Eur-Asia

西洋と東洋の融合をテーマとした美術展「ユーラシア(Eur-Asia)」の開催を夢見る、キュレーター渡辺真也によるブログ。

タピエスとダダかん・山海塾の内外・国際刑事裁判所

2006-10-28 11:56:02 | Weblog
水曜日は、アジアソサエティーの手塚さんと一緒に、NYを訪ねていた上原さんというコレクターの方にお食事に招かれる。上原さんは瀧口修造氏のアシスタントを長年務めていた方で、とても魅力的な方だった。瀧口氏がタピエス氏との親交が深かった関係で、上原さんの名詞がタピエスが書いてくれた鏡文字から出来ている、というのがそのセンスを物語っている。私の友人がバルセロナのタピエス財団に勤めている、という話をすると、大変喜んでくれた。また、バルセロナの気候の話から沖縄の話まで盛り上がって、最高だった。

その後、上原さんとは60年代の日本アバンギャルド・アートの話で盛り上がる。特に上原さんの奥さんがダダかんとの書簡を何度も交わしていて、その数が100に上るという話は大変面白かった。俺もダダかんと往復書簡、したいなぁ。

木曜日は山海塾のパフォーマンスを友人と一緒に見に行く。舞踏は何度か見ているけれど、山海塾のパフォーマンスを見るのはこれが初めて。面白いことに、私が初めて山海塾の存在を知ったのは、NYUのローズリー・ゴールドバーグの授業を通じてであった。やはり海外での評価の方が高いのだろう。全身白塗りのダンサーが身体から粉を降りまきながら踊る様は、なんとも異様な光景であると同時に、美しいものだった。また音楽、衣装など本当に凝っているのに非常に関心する。

特に天児牛大氏の自身の身体のリプリゼントの上手さは、他の日本人ダンサーの中でも突出していた。天児牛大の自身の目指す表現というのがあるのだとするのなら、それはパリでは受け入れられても、日本国内では難しいのかもしれない、とも思った。これも、ネーションの問題に密接に関わってくる。同時に、海外においてその内外差異を逆手に取ることも可能なのだと思う。

今日は関係者からの依頼で、朝から国連系の組織で通訳を担当する。世界連邦というアインシュタインやチャーチルらが創設した、安全保障理事会などの国連改組を目的とした組織であり、会議の内容は国際刑事裁判所の創設に関するものがほとんどであった。ウガンダやソマリア、旧ユーゴスラビアにおける国際刑事裁判の手続きの困難さや、さらにチリ等の国内憲法が世界標準となりつつある刑事裁判手続きと異なる例などについて、ひたすら通訳する。ユーゴスラビアや南アフリカ、ルワンダに関しては私が興味がありある程度勉強したエリアだったので、大変役立ち、さらに勉強にもなった。

その後、夜は友人のミミの展示のオープニングがあり、チェルシーに移動。ミミの家のパーティで会ったスイス人のアーティストがみんな勢ぞろいしていて、面白かった。特にクラウスという年配のアーティストの方と仲良くなり、家でのカクテルパーティに招かれる。非常に温厚な方で、大変惹かれた。こういう優しさが前面に出ているアーティストの方とNYで出会うと、なんだかホっとする。