2003年まで米軍とNATO軍によって武器演習場として使われていたビエケス島の不服従運動に参加、軍用地の一部を返還させることに成功しました。彼らの出品するビデオ作品「Returning a Sound」では、返還された土地を走る、ビエケス島の住民が乗るバイクのマフラーにくくり付けられたトランペットから、土地の返還を祝福する音楽が響き渡ります。その音が佐喜眞美術館に充満するとき、私たちはそこに何を感じとることができるでしょうか。

本展示が、9条と戦後美術というテーマを、地上戦を体験し日本にある米軍基地機能の75%を押しつけられている沖縄県民、そして日本国民、さらに世界の人達と再考する機会となり、来るべき未来への準備の契機となれば、と願います。

(渡辺真也)

アーティストトーク:
山城知佳子
「触れたとき、他者の痛み、について」

5月2日土曜日 午後3時~ 
佐喜眞美術館にて

戦争体験を語る側、そして聞く側、という従来の戦争体験の継承に絶対的に欠けているのは「痛み」の経験だ、と思い至った山城は、言語におけるコミュニケーションの延長線上に、「身体を通じての戦争体験の継承は可能か」、という新たな問いを立てました。作品を作る過程で、102歳のおばぁに触られた山城は、そこで一体何を感じたのでしょう?パフォーマンスという自身の身体を通じて行う表現から、作品という形に至るまでの経緯を、アーティスト本人が語ります。


【開館時間】 9:30-17:00
【休館日】 火曜日・年末年始
【入館料】 大人 700円(630円)
中高 600円(540円)
小人 300円(200円)
※( )内は20名以上の団体料金


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。