min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

今野敏著『隠蔽捜査3疑心』

2009-10-11 00:07:41 | 「カ行」の作家
今野敏著『隠蔽捜査3疑心』 新潮社 2009.3.20第1刷 1,500円+tax

オススメ度★★★★☆+α

警察小説「隠蔽捜査」シリーズの第三作目である。
正直、このシリーズの主人公竜崎伸也なるキャリア警官は好きではなかった。
あまりの原則主義者であるところが、全く面白みがなかったからだ。むしろ幼馴染でイジメにあったこともあるキャリア同期の伊丹のほうが親しみやすい存在であった。
だが、この異常なまでに真面目?なキャリア官僚が回を追う毎に好ましい存在に変わりつつあり、本作ではなんと想像だにしなかった“部下への恋慕”という事態に陥ったわけで、思わず微笑んでしまったではなないか。
一歩誤れば致命傷となりかねない女性とのスキャンダルを妻から「唐変木」と呼ばれるこの男がどのように対処するかが見ものである。

物語の荒筋は大森署の署長である竜崎にある日、来日予定の米国大統領を警護する方面警備本部長を任命されたことから始まる。
どうみても異例な発令で、竜崎は何かの手違いによる発令かと思い警察庁の上層部へ問いただすのであったが事実であった。
更に警察庁の広報課長を務めていた時の女性キャリア研修生が、竜崎の秘書官として任命され配属される。この女性キャリアが竜崎の心をかき乱すことになる。
一方、米国の警護チームの先遣隊として二人の米人警護官が来日し、そのひとりハックマンが竜崎の下にはりつくことになった。
彼は大統領を襲うテロ計画があり、背後に日本人協力者の存在を明らかにした。
ハックマンは膨大な監視カメラの映像記録から不審な動きをするひとりの日本人を羽田空港の監視カメラ記録から発見する。
この不審者のために羽田空港を一時閉鎖しろと日本側警備陣に激しく迫り、竜崎はその要求と日本側の狭間に身を置くことになり対応に苦慮するのであった。

ストーリーそのものには斬新なものはなく容易に結末が読めるような内容で特筆には価しない。
唐変木・竜崎がどのように“不倫”を回避できるのか、が最大のテーマ?であり、そこに登場するのが禅問答ともいわれる「公案」には意表を突かれた。
それは『婆子焼庵』というもの。これはどういう意味かをここで明かすわけにはいかない。

昨今、警察小説と言えば佐々木譲か今野敏かといわれるほど、人気を二分する両作家であるが、二人とも北海道出身であるという共通項がある。
ま、これはどうでも良いがエンタメ性から言えばこの今野敏氏に軍配を上げたい。


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