先週の木曜日(4月7日)に脳出血(後遺症)で入院していた90歳女性が亡くなった。入院したのは2021年12月で、1年3か月入院していたことになる。
隣町の山間部でひとり暮らしをしていた。訪問したヘルパーさんが倒れているのを発見して、救急要請した。地域の基幹病院に救急搬入されて、頭部CTで脳出血を認めた。
意識は昏睡状態で、回復の見込みはないと判断された。すぐに当院に転院の依頼が来て、1週間後の12月21日に転院してきた。脳外科からの診療情報提供書には、DNARの方針となっていて、末梢静脈からの点滴を継続して看取りをお願いします、となっていた。
東京に住んでいる息子さんは、葬儀に備えて自宅の整理をしている、と言っていた。兄はすでに亡くなっていて、義理の姉(兄の妻)とは折り合いが悪いらしく、自分が全部取り仕切る、とも言っていた。
ただ高齢者で脳委縮・脳室拡大があると、頭蓋内に占拠性病変が出現しても案外持ちこたえる。意識障害は変わらなかったが、バイタルは安定していた。
2022年になってからの頭部CTでは、脳出血はほとんど吸収されて、圧排は解除されていた。
末梢静脈からの点滴か、高カロリー輸液か、経管栄養かの選択になる。息子さんとの相談の結果、高カロリー輸液で経過をみることになった。意識はなくとも生きている方が、ということだった。
そして感染症の発症や、脳血管障害の再発で悪化するかと思われたが、案外安定して過ごしていた。息子さんは当地にはあまり来なくなり、病院の支払いが滞ったこともあった(遅れて支払っていた)。
昨年の後半になって、息子さんが何か月も病院に来なくなり、連絡も取れない時期があった。後でわかったのだが、息子さんは腎機能の悪化からの緊急透析で入院していた。その後、維持透析になってから、連絡がつくようになった。
仕事はできなくなっていた。病院の支払いも3か月以上未払いとなり、経済的にはかなり厳しいのだろうと思われた。改めて母親の治療について相談して、点滴は当然継続するが、末梢用の点滴に切り替えて経過をみることになった。
それでも2か月持っていたが、緩やかに下降線をたどり、静かに亡くなった。週3回の透析なので、当地に来てもまたすぐ戻るようになる。葬儀・火葬の段取りをつけて、3日後に病院に引き取りに来た(日曜日だったので、その日は会えなかったが、電話では何度も話していた)。
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