なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

重症喘息発作

2018年07月03日 | Weblog

 午前中内科再来を診ていると、病棟から連絡が来た。95歳女性が心停止となり、確認をお願いしますという。

 先々月の半ばに意識障害で救急搬入され、心不全の悪化(低酸素)で入院した。利尿薬の投与で軽快して、一時は食事摂取もできていた。やせた、というより骨と皮状態の小柄な方だった。そのうちに摂取量がしだいに低下して、特に心不全の悪化も肺炎の併発もなく、全身の問題つまり老衰と判断された。少量の経口摂取と点滴で経過をみていたが、2週間前からは食事摂取はまったくできなくなっていた。

 病室に行くと、息子さんが葬儀社に電話をしていた。家の場所などを伝えていて、なかなか電話が終わらない。大事な電話ではあるので(?)、葬儀社との交渉が終わるのを待って、死亡確認を行った。

 

 昨日は内科の若い先生が当直だった。循環器科のCCUを借りて、喘息発作の39歳男性を入院させていた。内科クリニックに気管喘息で通院しているそうだ。ふだんの治療はICS吸入とテオフィリン製剤の内服で、発作時にはメプチンエアーを吸入していた。昨日はそのメプチンエアーを家に忘れてきて、仕事中に発作が起きたが、すぐに対処できなかった。そのうちに喘息発作がひどくなり、自分で車を運転して当院まで来た。

 受診時の血液ガスはPaO2 72.3、PaCO2 77.6、pH 7.185と呼吸性アシドーシスだった。治療はデカドロン8mg(ネオフィリンを含む)の点滴静注とべネトリン吸入を行って、NPPVを装着していた。その後今朝までに3回血液ガスをとっていた。今朝は喘鳴も消失して、呼吸性アシドーシスもなくなっていた。

 希望で退院することになったそうだが、何だか危うい。胸部X線は異常がなかった。少なくとも数日全身ステロイドを追加した方がいいのではと伝えた。ふだんどのくらいの頻度でメプチンを吸入しているのだろうか。けっこう頻回なのでは?。吸入ステロイドは持ってきていないので正確には何かわからない。本当にICSだけならば、ICS/LABAに変更したほうがいいのでは?。

 数日入院で経過をみるのも(仕事の都合で)難しいようで、結局退院になったが、かかりつけ医宛てに診療情報提供書を出して、ふだんの治療を見直してもらうことにした。もうろうとして車の運転をしていたので、昨日の記憶があいまいだという。よく事故を起こさなかったものだ。

 昔呼吸器内科の教授が、重症喘息発作でかろうじて病院までたどり着いた患者さんが、ネブライザー吸入をしたとたんに心肺停止することがあると言っていた。タイミングの問題かもしれないが、(重症発作では)ネブライーザー吸入自体が刺激となって喘息発作が悪化している可能性があるという。

 酸素吸入とステロイド注を行って、少し症状が軽減したところで吸入する方が無断ではないか言っていた。使用するならエアゾル吸入の方が、病院のネブライザーより刺激が少なくていいらしい。人工呼吸器管理の時も、ネブライザーよりエアゾルを回路の途中から入れる方がいいという話もあった。

 

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