循環器科に通院している79歳男性が、咳・微熱で月曜に外来を受診した。ふだんの担当医ではないが、循環器科のトップの先生が胸部X線検査をして肺炎はないと判断した。内科系診察室にいたので、ちょっと見てと言われて当方も確認した(さっと見ただけだった。ちゃんと見なければ。)。
この患者さんが水曜日の午前0時過ぎに呼吸困難で救急搬入された。当直は大学病院からバイトで来ている外科医(大学院生)だった。
胸部X線・CTで両側胸水(葉間胸膜の肥厚も)・肺うっ血を認めた。当直医が新型コロナウイルス感染症も否定できない、と騒いて感染管理ナースが呼ばれたりした。個室に隔離されて入院となった。(当地域ではまだ新型コロナウイルス感染症の患者は発生していない。感染者の出ている都市部に行くこともない。)
水曜日の朝に来て、画像を確認したが、心不全の増悪と思われた。もともと、陳旧性心筋梗塞((前壁・下壁)+心房細動がある。心電図は、V1-2でpoor R wave progressionがあり、Ⅱ・Ⅲ・aVFで異常Q波が残存している。処方はアゾセミド・スピロノラクトンにサムスカ(7.5㎎錠が半錠)・ビソプロロール0.6245㎎錠2錠など、けっこうフルで入っている。
胸部聴診上はfineなcracklesが聴取された(翌日軽減)。急性間質性肺炎もちょっと考えた。まず心不全増悪として利尿薬フロセミド注で十分な排尿がみられた。
すでにコロナウイルスPCR検査を出さないと済まない雰囲気になっていたので、その日に提出した(陰性確認として)。木曜日に陰性と判明した。(陽性率が60~70%らしいので偽陰性がありうるが、そもそも状況・経過からほとんど疑っていない)
利尿薬投与で、胸部X線像で肺陰影が軽減していた(最初の月曜日のX線くらいに戻った)。間質性肺炎でもなく、うっ血・水腫でいいのだろう。
木曜日に大学から呼吸器外来に来てもらっている先生に訊いてみると、水でしょうという。DOAC(エリキュース)を内服しているので血痰の有無(肺胞出血)、漢方薬など薬剤性肺炎をきたしやすい薬の有無を確認された。なるほど、そういう疾患が鑑別に上がるのか。
(胸部X線は左が月曜日、真ん中が水曜日、右が木曜日:胸部CTは水曜日)
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