ドン・ウィンズロウ著『ウォータースライドをのぼれ』創元推理文庫 2007.7.29初版 980円+tax
おススメ度:★★★☆☆
なんとなく予感はしていた、「このシリーズは終わった」のだと。予感は残念ながら的中した。
もはやニール・ケアリーは養父が呼びかけるような「坊主」ではなく、生涯を共に歩もうと思う伴侶も出来、いかに「朋友会」から離れ自立しようかと模索する日々を送っていた。
ある意味“平穏な日々”を破るような朋友会からの任務が指示されたのであるが、その内容は正直くだらない内容であった。
内容はくだらなくとも、危機が愛するカレンにまで及ぶところとなり、ニールは真剣に事態を解決せねばならない窮地に追い込まれる。
前3作はほぼニール・ケアリー自身を軸にニールの視点から物語が進行したのだが、本作では割合的にはニールの視点よりも他の登場人物の複眼的な視点が多く入っている。
今まではニールの成長をハラハラドキドキしながら声援を送って楽しんできた読者は何か読んでいて違和感を覚える。
違和感とともに前述したようにこのシリーズの終焉を感じるのだ。
本作はニール・ケアリーの自立とはいえ、退屈な現実社会の一員となる彼の人生へのレクイエムなのであろう。
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