ブログ読者の皆様
こんにちは、キュレータ-の渡辺真也です。お世話になります。
今日をもちまして、当ブログは「もう一つの万博 - ネーション・ステートの彼方へ and Beyond」より
「アトミック・サンシャイン - 九条と日本」ブログとして生まれ変わります!
私の次回の美術展覧会
「アトミック・サンシャインの中へ - 日本国平和憲法第九条下における戦後美術」開催、そしてその関連イベントの開催に向けて、このブログを通じて情報を発信して行きたいと思います。
なお、イベントの公式HPは以下の通りです。ここでは、開催が迫っている
パネル・ディスカッションから順に、
映画上映会、
美術展示の順で配置してみました。4月25日、26日に行われるディスカッション・イベントと映画上映会の詳細は以下の通りです。
1MB程度のプレス用PDFファイルを用意しましたので、ぜひダウンロードしてみて下さい。
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パネル・ディスカッション 「平和憲法は時代遅れか?再軍備を検討する日本」
日程:2007年4月25日水曜日
時間:6:00 - 6:30 登録、 6:30 - 8:30 討議、 8:30 - 9:00 レセプション
場所:アメリカ、ニューヨーク、アジア・ソサエティー 725 Park Ave, New York, NY
パネリスト:
ベアテ・シロタ・ゴードン
(日本国憲法起草メンバー、ザ・アジア・ソサエティー・パフォーミング・アート・フィルム・レクチャー部門元ディレクター)
鈴木邦男
(政治批評家、新右翼団体「一水会」創設者)
ジャン・ユンカーマン
(ドキュメンタリー映画作家、 映画「日本国憲法」監督)
フランシス・ローゼンブルース
(イェール大学ポリティカル・サイエンス教授、日本経済のスペシャリスト)
司会:
キャロル・グラック (コロンビア大学日本史教授)
地球規模での紛争や緊張、日本ナショナリズムの復活、そして北朝鮮の核保有の現実に直面した今日、日本は過去60年において初めてとなる、第二次世界大戦後に採用したユニークな平和憲法を改正する第一歩を踏み出すことを考えている。これは理に適った動きなのだろうか?この動きは、日本と周辺諸国そしてアメリカとの関係に、どういった影響を与えるのだろうか?
入場料: $10(アジア・ソサエティー・メンバー) 一般 $15
チケットの購入は、Asia Societyのウェブサイトからどうぞ
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ドキュメンタリー映画上映会
「映画 日本国憲法」
日程: 2007年4月26日 6PM - 8PM
場所: ニューヨーク大学バーニー・ビルディング アインシュタイン講堂
34 Stuyvesant Street (East 9thと10th Streetの間, 2nd と 3rdアベニューの間)
*映画上映の前に、NHKによる砂入博史氏によるアート・プロジェクト「Peace by Piece」が上映されます (約10分)
監督:ジャン・ユンカーマン
プロデューサー:山上徹二郎
撮影:大津幸四郎
音楽:ソウル・フラワーズ・ユニオン
(日本語、英語字幕付き)
78 min, 2005
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美術展覧会: 「アトミック・サンシャインの中へ - 日本国平和憲法第九条下における戦後美術」
キュレーター: 渡辺真也
日本国憲法は、1947年、アメリカ占領軍によって実質的に書かれた歴史がある。そして平和憲法として知られる第九条には、主権国家としての交戦権の放棄と戦力不保持が明記されている。
1. 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
この世界的に見ても非常に珍しくユニークな憲法上の平和主義の規定は、アメリカのニューディーラーの理想主義が反映されている。この平和主義を含んだ新憲法は、第二次大戦の苦しみを経験した当時の日本の一般市民に受け入れられ60年間改正されることなく今日に至るが、アジアの不安定化とナショナリズムの高揚と共に、この平和憲法の基盤である第九条が、現在、その存在を問われている。
美術展覧会「アトミック・サンシャインの中へ - 日本国平和憲法第九条下における戦後美術」は、日本国憲法改正の可能性を目前とする今、戦後の国民・国家形成の根幹を担った平和憲法と、それに反応した日本の戦後美術を検証する試みである。
憲法第九条は、戦後日本の復興と再形成に多大な影響を与えたのみならず、60年間他国との直接交戦の回避を可能にした。しかし、九条を持つことで日本は直接交戦から回避することに成功したが、日本の実質的戦争協力は、第九条が保持される限り、ねじれた状況を生み出し続ける。この日本の特異な磁場から、多くのアーティストたちは取り組むべき新たな課題を発見し、彼らの芸術に表現してきた。日本の戦後やアイデンティティ問題などをテーマとした美術作品の中には、戦後の問題、アイデンティティ問題、また憲法第九条や世界平和をテーマとしたものが少なくない。
アトミック・サンシャインとは、1946年2月13日、GHQのホイットニー准将が、吉田茂とその側近であった白洲次郎、憲法改正を担当した国務大臣の松本烝治らと行った憲法改正会議のことである。ここで、ホイットニー准将は保守的な松本試案を一蹴し、GHQ民政局の憲法試案を「日本の状況が要求している諸原則を具体化した案」で、マッカーサーの承認済みのものだと説明した。その後、アメリカ側が公邸の庭に下がり、英文を読む時間を日本側に与えたのだが、その際、英語に長けた白洲次郎が庭に出てアメリカ人のグループに加わっていくと、ホイットニー准将は白洲にこう言った。 「We have been enjoying your atomic sunshine.」
この一言で、ホイットニー准将は日本側に、戦争の勝者・敗者を明確に思い起こさせ、さらにGHQ草案に示された諸規定を受け入れることが、天皇を「安泰」にする最善の保障であり、もし日本政府がこの方針を拒否するならば、最高司令官マッカーサーは日本国民に直接この草案を示す用意がある、と発言した。その後、この憲法改正における日本国とGHQの会議は「アトミック・サンシャイン会議」と呼ばれるようになる。このGHQ草案に添った形で修正した内閣案が、最終的に1946年11月3日に日本国憲法として公布された。
展示の目的
世界的に見て、憲法第九条は非常にユニークなものでありながら、その存在そのものが意外と知られていない。そこで、この展覧会を通じ、日本の戦後美術のみならず、日本国憲法第九条を、ニューヨークの聴衆に紹介する。また、この平和憲法の成り立ち、そしてその為に日本が戦後60年間、直接的交戦における犠牲者を出してこなかったという歴史的意義と重要性を検証する。
助成:花王芸術・科学財団、朝日新聞文化財団
なお、展示「アトミック・サンシャインの中へ - 日本国平和憲法第九条下における戦後美術」実現に向けて、
寄付を募っております。皆様のご協力を、心からお待ち申し上げます。それでは、よろしくお願いします。失礼します。
渡辺真也