なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

腸閉塞

2020年10月12日 | Weblog

 今日は内科再来を診ていたが、地域医療連携室で食事がとれないという85歳を診てほしいという。

 循環器内科のクリニックに通院していて、先週食事摂取が低下して、内視鏡検査の依頼が消化器科に来ていた。今週は消化器科医(当院は1名のみ)が遅い夏休みをとっていて、2週間後の来週の上部消化管内視鏡検査を予定していた。

 消化器科は、週2回の外来応援と、ほぼ毎日の内視鏡検査の応援が来ている。今日は外来応援がなかったので内科にもってきたのだた。内科新患も大学病院からの応援(バイト)だが、ここは常勤医に相談と判断していた。

 昨日水様便少量が2回出て、黒色だったという。嘔気も腹痛もなかったので食事は少しとった。今朝は2回嘔吐して、胃液と少量の食事したものだったそうだ。その後1回少量の水様便が出て、それも黒かったという。

 腹痛はないそうで、腹部はしつこく押しても、圧痛は訴えなかった。直腸指診で薄い黒色の便が付着したが、黄色の便も混じっている。大量の出血ではないようだ(実際検査でも貧血はなかった)。

 この方は30歳代半ばに胃潰瘍で胃切除術を受けていた。胃の1/3は残っているというが、CTで確認すると昔の手術なのでビルロートⅡ法のようだ。

 6年前に心臓血管センターのある専門病院で心臓ペースメーカー植え込み術を受けていた。心電図では心房細動(心拍数は正常域)なので、徐脈頻脈症候群なのだろう。

 さらに3年前にS状結腸癌が見つかり、心臓病があることから、ペースメーカーを入れた病院で手術していた(消化器病センターでもある)。

 水様便は少量なので、腸炎ではなく、腸閉塞で詰まった部位の遠位からちょっとだけ出たと判断された。CTは造影で行いたので、点滴と血液検査を提出して、まず単純X線を見たが、ニボーが描出されていた。

 腎機能は造影検査に支障ないので(以前に造影CTの既往もあったが)、腹部造影CTを行った。腸管のびまん性拡張があり、その一部で腸管の閉塞を疑いところを指摘できた。腸管壁は造影はされていて、造影不良域(血流障害)はなさそうだ。

 抗凝固薬(エリキュース)は内服しているが、心房細動で腸閉塞なので(検査でDダイマーが5と上昇してちょっと気にした、上腸間膜動脈血栓塞栓症も疑っていたが、それはなかった。

 当番の外科医に相談したが、当院外科は緊急手術はできない体制なので、ペースメーカー植え込み術後とS状結腸癌の手術をした病院に搬送となった。

 

 今日は新型コロナ濃厚接触者のPCR検査(保健所の依頼)を10件行った(これが迫っていたので、上記の患者さんは早めに外科医に対応を依頼した)。地域の基幹病院でも12件行っていると聞いた。当地域としては多い方だ。なんでも、自衛隊員で陽性者が出て、その濃厚接触者の検査という話だった。

 

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