なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性大動脈解離でした

2020年09月24日 | Weblog

 4連休最終日の9月22日は、内科の若い先生が日直をしていた。のどの痛みを訴える80歳女性が救急外来を受診した。受診時にはのどというよりは胸痛だった。

 この患者さんは高血圧症で内科医院に通院していた。昨年夏に発作性の動悸で当院の循環器科に紹介されて、発作性心房細動の診断で抗凝固薬(DOAC)の開始されていた。ふだんの心電図は正常洞調律でST-T変化はなかった。

 その日の心電図はV3-6・Ⅰ・aVL(・Ⅱ)で明らかにST低下を認めた。急性冠症候群(ACS)疑いとして地域の基幹病院に連絡した。当直は循環器科の若い先生で、すぐに受けてくれた。

 連休明けの昨日、連休中に救急外来を受診した患者さんをチェックしていて、この患者さんに気づいた。若い先生に、すばやい対応でよかったね、と話した。aVRでST上昇を認めるので、左冠動脈主幹部病変かもしれないから怖いねえ、とも話した。緊急心臓カテーテル検査になったものと思っていた。

 

 内科再来があったので内科の外来に行ったところ、その患者さんが循環器科外来に紹介されてきていた。前日に基幹病院に搬送されたが、熱中症とされて、帰宅になったそうだ。確かに外で草むしりをしていた時に発症したが、胸痛と心電図変化はどうなるのだろう。

 前日からの胸痛が続いて、かかりつけの内科医院を受診した。そこからの紹介で当院の外来に家族の車で受診したという経緯だった。

 改めて検査すると、心電図は頻脈性心房細動+心室内変行伝導(CLBBBパターン)で異様な像を呈していた。循環器科の若い先生が胸部X線で縦隔拡大に気づき、心エコーで上行大動脈の拡大とflapを認めた。(当院の循環器科は平日時間内のみ対応)

 胸腹部造影CTが行われて、上行大動脈の解離が確定した(大動脈弓までのStnaford A型)。解離は大動脈基部まで及んでいて、冠動脈を巻き込んで心電図変化を来したようだ。

 心臓血管センターのある専門病院に救急搬送となった。バイタルは保っていた。

 

 胸部単純X線で見ても(いずれも立位)、昨年の初診時と比較すると、縦隔の開大がわかる。(まあ、その目で見てしまっているが)

 

 

 

 

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