Barry Eisler『REQUIEM FOR AN ASSASSIN』Penguin Group(USA)$7.99
オススメ度 ★★★★★
ドックスは前回レインと共に日本のヤクザから強奪した金を元に、かねてからの願いの通り、インドネシアのバリ島の田舎にコテイジを建て優雅な日々を送っていた。
しかし、戦士の休息は短いものと相場は決まっている。
ドックスは不覚にも元CIAヒルガーの手下に補足されてしまったのだ。
ヒルガーのレインに対する憎しみは大きく、けっして忘れ去ることなどできないほどのもの(実際、レインとドックスは彼の部下2名を殺したし、彼のビジネスに多大なるダメージを与えたことは事実)であった。
ヒルガーは、レインのバディであり今や数少ない彼の友人のひとりであるドックスを人質にとることによって、レインをおびき寄せ抹殺するつもりであった。
ヒルガーはレインに対し、彼が指名する3人のターゲットを暗殺することを指示した。
この暗殺を遂行しない限り、ドックスの命はないものと思えと。レインにはこの要求に従うほか選択肢はなかった。
だが、ヒルガーはこの暗殺の背後に更なる巨大な陰謀を持っていたのだ。
本編ではレインの暗殺技術が存分に発揮され、読者を唸らせる。特に彼の場合「自然死に見せかけた暗殺」という際だった暗殺技術を持っているのである。
舞台はバリ(インドネシア)、サイゴン(ベトナム)、アメリカ西海岸、ニューヨーク・シティ、シンガポール、ロッテルダム(オランダ)そしてパリとめまぐるしい。
はたしてレインは要求された暗殺を果たし、ドックスを救うことができるか?
また背後に隠された更なるヒルガーの陰謀とは何か?全編を通じ、息もつかせないプロットが展開する。
一方、ハデなアクションばかりではなくレインの内面の葛藤が描かれる。それは時に切なく哀愁に満ちたものとなっている。
特に今やレインの手の届かない存在となってしまったミドリと息子への想い、そしてデリラとの関係など、読者も切ない気持ちでいっぱいになる。
さて、シリーズも6作目を迎え、そろそろ暗殺者ジョン・レインの物語も手詰まり状態を迎えたことは否定できない。
本編を読了し、この先本シリーズは続くのであろうか?というのが今気がかりでもある。
余談:
邦訳されるのを待ちきれずに前作『THE LAST ASSASSIN』を読んだ。更に第6作の存在を知るにいたりこれも待ちきれるものではなくなってしまった。
とにかく読みたい!という切なる思いで本編に取りかかったものの、やはり読み進めるには多大の努力が必要であった。読むスピードも邦訳物に比べ数倍かかり、時に何時間も読むと頭痛がしてきたこともあったが、内容の素晴らしさが全ての苦痛を排除した感がある。
また、今までは通常の英和辞典で分からない語彙を調べながらの遅々たる作業をしていたわけだが、今回は後半から「電子辞書」の助けを借りることによってかなり単語の検索が早まったことをご報告しておきたい。やはり文明の利器は凄いものだ。
オススメ度 ★★★★★
ドックスは前回レインと共に日本のヤクザから強奪した金を元に、かねてからの願いの通り、インドネシアのバリ島の田舎にコテイジを建て優雅な日々を送っていた。
しかし、戦士の休息は短いものと相場は決まっている。
ドックスは不覚にも元CIAヒルガーの手下に補足されてしまったのだ。
ヒルガーのレインに対する憎しみは大きく、けっして忘れ去ることなどできないほどのもの(実際、レインとドックスは彼の部下2名を殺したし、彼のビジネスに多大なるダメージを与えたことは事実)であった。
ヒルガーは、レインのバディであり今や数少ない彼の友人のひとりであるドックスを人質にとることによって、レインをおびき寄せ抹殺するつもりであった。
ヒルガーはレインに対し、彼が指名する3人のターゲットを暗殺することを指示した。
この暗殺を遂行しない限り、ドックスの命はないものと思えと。レインにはこの要求に従うほか選択肢はなかった。
だが、ヒルガーはこの暗殺の背後に更なる巨大な陰謀を持っていたのだ。
本編ではレインの暗殺技術が存分に発揮され、読者を唸らせる。特に彼の場合「自然死に見せかけた暗殺」という際だった暗殺技術を持っているのである。
舞台はバリ(インドネシア)、サイゴン(ベトナム)、アメリカ西海岸、ニューヨーク・シティ、シンガポール、ロッテルダム(オランダ)そしてパリとめまぐるしい。
はたしてレインは要求された暗殺を果たし、ドックスを救うことができるか?
また背後に隠された更なるヒルガーの陰謀とは何か?全編を通じ、息もつかせないプロットが展開する。
一方、ハデなアクションばかりではなくレインの内面の葛藤が描かれる。それは時に切なく哀愁に満ちたものとなっている。
特に今やレインの手の届かない存在となってしまったミドリと息子への想い、そしてデリラとの関係など、読者も切ない気持ちでいっぱいになる。
さて、シリーズも6作目を迎え、そろそろ暗殺者ジョン・レインの物語も手詰まり状態を迎えたことは否定できない。
本編を読了し、この先本シリーズは続くのであろうか?というのが今気がかりでもある。
余談:
邦訳されるのを待ちきれずに前作『THE LAST ASSASSIN』を読んだ。更に第6作の存在を知るにいたりこれも待ちきれるものではなくなってしまった。
とにかく読みたい!という切なる思いで本編に取りかかったものの、やはり読み進めるには多大の努力が必要であった。読むスピードも邦訳物に比べ数倍かかり、時に何時間も読むと頭痛がしてきたこともあったが、内容の素晴らしさが全ての苦痛を排除した感がある。
また、今までは通常の英和辞典で分からない語彙を調べながらの遅々たる作業をしていたわけだが、今回は後半から「電子辞書」の助けを借りることによってかなり単語の検索が早まったことをご報告しておきたい。やはり文明の利器は凄いものだ。
いきなりヒルガーが出てくるので、なんとなく進まない・・・(?)
ところで『THE LAST ASSASSIN』を読んで思ったのですが、アイスラーって実はあんまり日本語うまくないみたいですねえ・・・こういう感興をそぐようなこと言っちゃいけないのかもしれませんが、随所に挟まる微妙に不自然な日本語がちょっと辛かったです。
このシリーズの邦訳は実に優れているな、と思います。
でも、話自体は第5作は最高傑作かも!
前半ユルユル気味だけれど、後半は一気に進めました。
映画の撮影は進んでいるそうで、どうも原作とは別のものと思ったほうがよさそうな気がしてなりません。
で、著者の日本語なのですが、ご指摘の通り「おぼつかない」のでは。3年間日本で働いたとはいえ、成人してからの語学習得力ではあまり期待できませんね。
著者の語学力が影響してか?レイン自身の日本語力も疑ってしまうのです(苦笑)
レインは市井の日本人庶民とは日本語で話すものの、彼と係わる主要な日本人、例えばミドリとかハリーやタツとは全て英語で話しているむきがありますよね。
日米完璧なバイリンガルという謳い文句ですが、やはりベースは英語でしょう。
したがって、映画化するときもこの点は重要で、全編の半分以上が日本語になってしまう、というのはいかにも日本勢が制作者になる故なので原作のテイストがここでも大きく削がれる原因ともなることでしょう。
第5作より話のスケールが大きくて、こちらは一度集中したら一気に読みきってしまいました。話の展開などはこちらのほうがスケール大きくて面白いですね。
レインも「日系キャラ」を前面に押し出さず、こうして国際化してくれたほうが、むしろ不自然さがないように思えます。
なにより、やはりどうしても「微妙」な感じの見える日本語や日本描写は、原文で読む限りはどうも調子が狂います。
まあ、過去色々出てきた「微妙な感じ以前の日本の出てくるスリラー」としては、抜群の出来ではあるのですけれどもね。
しかし、次作はどういう設定になるのか、こうなると見当もつかないですねえ。
先は長いですねえ・・・。
今回の話は確かにレインが日米ハーフとかなんとかほとんど関係ない世界で物語が進行しますよね。
ということは、この作家の力量からすれば新作の「Fault Line」も十分期待できそうです。
レイン・シリーズについてはこれ以上レインの末路?は描きようがないような気もして、ちょっと複雑なファン心理になっています。
予約注文していたものが、発送済みの連絡がきました。
楽しみです。
読んだら是非感想をきかせてください。
それによって考えまっす!
やっぱりハードカバーだとごついですねえ。
この作家の場合ペーパーバックが数ヶ月で追いかけてくるので、それを待ってもよいかもしれません。
現在あれこれ買い込み過ぎて、目の前に小さな山がで来ている状態なので、しばらくは積読になりそうです。