なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

対麻痺

2019年10月16日 | Weblog

 火曜日の夕方に整形外科の若い先生が、他の病院(高次病院)に電話をかけ続いていた。急な両下肢麻痺(対麻痺)だった。

 82歳女性が連休最終日の14日に腰痛で救急外来を受診して、外科系医師(大学病院外科から)が整形外科に入院にしていた。単なる腰痛で社会的入院のような入院のはずが、15日整形外科医が診察した時には両下肢の麻痺が出現していた。

 この患者さんは77歳時に大動脈解離が発症して、大学病院に入院した既往がある。手術はできず、保存的にみてそれなりに安定したが、その後もいつ破裂などで急変してもおかしくないとされていたらしい。

 相談された内科の若い先生が造影CTを行ったが、上行大動脈から下行大動脈(左は総腸骨動脈まで)の大動脈解離は以前の画像と比べて変化はないと診断された(放射線科のレポート)。

 発熱はなく、炎症反応の症状はないが、以前からの血小板減少がさらに悪化して4.5万になっていた。脊椎(脊髄)MRIでは下部胸椎から腰椎上部にかけての病変が描出された。これは何だろう。放射線科の読影によると血腫ではないかという(epidural hematoma?)。

 整形外科医は脊髄の専門病院・がんセンターに連絡していたが、最後は大学病院に相談となった。大学病院としても患者さんの病状から手術もできないので、保存的にみるしかないと言われたのだった。患者さんと家族に説明して、当院で経過をみる(しかない)方針となった。

 てっきり脊髄動脈にも解離が及んで、脊髄梗塞をきたしたかと思ったが違った。今日は特に変わりないようだが(急変してないという点で)、麻痺自体はどうしようもないか。

 

 

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