なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

NP-SLE?

2022年11月04日 | Weblog

 発熱・好中球減少(単球増加)・胸膜炎で入院した89歳男性のその後。

 単球性白血病・骨髄異形成症候群疑いで、骨髄穿刺をしたが診断はつかなかった(血液内科医と相談)。検査で抗核抗体陽性・抗dsDNA抗体陽性と判明して、全身性エリテマトーデス(SLE)の診断となった(リウマチ膠原病科の先生と相談)。

 プレドニン30mg/日で解熱して胸膜炎は軽快したが、好中球減少は続いていた。G-CSF(グラン注)には反応していた。プラケニル(ヒドロキシクロロキン硫酸塩)を投与をして経過をみると、好中球減少は改善した。

 プレドニンをゆっくり漸減して、リハビリをしていた。もともとやっとトイレに行けるくらいのADLが低下して、在宅介護は困難となり、施設入所の手続きの使用としていた。

 

 先週、意識レベルが低下していると報告があった。開眼して、問いかけると返事はするが、反応が鈍い。もともと構語障害様のしゃべり方だが目立つようだ。頭部CTでは陳旧性ラクナ梗塞がわずかにあるくらいだった。

 経過をみると、症状が変動して良くなったりもするが、また傾眠様になったりする。頭部MRIも行うと、脳全体と表現するしかないような脳梗塞が多発していた。MRAで少なくとも描出できるメインの脳動脈に問題はない。動脈硬化性ではないようだ。

 心房細動はなく正常洞調律だった。SLEの診断がついてから、抗リン脂質抗体症候群(APS)のマーカーを提出して、心エコー・下肢静脈エコーを行ったが(リウマチ膠原病科医師の指示)、異常はなかった。ただDダイマーが正常ではないので、抗凝固剤(リクシアナ)も投与していた。

 

 大学病院に連絡して、相談していたリウマチ膠原病科の先生に報告した。抗リン脂質抗体症候群(APS)があるのかもしれな、中枢神経ループス(現在は、神経精神SLE:neuropsychiatric SLE=NP-SLE)かもしれない、ということだった。

 ヘパリン化(持続静注)をして、プレドニンは30mg/日(1mg/kgではないが年齢を考慮。入院中に90歳になった。)にして経過をみてほしい。また病院に行った時に診ます、ということだった。

 血小板減少もあり、少し貧血になっている。TTP/TMAなども考えられるか。大学病院で引き取るべきなのでしょうが、とも言われたが、超高齢・ADL低下・認知症となると、難しいようだ。

 

 放射線科の読影レポート(大学病院放射線科の遠隔診断)は、単に「多発性脳梗塞」となっていた。確かにそうだが、この分布をみて奇異に感じないのだろうか。

 

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