なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

扁桃周囲膿瘍+α

2019年10月06日 | Weblog

 昨日の土曜日に84歳男性が、のどの痛みを訴えて救急外来を受診した。普段は高血圧症で当院の循環器科外来に通院している。体温を測定すると39.9℃と著明に上昇していた。高熱があるとご本人と奥さんに伝えると、ビックリしていた。

 高齢者が咽頭痛・高熱で受診することは通常ないので、これはただ事ではないと思われた。急性喉頭蓋炎が危惧されたが、呼吸困難は感じないという。会話は可能で、唾も飲み込めるが嚥下痛がある。朝に粥を少し食べたそうで、ちょっと安心材料だった。

 右の扁桃が腫脹して(発赤はない)、口蓋垂が左側に変位している。扁桃周囲膿瘍が疑われた。CT、それも造影CTを撮りたいと思ったが、造影剤の副作用が出た時に危険な状態になるかもしれない。まずは単純CTで検討をつけることにした。

 頸部X線で確認すると、明らかな喉頭蓋炎はないと判断した。CTのため、慎重に慎重に横臥してもらった。難聴があるので、横臥する状態が苦しかったらすぐに教えて下さいと、看護師さんと一緒に何度も伝えた。短時間は大丈夫そうだ。

 CTで見ると、右扁桃周囲膿瘍があり、咽頭へと進展しているにように見える。気道が対側の左側に圧排されているが、内腔は確保されている。扁桃周囲膿瘍・咽後膿瘍(右側方だが)疑いとして、対応できる施設へ転送することにした。

 休日の耳鼻咽喉科救急は大学病院しかない。大学病院に連絡すると、救急部の男性看護師さんが出た。事情をお話しすると、耳鼻咽喉科医に相談するという。途中で電話を転送する音がして切れてしまった。もう一度かけると、かけ直すのでと当院の電話番号を訊かれた。

 待っている時間は7~8分くらいだが、長く感じた。というのは、大学病院で断られると、後はほとんど転送できる施設がないから。大学病院から連絡が来て、受けれてもらえた。座位を保った状態で救急搬送となった。

 前日からの症状というが、数日以上経過していると思われる。高齢者は症状の自覚が鈍いので、進行していからの受診になってしまう。39.9℃の高熱でも、「えっ、熱があるんですか」だから。

 

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