なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

無症候性帯状疱疹?

2019年04月05日 | Weblog

  火曜日に内科クリニックから肺炎疑いで93歳女性が紹介されてきた。微熱と炎症反応上昇を指摘されているが、主訴は前日からの右側頭部痛だった。

 確かに咳は時々しているが、以前からある。胸部X線で両側肺が全体的に汚い印象はある。「汚い」というのは医学的な用語ではないが。こ以前の胸部X線・CTで間質性肺炎を指摘されているが、治療を開始するほどではなかった。今回肺炎疑いということで、胸部CTで確認した。左下肺野の間質性陰影が以前よりは目立った。それでもまだ治療するほどではない。

 右側頭部で耳の上の部位なので、三叉神経第1枝の範囲になる。痛みの性状はびりびりした痛みが断続的にあるようだ。神経痛と思われる。家族の話では、前に右胸部に帯状疱疹が出たことがある。また顔面の痛みが出たこともあったそうだ(皮疹はなかったらしいが)。

 家族は、神経痛で痛み止めをもらうつもりで受診して、思いがけず病院紹介と言われてしまったという。主訴から考えれば、右側頭部痛の鑑別診断ということになる。白髪をめくって観察したが、帯状疱疹はなかった。日数的にまだ出ていないだけかもしれない。

 鎮痛薬だけで経過をみるか、抗ウイルス薬を処方するか迷うところだが、家族が「ひどそうです」というので、抗ウイルス薬を処方することにした。腎機能は正常域だが93歳なので、、ファムビル250mg錠を2状ずつ朝夕2回にした。

 3日後の今日外来に来てもらった、前回受診後、アセトアミノフェンを2回内服したが、その後は痛みが軽快したので飲んでいないという。今日も右側頭部をみたが、帯状疱疹はなかった。ファムビルを4日分追加処方して、来週の火曜日に診ることにした。炎症反応も再検する。

 無症候性帯状疱疹でいいのだろうか。確定診断ではなく、推定診断になる。

 

 昨日抗ヘルペスウイルス剤のファムビルを販売しているマルホのMRさんが説明に来ていた。ファムビルは帯状疱疹の時は、250mg錠を6錠分(7日間)になり、腎機能によって減量する(CCr>60で6錠分3、40~59で4錠分2、20~39で2錠分1、<20で1錠分1)。

 単純疱疹の時は、250mg錠を3錠分3(5日間)になるが、250mg錠を8錠分2(1000mgずつ1日2回)1日だけという処方が認められたそうだ。細胞内半減期が長いので、この処方でも効果がある。腎機能によって減量するのは同じ(CCr>60で8錠分2、40~59で4錠単回、20~39で2錠分1、<20で1錠分1)。

 マルホはヒルドイドのメーカーで有名だが、抗ヘルペスウイルス剤のアメナリーフも販売している。皮膚に特化した面白いメーカーだ。MRさんは俳優の伊藤淳史さんに似ている。

 

 

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