東直己著『疾走』角川春樹事務所 2008.4.8 第一刷 1900円+tax
オススメ度★★☆☆☆
丸高建設の社宅に住む児童を中心に、同社がJVで建設した日高の「低レベル核廃棄物処理施設」の見学会が催された。運転手と引率の同社の女性社員そして児童合わせて26人がバスで訪れた。
そこで見学者は施設内部で起こった事件、見てはいけない事件を見てしまった。施設の所有者「機構」及び警備を請け負う会社が取った処置とは?それは信じられない惨劇を引き起こすことに。
あの殺人マシーン健三が三度(みたび)の登場となる。惨事からからくも逃れたのは又も恵太(前作「残光」で命を狙われた少年)であったのがミソ。実際はもうひとり彼の友達の少女がいたのだが。
これは著者が「柳の下の3匹目のドジョウ」を狙った作品である。
物語の設定がいかにも苦しい、というか荒唐無稽と言わざるを得ない。
今時、イラン人の不法滞在者を引っ張ってきて「タコ部屋」に入れるなど、時代錯誤もはなはだしい。
作中でひとりのイラン人がつたない英語でウエノから来た、というくだりがあるが、10年前ならいざしらず、今時東京の上野公園あたりに行ってもイラン人などいるものではない。
「機構」(原燃のようなものか)が取った処置にしても、作中で「小説や映画の出来事ではあるまいし」と何度か出てくる表現なのだが、いかに小説の中でも起こりえない代物と言わざるを得ない。
どんなに荒唐無稽なストーリーであれ、作者に旨く騙されたな、乗せられたな、と感じるのであればまだしも読者は納得するのであるが、「機構」が取る対処はますます現実味から遠ざかるばかり。
作中にてやくざの桐原、便利屋、探偵畝原が登場することによって、作者のファンは喜ぶものの、なにかご都合主義的「共演」と思えてならない。
一番喜んだのは札幌駅西口にある紀伊国屋書店ではなかろうか。同書店に行くと平積みされた本書の脇に「作中になんと当店が登場!!!」と舞い上がった紹介文がケースに入れられ貼られている。
やはり「柳の下にはそうそうドジョウはいないのだ」ということを再確認させられた一篇であった。
オススメ度★★☆☆☆
丸高建設の社宅に住む児童を中心に、同社がJVで建設した日高の「低レベル核廃棄物処理施設」の見学会が催された。運転手と引率の同社の女性社員そして児童合わせて26人がバスで訪れた。
そこで見学者は施設内部で起こった事件、見てはいけない事件を見てしまった。施設の所有者「機構」及び警備を請け負う会社が取った処置とは?それは信じられない惨劇を引き起こすことに。
あの殺人マシーン健三が三度(みたび)の登場となる。惨事からからくも逃れたのは又も恵太(前作「残光」で命を狙われた少年)であったのがミソ。実際はもうひとり彼の友達の少女がいたのだが。
これは著者が「柳の下の3匹目のドジョウ」を狙った作品である。
物語の設定がいかにも苦しい、というか荒唐無稽と言わざるを得ない。
今時、イラン人の不法滞在者を引っ張ってきて「タコ部屋」に入れるなど、時代錯誤もはなはだしい。
作中でひとりのイラン人がつたない英語でウエノから来た、というくだりがあるが、10年前ならいざしらず、今時東京の上野公園あたりに行ってもイラン人などいるものではない。
「機構」(原燃のようなものか)が取った処置にしても、作中で「小説や映画の出来事ではあるまいし」と何度か出てくる表現なのだが、いかに小説の中でも起こりえない代物と言わざるを得ない。
どんなに荒唐無稽なストーリーであれ、作者に旨く騙されたな、乗せられたな、と感じるのであればまだしも読者は納得するのであるが、「機構」が取る対処はますます現実味から遠ざかるばかり。
作中にてやくざの桐原、便利屋、探偵畝原が登場することによって、作者のファンは喜ぶものの、なにかご都合主義的「共演」と思えてならない。
一番喜んだのは札幌駅西口にある紀伊国屋書店ではなかろうか。同書店に行くと平積みされた本書の脇に「作中になんと当店が登場!!!」と舞い上がった紹介文がケースに入れられ貼られている。
やはり「柳の下にはそうそうドジョウはいないのだ」ということを再確認させられた一篇であった。
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