なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

細菌性髄膜炎

2019年10月08日 | Weblog

 7日の夕方に頭痛と視覚障害で24歳女性が受診した。この患者さんはBasedow病の術後で、当院の甲状腺外来(外科)で甲状腺ホルモンの補充療法を受けていた。さらに最近内科に2回入院していた。

 最初は膀胱尿管逆流症による急性腎盂腎炎、その次は壊死性リンパ節炎(菊池病)だった。当方と内科の若い先生が診ていた。2年前に赤十字病院泌尿器科で膀胱尿管逆流症の手術(片側のみ)を受けていて、今回の尿路感染症を契機に残った側の手術も予定されていた。

 もともと中学生のころから頭痛があり、自覚的に拍動性ではないが、持続時間が長く1日続くこともあり、片頭痛と判断される。自分でロキソニンを飲んでいて、あまり効かないが、治まるまで我慢しているそうだ。

 受診したのは、頭痛の程度自体がひどかったことと、両眼がぼやけて見えるという初めての症状を伴ったことだ。意識は清明でバイタルは軽度の頻脈以外は正常だった。頭部CTは異常がなく、さらに頭部MRI(多発性硬化症疑い)も行ったが、画像的には異常なしだった。検査が終わるころには、両眼がぼやけて見えるという症状が軽快してきていた。白血球1700と低下して(ふだんは4000くらい)・CRP0.0だった。なぜか低カリウム血症(2.8)があった。

 入院して鎮痛薬で経過をみて、翌日の今日に眼科受診(検査が終わるころは時間外になって眼科医はすでに帰宅)と神経内科コンサルトの予定とした。夜間ずっと頭痛は続いてた。朝には両側が眼痛を訴えて、両側結膜充血を認めた。眼科で診察してもらったが、緊急を要するような眼科疾患はないという。

 38.7℃の発熱が出現して、白血球11100・CRP7.8と炎症反応の上昇を認めた。意識は清明で、後頚部痛を訴えたが、項部硬直は微妙だった。神経内科コンサルトでは髄膜炎否定のためには髄液検査が必要だが、すぐに施行するか迷っていたようだ。結局髄液検査をすることになり、若い女性ということで、腰椎穿刺に一番慣れている麻酔科医に依頼した。

 髄液は肉眼的には混濁はないように見えたが、細胞数585/µLで92%が好中球と出て、細菌性髄膜炎だった。一気に診断が付いて、神経内科医に地域の基幹病院神経内科のトップの先生に連絡してもらった。受け入れ可能ということで(年齢的に当院の先生の方が、医局の先輩らしい)、救急搬送になった。

 髄膜炎の診断には腰椎穿刺施行の閾値を下げるのが一番ということだった。細菌性髄膜炎を診たことはあまりなく、意識清明の例は初めてだ。

 

(後日記)

 髄液の塗抹でも、培養でも細菌は検出されなかった。細菌性髄膜炎ではないのかもしれない。好中球が出現する他の神経疾患は何だろうか。内科の若い先生は神経ベーチェットくらいしか思いつきませんという。内科専攻医のホスト病院である、医療センターの脳神経内科医の先生は、紹介先の脳神経内科の先生(トップの先生)は神経の炎症性疾患が専門なので紹介先としては良かった、と言っていたそうだ。 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「臨床写真図鑑」 | トップ | またジェイゾロフト »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事