椎名誠著『極北の狩人』講談社文庫 2009.6.12 第1刷 600円+tax
(本書は2006年6月、講談社より単行本として刊行されたものを文庫化)
オススメ度:★★★☆☆
椎名誠さんて、作家でしたっけ。なんか、シーナ探検隊どこそこへ行く、といったような雑文を書く人だと思っていたが、本書では一応自分のことを作家として名乗っていた(ロシアで地元の記者に聞かれて)。ま、いいでしょう。
というわけで、彼の作品は過去読んだことがない。しかし、極北に住むエスキモーに興味があるし、特にカナダエスキモーの「イッカククジラ」漁のことが書かれているみたいなので本書を手にした。
思っていたよりもはるかにマジメな内容?で、楽しんで読み進めることが出来たのは望外の喜びであった。
カナダやアラスカのエスキモーについては、かなりのメディアによって我々も知る機会が多いのであるが、「エスキモー」という言葉が実は差別用語で「イヌイット」と呼ぶのが正しい、ということは本書で初めて知った。
この差別用語の規定は誰が決めたのか定かではないが、ことさら日本のメディアはうるさく、本書を執筆するにあたってもことごとく「イヌイット」と直されたという。
ところが、当のエスキモー達が自分たちのことを「エスキモー」と自称する、というのだから笑止千万。
白人がよってたかって彼ら先住民族を追いやっておきながら、呼称程度で何を今更!と思うのだが。
本書でも述べられているが、彼らエスキモーの文化(食文化を始め、全ての生活様式全般の意味において)が、「文明化」の名の下にほとんど崩壊の憂き目にあっていることを改めて認識させられた。
古くは「文明人」によって“疫病”が持ち込まれ、そして同時に“アルコール”が持ち込まれ彼らを徹底的に陥れた。
最終的に彼らを破滅に追い込もうとしているのはアメリカ的「大量消費文化」であることは大いにうなずけるところだ。
カナダやアラスカのエスキモー達に比べ、本書の最後に取り上げられているロシアに住むエスキモーたちは貧しいながらもこの「大量消費文明」の毒牙にかかっていない分幸せに見える、と記されている。
単に「文明化」によってこれらの人々が幸せになるわけがないし、それ以上に「国家」がこれら少数民族たちを国家のエゴによって迫害してきた事実を我々は忘れてはいけない。
(本書は2006年6月、講談社より単行本として刊行されたものを文庫化)
オススメ度:★★★☆☆
椎名誠さんて、作家でしたっけ。なんか、シーナ探検隊どこそこへ行く、といったような雑文を書く人だと思っていたが、本書では一応自分のことを作家として名乗っていた(ロシアで地元の記者に聞かれて)。ま、いいでしょう。
というわけで、彼の作品は過去読んだことがない。しかし、極北に住むエスキモーに興味があるし、特にカナダエスキモーの「イッカククジラ」漁のことが書かれているみたいなので本書を手にした。
思っていたよりもはるかにマジメな内容?で、楽しんで読み進めることが出来たのは望外の喜びであった。
カナダやアラスカのエスキモーについては、かなりのメディアによって我々も知る機会が多いのであるが、「エスキモー」という言葉が実は差別用語で「イヌイット」と呼ぶのが正しい、ということは本書で初めて知った。
この差別用語の規定は誰が決めたのか定かではないが、ことさら日本のメディアはうるさく、本書を執筆するにあたってもことごとく「イヌイット」と直されたという。
ところが、当のエスキモー達が自分たちのことを「エスキモー」と自称する、というのだから笑止千万。
白人がよってたかって彼ら先住民族を追いやっておきながら、呼称程度で何を今更!と思うのだが。
本書でも述べられているが、彼らエスキモーの文化(食文化を始め、全ての生活様式全般の意味において)が、「文明化」の名の下にほとんど崩壊の憂き目にあっていることを改めて認識させられた。
古くは「文明人」によって“疫病”が持ち込まれ、そして同時に“アルコール”が持ち込まれ彼らを徹底的に陥れた。
最終的に彼らを破滅に追い込もうとしているのはアメリカ的「大量消費文化」であることは大いにうなずけるところだ。
カナダやアラスカのエスキモー達に比べ、本書の最後に取り上げられているロシアに住むエスキモーたちは貧しいながらもこの「大量消費文明」の毒牙にかかっていない分幸せに見える、と記されている。
単に「文明化」によってこれらの人々が幸せになるわけがないし、それ以上に「国家」がこれら少数民族たちを国家のエゴによって迫害してきた事実を我々は忘れてはいけない。
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