一昨日救急室を通りがかりに覗くと、左下腿浮腫で救急搬入された84歳女性を血管外科の先生が診察していた。深部静脈血栓症で、左総腸骨静脈から末梢の静脈が閉塞していた。肺血栓塞栓症はなかった。入院後に、どんな治療をしているのか画面で確認すると、アリクストラ皮下注を使用していた。初めて見る薬剤名で、Ⅹa阻害剤だった。
大野博司先生の本で確認。フォンダバリヌスク(商品名アリクストラ)はⅩa阻害薬で、アンチトロンビンⅢに特異的に結合して、間接的にⅩa因子を阻害して作用を発揮する。DVT予防には2.5mg皮下注を24時間ごとに、DVT/PE治療には体重に応じて5~7.5~10mg皮下注を24時間ごとに使用する。
昨夜はNHKにドクターGに千葉大学の生坂政臣先生が出演されていた。(10時からの番組だが、9時からテレビをつけて音声だけ消すスタンバイ状態にして、始まるまではCareNeTVを見ていた。) 症例は、オルメサルタンによる薬剤性吸収不良症候群で、ビタミンB1欠乏からウェルニッケ・コルサコフ症候群を呈したというもの。オルメサルタンによるSprue-like enteropathy(小腸の絨毛萎縮から下痢をきたす)の論文がいくつか出ているそうだ。めでたく診断がついて終わっていたが、コルサコフ症候群まで行くと、ある程度不可逆的ではなかったか。それにしても、出演している研修医は優秀だ。
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