11月の市医師会講演会の座長を頼まれた。テーマは「C型肝炎・肝がん」で本来座長は当院の消化器科医になるが、現在も体調をみながらの診療をしているので、当方に回ってきたのだった。
しばらく肝炎の勉強をしていないので、わかりやすいところで、jmed「肝炎 どう診る? どう治す?」(日本医事新報社)を購入して予習することにした。
C型肝炎すべての症例が抗ウイルス療法の治療対象になる。慢性肝炎・代償性肝硬変、さらには2019年から非代償性肝硬変も対象になった。
IFNフリー治療(=第2世代のDAA治療)の著効率が、慢性肝炎・代償性肝硬変では95%以上になり(100%近い)、非代償性肝硬変でも92%(Child-Pugh分類grade Bで95%、grade Cで80%)ある。(grade CでもChild-Pugh分類10~12点の症例のみで、13~15点の症例は含まれず)
直接作用型抗ウイルス薬(DAA:direct-acting antivaral)は、プロテアーゼ阻害薬・NS5A阻害薬・ポリメラーゼ阻害薬の3群があり、NS5A阻害薬に、プロテアーゼ阻害薬あるいはポリメラーゼ阻害薬との併用治療になる。1剤だけではわずか数日でHCVに作用部位に変異が起こり耐性ウイルスになる。
1. 慢性肝炎・代償性肝硬変(Child-Pugh分類grade A)
ゲノタイプ1型に対するIFNフリー治療は、ハーボニー(ソホスブビル/レジパスビル配合錠)、グラジナ+エレルサ(グラゾプレビル/エルバスビル併用)、マヴィレット(グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠)を推奨。(慢性肝炎に対するマヴィレットのみ8週間投与で、他は12週間投与)
ゲノタイプ2型に対するIFNフリー治療は、ソバルディ(ソホスブビル)+レベトール(リバビリン)、マヴィレット(グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠)、ハーボニー(ソホスブビル/レジパスビル配合錠)を推奨。
IFNフリー治療失敗症例に対しては、薬剤耐性変異を測定の上、マヴィレット12週間投与あるいはエプクルーサ+リバビリン24週間投与が推奨されている。
注:ハーボニー、ソバルディ+リバビリン、エプクルーサ(+リバビリン)は、ソホスブビルを含んでいるため、重度腎障害eGFR<30ml/分/1.73m2または透析患者に対しては投与禁忌。
2. 非代償性肝硬変(Child-Pugh分類grade B/C)
非代償性肝硬変に対しては、エプクルーサ(ソホスブビル/ベルパタスビル)12週間投与が唯一の抗ウイルス治療。
C型肝炎ウイルス消失≠肝疾患治癒 C型肝炎ウイルスが消失しても、肝がんの発癌リスクがあり、画像検査を中心として注意深いフォローアップが必要。
非代償性肝硬変も治療できるようになっていたのは知らなかった。肝がんについても予習が必要だが、「肝癌診療マニュアル」(医学書院)を1か月で読むのは大変そうだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます