大沢在昌著『欧亜純白ユーラシアホワイト 上・下』 集英社 2009.11.20 第1刷 各1,700円+tax
オススメ度:★★★☆☆
大沢在昌の上下巻合わせて約1,100ページに及ぶ長編を読むのは何か久しぶりのような気がする。
タイトルの通り麻薬、なかでも最強の麻薬といわれるヘロインを扱った内容で、そのスケールもユーラシア大陸と名を打つほど大きい。
物語はホワイトタイガーと称する個人ないしは組織が、合衆国への既存の麻薬供給ルートを破壊し、世界中のヘロインの供給を一手に独占しようという企みがなされる。
そのわずかな情報を敏感に察知した米国のDEAの捜査官、日本の麻取、中国刑事が三つ巴となり、ホワイトタイガーの真相を掴み、その企みを阻止しようというもの。
大沢作品ではかって薬物を扱ったものはけっこうあるし、黒社会を描けば独自の世界を持つ同氏であるが、今回は先にも述べたとおりスケールが違う。
黒社会も中国のそれから始まり、ロシアンマフィア、シチリアマフィア、そして日本最大の暴力団をも登場させる。これに米国のCIAが色濃く関与し、上巻を読んでいて、これは一体物語の収集をどのように図るのか心配になるほど。
正直物語の現実性に関してはリアル感が乏しいのであるが、作者の着想は面白い。
数々の謎解きに向けて下巻を大いに期待するのであるが、あれれ?と収束してしまうのが残念。何故かを書くとネタバレになるので書けないが、この他にもかなりご都合主義的展開が目立つので★の数は3つにしておく。
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