min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

垣根涼介著『君たちに明日はない5 迷子の王様』

2015-09-09 10:06:23 | 「カ行」の作家
垣根涼介著『君たちに明日はない5 迷子の王様』新潮社 2014.11.14 発行


おススメ度:★★★☆☆


★一部ネタバレあり★




このシリーズが始まったのは2005年であった。上梓された当時は何とも奇妙な商売を描くものだなぁ、と感心した?記憶がある。
しかしこの業界も実際盛業?を迎えた時期があったのかも知れない。だが10年経った今、静かにこのシリーズも幕を閉めるようだ。
目次は
File1:トーキョー・イーストサイド
File2:迷子の王様
File3:さざなみの王国
File4:オン・ザ・ビーチ
以上4編の短編で構成されている。
File1からFile3まではいつもの通りのリストラ勧告をする真介と助手の川田女史が描かれいつも通り進行するのであるが、File4にていきなり物語が転回するのであった。
ある日突然社長の高橋が社の幹部クラスを集め宣言したのであった。私はこの会社をたたむつもりだ、と。
今までの積み上げた利益を入社歴により配分するが、諸君はこの社を去るもよし、残って社業を続けるのも良いだろうと。
考えてみればこの稼業が何時まで続くかは疑問であり、その後同業他社も数社出てきて校合するようになった。しかし、このような業務内容で他社と競り合うような営業もするつもりはない。じり貧に陥る前に手を引こうと考えた、という。
さて、村上真介はどうするつもりであろうか!というのが今回のミソ。
以前にも書いた通り、垣根涼介氏という作家さんは「ワイルドソウル」に代表される作品のように骨太な冒険小説を生み出した作家であり、本編シリーズのような作品は当初亜流ではないかと思ったものであった。
だが、いざ上梓された本編は今までのような長編とは違ういくつもの短編を積み上げた構成になっており、短編は短編なりの手際良さが感じられ、ああ彼はこうした分野でも十分手ごたえのある仕事が出来るのだなと感心した。
が、しかし、やはり以前からのファン心理としては今一度原点に戻り強烈な冒険小説を書いてもらいたい!というのが本音である。


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