Japan Coma Scale(JCS) (3-3-9度方式) 「意識障害の評価方法」佐野圭司編 医学図書出版
JCSは、上行性網様体賦活系が関与する覚醒障害を中心に意識障害を評価している。
開眼をもって覚醒としている。覚醒は瞬目運動(まばたき)を伴った開眼であり、死線期(死亡後も)の両側顔面神経麻痺による半開眼状態は覚醒ではない。
Ⅰ. 刺激しないでも覚醒している状態
開眼している患者さんに、名前・生年月日を聞いて、いずれかが答えられない時は、「3」とする。
名前・生年月日を聞いて答えられるが、日付(今日は何月何日ですか)・場所(ここはどこですか)・人(家族など周りの親しい人は誰ですか)を聞いて、いずれか1つがわからない時は、見当識障害ありで「2」とする。
名前・生年月日が答えられて、見当識障害もないが、意識清明といいきれない時は「1」とする。
1 だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない
意識清明と判断するには今ひとつ抵抗がある状態。この方式の最も非科学的な部分。名前・生年月日も言えるし見当識もあるが、正しい答えが出てくるまで何回も間違えたり、時間がかかる時、また100から9を連続して引がせてできなかった時に1にする。意識清明とするのに一抹の不安を覚えたら1とする。
2 見当識障害がある
「時」は「今日は何月何日ですか」と訊いて、どこまでを誤りとするか。月がわからなければ見当識障害あり。月がわかっても、日にちまでわからない時は、「月の初め・中ごろ・終わり」を訊いて、合っていれば正常と判断する。「場所」・「人」に関する判定で問題は少ない。ここはどこかと訊いて、正確な病院名まで言えなくても、通称の病院名で正しいとする。遠隔地から来院した場合は、たとえば「東京の病院」でも正しいとする。
3 自分の名前、生年月日が言えない
名前はどんな形の間違いでもすべて誤りと判断する。時に結婚前の名前(旧姓)を名乗る女性がいる。生年月日は正常人ではまず間違うことはない。年齢をきくと、正常人でもときに1つ2つ間違ったり、あやふやな人がいる。生年月日は過去の記憶であり、年齢は最近の記憶。
Ⅱ. 刺激すると覚醒する状態(刺激をやめると眠り込む)
閉眼している患者に声掛けして開眼した時、意識障害をきたしているか、単に睡眠中であるかは、それだけでは区別できない。質問にたいする応答の程度で2桁の意識障害化睡眠中であったのかを鑑別する。
10 普通の呼びかけで容易に開眼する
20 大きな声または体をゆさぶることにより開眼する
30 痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する
Ⅲ. 刺激しても覚醒しない状態
100 痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする
痛み刺激が加えられている個所まで手足をもってくることで、必ずしも払いのけなくてもよい。手足の運動がみられなくても、「ウーン」といううめき声がある場合には「100」に入れる。
200 痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる
手足を少し動かしたりというのは、痛み刺激に対する除皮質姿勢(上肢屈曲・下肢進展)、および除脳姿勢(上下肢とも進展)も含む。
300 痛み刺激に反応しない
痛み刺激に対して四肢の運動はみられないが、呼吸リズムに多少の変化をみることはある。
(痛み刺激の加え方)
そのつど皮膚をつねってはいけない(全身に皮下出血班がつくってしまう)。
1)腋窩に手を挿入し、母指を表面に他の4指を裏面にあてて大胸筋をつまむ、2)拳で胸骨をゴリゴリこする、3)爪床にボールペンとかハンマーの柄のような固いものを載せて圧迫する。
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