なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

不明熱で紹介

2012年03月08日 | Weblog
 60歳台前半の女性。10日前から発熱が続き、内科医院2か所を受診していた。発熱が続いて、後から受診した医院から当院内科新患に紹介となった。熱以外には倦怠感・食欲不振という非特異的な症状のみで、局所的な症状はない。
 若い患者さんなら何らかのウイルス感染症であることが多いが、この年齢では何かあるのだろうとは思った。白血球はむしろ2700と減量していて、白血球分画には異常がない。CRP6.5、血沈32で、LDHが少し高い。胸部X線で左肺門部に腫瘤影を認めた。胸腹部造影CTで左肺門の血管を取り巻くように腫瘤があり、リンパ節の集塊のようだ。軽度に左胸水もある。腹部には子宮筋腫以外には転移をきたすような腫瘍はなかった。肺門部肺癌かリンパ腫が疑われた。
 当院でこれ以上の検査はできないので(呼吸器科はない)、がんセンターへ紹介することにして翌日の予約をとった。

 80歳台後半の女性。認知症で施設に入所していた。内科医院で左肺炎と診断されて、抗生剤が処方されたが、発熱が続くということで当院へ紹介された。認知症で見張ってないと点滴を抜いてしまう。ある程度治療されていて、軽快しつつあるようにも思われた。家族は施設にまかせっきりで協力は得られないという。本来は入院治療だが、外来で抗生剤を継続して、4日後に外来再受診とした。途中で悪化した時点で入院にしますと施設の職員に伝えた。さてどうなるか。
 
 80歳台後半の男性。一人暮らしでかなりの頑固者らしい。ひとり娘が自宅を尋ねたところ、元気がなく食欲も低下しているので、当院へ連れてきた(妻とは離婚している)。やっと連れて来たもので、検査も嫌がっていた。胸部X線・CTで両側肺に空洞性病変が多発していた。肺炎の浸潤影と思われるところもあった。あとで呼吸器科の先生(大学から週1回非常勤で)に相談したら、非結核性抗酸菌症に通常の細菌性肺炎が合併したらしい。
 初診は大学から来ている若い先生が診たが、患者さんが絶対入院はしないと言い張っていたので、困って私に連絡がきた。胸部X線の後に胸部CTもとったので、何回検査するんだと怒っていた。とりあえず外来で抗生剤内服とした。もう来ないと言っていたので、付添の娘さんに、1週間後に予約と再検査を入れておくので、本人が来ない時は娘さんだけでも外来に来るよう伝えた。
 その1週間後に、嫌がってはいたが病院にまた連れて来られた。症状は軽減しているという。抗生剤を継続として、さらに1週間後の今日受診した。喀痰の抗酸菌検査をすることになり、高張食塩水で吸入をして何とか痰を出した。
 腎機能も悪く、もし非結核性抗酸菌症の診断が付いても(肺結核の鑑別も要するが)、治療は困難かもしれない。2週間後にPCRの結果を聞きに来てもらうことにした。
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