ひとり暮らしの88歳女性は、心房細動で循環器科に、慢性C型肝炎で内科に通院していた。循環器科の処方は抗凝固薬だけ、内科の処方はウルソだけというシンプルなものだった。10年以上担当していた循環器科の先生が開業したので(内科外来の担当は大学病院医師)、そちらでまとめて診てもらうつもりだったという。
先月から労作時に息切れがあったが、ひどく苦しいわけではなかったのか、そのまま様子をみていた。今日は内科外来の予約日で受診した。肝機能検査は変わりなかったが、炎症反応が上昇していた。胸部X線など画像検査を勧められたが、そっちは循環器科で診てもらうと言って、そのまま新規開業のクリニックを受診した。聴診で湿性ラ音(coarse crackles)が聴取されて、そのまま当院に戻された。
発熱はなく、先月からの亜急性の経過だった。血圧は150//90と高めだ。酸素飽和度は意外に96%(室内気)と保たれていた。食事摂取は普通にできている。両側下腿に浮腫があった。胸部X線・CTでは心拡大・両側胸水・肺うっ血浮腫を認めた。BNPは以前の150が300台になっていた。陰影は肺野全体ではなく、肺炎の浸潤影の可能性もある。安定していた心房細動が肺炎併発で心不全を呈したのかもしれない。肺炎・心不全(心不全・肺炎?)として両者の治療をすることになりそうだ。
当院の循環器科医1名は週末不在だった。聴診上、弁膜症らしい心雑音はなく、心房細動の心拍数は正常域から若干頻拍だった。これまで利尿薬などは処方されていない。血管拡張薬と利尿薬に反応して良くなりそうにも思われる。内科で入院にして、改善しない時に循環器科へ搬送するのも考えた。考えたが、患者さんのためには、最初からちゃんと循環器科で診てもらうのがいい。地域の基幹病院循環器科に相談したところ受けてもらえることになり、救急搬送した。当院の事情を知っているので配慮してくれているようだ。付き添いできていた娘さんは、そちらの病院の方が近いので便利だと喜んでいた。
それにしても、ふだんの処方がシンプルすぎる気がする。前からBNPが正常より高かったし。アーチスト極少量+ARB少量+ループ利尿薬少量とか、循環器科処方でよくみかけるけど、どうなんだろう。
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