Eur-Asia

西洋と東洋の融合をテーマとした美術展「ユーラシア(Eur-Asia)」の開催を夢見る、キュレーター渡辺真也によるブログ。

LOB TOKYO 091128 東京低地クルーズ

2009-11-27 09:31:25 | Weblog
LOB TOKYO 091128 東京低地クルーズのご案内です。もう明日に開催のものですが、A,Cコースに空きがあります。ご興味のある方、ふるってご応募下さい。

実施日:2009年11月28日(土)
江東区 海抜アンダーゼロメートルエリア

東京アートポイント計画が、BOAT PEOPLE Association(BPA)と共同で行うプロジェクト「LIFE ON BOARD TOKYO」。来たる11月28日(土)、「LOB TOKYO 091128 東京低地ク ルーズ」と名付けたリサーチクルーズを開催します。
海抜アンダーゼロメートルエリアが広がる江東区。大都市江戸のイーストエンドに位置し倉庫、貯木場、造船所が点在していた物流拠点であったエリアです。このエリアに網目のように広がる掘割・運河を巡るリサーチクルーズを行います。

リサーチクルーズ概要
[A] 10:00 ~ 12:30 越中島桟橋→晴海朝潮桟橋 定員15名
開放感あふれるゼンフリート号にて扇橋の閘門(ロックゲート)を通過し、海抜0メートル地帯を船から体験する

[B] 10:00 ~ 12:30 越中島桟橋→晴海朝潮桟橋 定員15名
ゼンフリート号から手漕ぎの10人乗りの船に乗り換え、普通の船ではいけない江東区の狭い運河をめぐる

[C] 13:30 ~ 16:30 晴海朝潮桟橋→越中島桟橋 定員35名
江東区の湾岸産業エリアの中の、網の目状の運河を開放感あふれるゼンフリート号でめぐり、みたことのない東京を体感する

※要予約。乗船料金 大人1,000円、小中学生500円
※Bコースは定員に達したため、申し込みを締め切らせていただきました
・A、Bコースは同時刻開催となるので両コースへの参加はできません
・6歳未満のお子様の乗船は安全管理上お断りしております
・状況により一部コースを変更する可能性があります
・雨天荒天による中止のお知らせは出艇2時間前にHP掲載及び参加者メール、携帯電話にご連絡いたします
・当日の急なキャンセルの場合は必ず電話連絡願います
・ボートはオープンエアー(屋根なし)のため、防風・防寒(帽子・マフラー)など厚着でいらしてください
・トイレは必ず乗船前に桟橋にて済ませてください

[Aコース]
小名木川の水位の異なる運河を結ぶパナマ式扇橋閘門。水位調整で船を上下に移動、海抜ゼロメートル地帯の水位変化の無い内水運河を体感することができます。その後、長閑な横十間川を遡り新東京タワーを見学

※A、B両コースへの参加はできません

[Bコース]
通常の動力船では通ることのできない江東区の狭い運河を手漕ぎの10人乗りEボートに乗り換えてクルーズします。さて都内で最も低い茂森橋をくぐることはできるのか? 

※A、B両コースへの参加はできません

[Cコース]
昭和初期以降の埋め立てにより形成された臨海エリア。かつては貯木場であった平水面エリアや、バージ船や海洋工事用のクレーン船などの業務船船用の船溜まり、造船所が点在しています。また昨今の産業変換により、タワーマンションが特徴的な東京風景をつくりだしています。午後はこの新しい臨海部運河をクルーズします。※実はYOKOHAMAトリエンナーレに出展したLOB13号もここにひっそりと浮かんでいます。


お申し込み・お問い合わせ
ウェブサイト(http://boatpeopleassociation.org/project/lob-tokyo091128)よりウェブフォームにて

■主催:東京都、東京文化発信プロジェクト室 (財団法人東京都歴史文化財団)、BOAT PEOPLE Association


●BOAT PEOPLE Associationとは
アート、建築、都市計画、地域交流などの分野で活動するメンバーによって構成されるグループ。プロジェクトごとに様々な分野からメンバーが集まり、各自の専門知識と技術とノウハウを提供しあって社会性の高いアクションリサーチ活動を進めています。テーマは、都市に新しい「水上経験」をつくること。様々な形で都市水面に触れる機会をつくり、使い方の方法論を広く共有していくこと。それは時にアートとしての問いかけにもなり、また時には地域の人々とのワークショップや、建築デザインの提案という形にもなります。2005年横浜トリエンナーレ、2007年内閣府都市再生プロジェクト「防災×船×アート」、2007年BankART「地震 EXPO」などに参加。ボードメンバーは、井出玄一、坂倉杏介、山崎博史、藤田雄三、岩本唯史、墨屋宏明、山口雄司。ウェブサイト(http://boatpeopleassociation.org/)


アイスランド人から見て、日本人はdisciplinedか?

2009-11-26 01:04:27 | Weblog
展示オープニングを済ませてから日本に帰って来てからも、忙しい日々が続いている。展示というのは、不特定多数の方とのやりとりとなるのだが、そのフォローアップの仕事量もかなりのものだ。とは言え、一番の山場は乗り切ったと思うので、後はしっかりとフォローアップすることだけを考えて行きたい。

NYでの展示インストールの際に、アイスランド側の作家とキュレーターに、日本人はとてもdisciplinedだ(しつけられている、とでも訳そうか)、と言われた。私も一緒に仕事をしながら、てきぱきと仕事をこなす日本人スタッフたちを見ながら、そうだなぁ、disciplinedだなぁ、と感じていた。

アイスランドでは、国家の規模が小さいこともあってか、いろんな意味で日本ほど縦割りが進んでおらず、ある程度の規模によって初めて成立する専門性、というのを追及することが難しい状況があったのだと思う。結果、ギルド的な制度の延長線上にある専門性(discipline)を生み出すことが無かったのだろう。そういう状況もあってか、アイスランドでは数学の先生が弁護士になったり、カウンセラーが薬剤師になったり、という専門領域を横断する様な転職が頻繁に見られる。(これは同時に、アイスランド人の持つ高い基礎教育によって初めて成立している)また、アイスランドは日本ほど時間に正確であることを求められない、という印象も持ったが、これは国内に電車が走っておらず、雪など自然の不確定要素の為、そもそも時間に正確であることを求められない土地柄なのかもしれない、とも感じた。

歴史的な側面から考えて見ると、アイスランドは封建制システムの歴史が浅いと言えるかもしれない。デンマークの植民地であった時代は、デンマーク王がアイスランド王を兼ねていたのだが、王がアイスランドには住んでいない、という王不在の王政であった。教会権力も強くない地域であり、さらに軍隊もほとんど存在しない、というアイスランドの歴史には、強力なルーリングパワーというのがほとんど存在しなかったのではないか?

一方日本は、御恩と奉公や参勤交代などの強力な封建制度を江戸期にまで確立することができ、それが長年の歴史の中で醸造されたが、それが現在の統治に多大な影響を与えていると思う。disciplined、と呼ばれるであろう社会構造の基盤が、そこにあると言えよう。

ルーマニアに行った際、チャウシェスク政権以降の荒廃した街の景色の中で小学生くらいの子供がタバコを吸っているシーンを見た時、そしてアメリカ各地をドライブしながら、南北戦争において南と北が分裂しない様に奔走した政治家たちの意思の延長線上に、現在の超大国アメリカが存在していることの意義などについて考えた時、日本の封建的システムが、当時のコミュニケーション可能エリアと日本列島そのもののサイズに上手くフィットし、統治として今までは上手く機能してきたのだ、と強く感じた。一方、アイスランドに行くと、大人の男性がまるで子供みたいだ、と感じることが多々あるのだが、これも封建的なものの不在によって初めて成立しているのではないか、と思える。

ネーション、という言葉を考える際、言語的なもののみならず、こういった統治の歴史の様なものを考えると、例えば日本で何故単一民族神話の様なものが生まれるのか、そういった歴史背景も理解しやすくなるのではないか、そんなことを思った。

展示カタログ「ボルケーノ・ラヴァーズ - アイスランドと日本から」販売のご案内

2009-11-21 11:14:36 | Weblog
遅ればせながら、展示カタログ「ボルケーノ・ラヴァーズ – アイスランドと日本から」の販売を、Web上にて開始します。

A5サイズ/60ページ/フルカラー/英語/ISBN#:978-1-61623-969-5/デザイン: 相澤幸彦(Aizawa Office)

こちらの英語版カタログを、1,000円+送料・手数料全世界一律500円の合計1,500円にて販売しております。カタログ5冊まで、送料500円にてお送りできます。

購入をご希望の方は、右記の銀行口座へ1,500円をお振り込み頂き、振り込み証明書を添付した上で、info@volcanolovers.netまで住所、氏名、電話番号を添えてご連絡下さい。確認が取れ次第、速やかにカタログを発送致します。

クレジットカードをお持ちの方は、PayPalのご利用も可能です。Web上のフォームでご購入数を指定の上、「Add to Cart」ボタンをクリックし、PayPalの決済ページで左下のcontinueボタンをクリックして下さい。ログインせずにクレジットカードでの購入を行うことができます。その場合、費用は英語版カタログ$10+輸送費・手数料$5の合計$15となります。複数冊ご購入して頂いた方にはディスカウントもご用意しておりますので、ぜひご覧になって下さい。

それでは、皆さまからのご連絡をお待ち申し上げます。

「Volcano Lovers」展、無事オープンしました

2009-11-16 13:06:15 | Weblog
「Volcano Lovers」展、金曜日に無事オープニングを迎えることができた。オープニングには300人程度の来客があり、とてもにぎわいのある会場風景となった。

アイスランドと日本の作家によるグループ展ということもあり、オーディエンスもバランスが良く、多方面から来て下さった、という印象がある。日本の総領事館から日本領事が、さらにアイスランド側からは総領事がいらっしゃって下さり、皆でアイスランドウォッカを楽しく召し上がった。アイスランドにゆかりが深く、ハラルデュールの友人であるマシュー・バーニーもオープニングにいらっしゃって下さり、とても盛り上がった。とにかく和やかで、雰囲気の良いオープニングだったと思う。

2005年のAnoter Expo展からよくご一緒させて頂いている斉木さんから、「大分プロっぽくなったね」、というコメントを頂けたのが嬉しく、なんだか照れ臭くもあった。

展示オープン後、打ち上げ会場である近所のレストランのバーで、アイスランド側の作家と、キュレーターであるビルタと深い話をした。とても濃密な時間だった。話をしているうちにジントニックのアルコールが身体に回ってきたせいだろうか、一つ重要な仕事をこなすことができた、という深い感慨が湧き起こってきた。その後、アイスランド側の作家とビルタの3人が、日本側の協力者全員に挨拶に来てくれたのが心底嬉しかった。

この展示を無事実現へとこぎつけることができたのも、参加アーティスト、そして会場や協力者である皆さんの積極的なご理解とご協力があってのことだと痛感している。ご協力頂きました皆さま、本当にありがとうございました。

また展示の様子など、時間をかけながら考えて行きたいと思う。その様子は、ブログにて綴って行きたい。

インストール作業、あと一息

2009-11-12 23:15:57 | Weblog
作品インストール作業が山場だ。最も困難が予想された嵯峨篤さんの作品reposeや、ハラルデュールの壁紙型の作品「Emotional Wallpaper」のコラムへの貼り付けなど、アートハンドラーの皆さんの活躍もあり、無事完了することができた。特に壁紙作品をコラムに張り付けるという作業を担当して下さった悟さんは、間違いなく今回の展示インストールのMVPだ。本当にありがとうございました。

夜までにはほぼ全てのインストール作業を終えることができたが、まだ作業が一部残っている。金曜日夜のオープニングに向けて、今日の木曜日一日で全てを完成させる必要がある。とにかくもう一息だ。頑張ろう。

実際に、日本人作家やスタッフ、そしてアイスランド人のキュレーターやアーティストと現場にてコラボしてみると、いろいろな文化的相違があることが分かってくる。それは言語の違いであったり、空間の使い方に関する意見の相違や、またコミュニケーションの取り方や、さらに問題解決の仕方などにおいてもそうである。こういう相違に当たると、自分自身が、新しい領域に入り込んで、そこを拡大している様な気分になる。

こういった困難を乗り越えていくことが、キュレーターとして経験になると信じて、前に進んで行くしかない。とにかく今日一日、頑張ろう!

インスタレーション準備開始

2009-11-07 23:37:24 | Weblog
木曜日の夕方、NYに到着した。そのまま、ISEの会場に直行し、ISE側の伊勢さん、鈴木ゆうこさん、アートハンドラーの大介くんやコラボレーターであるキュレーターのビルタとミーティングを行う。皆さん、カタログやインビテーション・カードのクオリティを喜んで下さっており、制作した側として、とても嬉しく思う。特にビルタは感激してくれて、私のほっぺたにキスしてくれた。デザイナーの相澤さん、そして印刷業者のテックさんに感謝感謝。

大介くんとは、インスタレーションの際の壁の設置に関してミーティングを行い、詳細事項を確認する。週末だけで壁の設置が完了すると、インスタレーションがすべてスムーズにいく予定だ。なんとか週末だけで、上手く仕上がってくれると良いのだが。。。

その後、インビテーションカード2000枚を持ってチェルシーに移動。今回の展示のNYのキュレートリアル・アシスタントをして下さっているTerihaさんと、坂本有理さんとミーティングを行い、カードの配布や、さらなる告知に関してミーティング。久しぶりの再会にも関わらず、あまり久しぶりな感じがしないのは、メールや電話でコミュニケーションを取っていたからだろうか?いろいろなアイディアを出し合って、効果的な告知方法に関して意見交換を行う。

その後、Lower East Sideにある自宅に帰ると、ルームメートと談笑しつつ、部屋に溜まった書類の整理に追われる。とはいえ、思ったほど悲惨な状況ではなく、ホっと一安心。

金曜日の朝から、インスタレーション準備開始。朝10時に会場に集まると、アートハンドラーの大介くんとたちばなさんとで、シートロックの設置を行う。二人とも高い技術を持ったアートハンドラーなので、安心できる。

午後からアイスランド側の作家、ハラルデュールも合流し、サウンド・インスタレーションや壁紙型の作品の設置に関して、ビルタと皆で相談。かなり面白いアイディアが浮かんできて、皆テンションが上がる。展示全体として、いろんな仕掛けのある、面白いものになりそう、そんな予感が高まる。

夕方からは、皆の共通の友人であるアーティストのさとるさんがいらっしゃり、壁の設営に助っ人として参入して下さる。皆、展示の為に一丸となってお手伝いしてくれる姿を見ると、本当に有難いなぁ、という気分になる。

夜遅くなる前にSprint Storeに駆け込むと、休眠していた携帯電話を復活させる。これでフットワークが軽くなった。

今日も一日、オープニングに向けての準備、頑張ろう!

友人と、ささやかなよろこびと。

2009-11-03 01:22:02 | Weblog
今週はVolcano Lovers展のカタログ製作準備を進めながら、海外からの友人たちとのミーティングを重ねていた。かなりタイトなスケジュールの中での作業が続いたので、正直キツかったが、これで一つの山を越えたと思う。

金曜日は、オーストリア出身のキュレーターの友人、Walter Seidlと落ち合って、アートに関する情報を交換する。Walterとはアーティスト仲間のオーバーラップが複数あり、年齢も比較的近いので、なんだか親近感がある。日本文化やアートなどで東ヨーロッパに持って行った場合、どんな作品が良い反応をもらえるのか、そんな話をした。彼は東と西ヨーロッパの温度差をいろいろと感じている様だが、そういった意見を直接シェアできるのは、とても有益だと思う。

その後、ヨコハマ国際映像祭にてGraffiti Research LabとBOAT PEOPLE Associationの水辺グラフィティ・クルーズに参加。このGRLのグラフィティ装置、大変良くできたプログラミングで、壁にレーザーポインターで書いた文字が、それを読み込んだプロジェクターを通じて、壁にグラフィティとして数秒間残る、というもの。グラフィティのスピリットを活かした、素晴らしい作品だと思う。その後のオープニングレセプションにて、ピピロッティ・リストとお話できたのが嬉しかった。想像通りの、優しそうな方だったのが印象的だった。

土曜日は、森美術館でのプロジェクトで来日中のTellervo and Oiver Kchta-Klleinenと一緒に、スエーデン大使館のオープニングに伺った後、夜遅くまで飲みながら芸術談義をする。オリバーはドレスデンの出身なのだが、私は東ドイツ出身の方と会うと、なんだかホっとする。オリバーとはNYでネーションと憲法の話なんかでかなり盛り上がったのだが、お互い扱っているテーマが近いので、話が弾む。

オリバーの言う、もはや存在しない東ドイツという国と、自分自身との距離感や、故郷を喪失した人たちが持つある種の不安感の様なものが、彼のアイデンティティに深く影響を与えている。表現者の多くは、こういった帰属意識の無さをアイデンティティにすることで、表現の強度を保てているのだと思う。

オリバーが、映画Night on Earthに出てくる、ニューヨークで働く東ドイツ出身のタクシードライバーの話をすると、フィンランド出身のテレルボが、いや、あの映画ではヘルシンキのお話が一番良かった、そんな話をする。でも、そんなこだわりの中に繊細な感情の襞の様なものが感じられると、なんだか嬉しい。

そんな彼が、私と同じく、アイスランドに並々ならぬ関心を持っているのは、不思議な一致だ。テレルボもオリバーも、マリーナ・アブラモビッチの教え子なのだが、ある種の土地の特異点の様なものを理解している部分が、移動を通じてネーションの問題を考えてきた、私とオリバーの共通点なのかもしれない。

日曜日の夜は、ボルケーノ・ラヴァーズ展の協力者を集めて、アーティストの嵯峨篤さんと照屋勇賢さんを囲んでお食事会。新作の話などを、アーティストを囲んで直接お話しできる機会は、とても有益なので、嬉しかった。特に多摩美術大学時代の学友である勇賢さんと嵯峨さんを、久しぶりにご一緒する機会を都内にて作ることができたのは、とても良かった。

展示をみんなで作っている、という感覚は、距離やメールでのやりとりばかりが続くと、ドライなものになりかねない。久しぶりには、皆で落ち合って、お酒でも飲みながらお話をする。展示を通じてそんな時間が作れるのが、私にとってのささやかな喜びの一つである。